福島県民健康管理調査は何のため?

 3月の原発震災発生により、多量の放射性物質が環境中へ広範囲に拡散してしまったため、福島県民をはじめ多くの人々が放射線被曝の影響に対する懸念を抱きながら暮らしていかざるをえなくなり、はや約半年が過ぎようとしています。そのようななか、福島県は、5月27日に「県民健康管理調査検討委員会」を設置し、6月末に避難区域等の住民に対する先行調査を始め、8月末からは全県民約200万人を対象とした基本調査問診票の発送も順次進めているようです。中でも詳細調査は、約20万人を長期間(30年間ともそれ以上とも言われる)にわたって調査を続ける計画であるとされています。そのような長期間にわたる大規模な調査は、いったい何のために行われるのでしょうか? また、そのような調査を誰が企画し、計画を立て、実施しようとしているのでしょうか?

 市民科学研究室・低線量被曝研究会は、この数年間、広島・長崎の原爆被爆者の調査の歴史について取り組んできて、ちょうどこの3月に報告書『原爆調査の歴史を問い直す』を刊行したところでした。そこでは、米軍による原爆投下直後から始まった初期の調査に焦点をあてていますが、その後のABCCから放射線影響研究所(放影研と略)へと現在まで続く長期にわたる調査の歴史について今後も取り組むつもりでした。そこに今回の原発震災が起こってしまったところ、3月末に放影研が「放射線影響研究機関協議会」に広島・長崎をモデルにした長期疫学調査を提案し、調査をスタートさせる方針である、と4月後半頃からいくつかの新聞で報じられ始めました。低線量放射線被曝の問題に取り組み、原爆調査の歴史を問い直す作業を続けている私たちとしては、そうした動きから目を離すことができません。

 しばらくの間は、新聞各紙で断片的に報じられるだけであったため、まずは福島県に対して基本的な情報の公開を求める要望書を提出することを手始めに、この調査の始まり方や成り行きを注視しているところです。今後は、この調査の計画内容、進められ方の問題点について検討していくとともに、調査が始められることになった経緯についても追っていくつもりです。ご注目ください。(2011.09.09)

(追記:その後、福島県から9月9日付の回答が同月12日に届きましたが、残念なことに、その内容はまともに答えたものとは言い難いものでした。私たちの要望/質問内容と福島県の回答の両方ともを是非ご覧ください。
これまでの要望書や回答などは
要望書および回答
再要望書および回答
を参照ください。)

柿原 泰(市民科学研究室・理事)