市民科学講座2014年

2014年の市民科学講座に関連する記事の一覧です。

2014年01月18日 市民研20周年記念シンポジウム「豊かな地域をつくる ~『消費』と『所有』を超えて、科学・技術を生かすために~」 長尾 彰さん、花井 裕一郎さん、大和田 順子さん、佐々木 健二さん

2050年の日本を想像してみましょう。少子高齢化、インフラや集合住宅群の老朽化、海外からの食糧やエネルギー資源の高騰、貧富の差の拡大、温暖化・異常気象、そして巨大地震のリスク......誰もが「このままではダメだ」と感じつつも、悲惨な末路から逃れる術をまだしっかりと手にしてはいないのが、私たちの現状ではないでしょうか。科学技術は、経済成長や開発、自然や心身の管理をおしすすめることと一体になりながら劇的な発展を遂げてきましたが、「豊かさ」の影でむしろ様々な問題が次々と立ち現れ、私たちはそれらに翻弄され続けています。
この状況を変える鍵はどこにあるのでしょうか。この20年「市民のための科学」を考え続けてきた者として、一つの鍵は「地域」にある、と確信をこめて言いたいと思います。自然との共生、人々の共感や共有をベースにしての新たな「地域の豊かさ」を創造することが、「消費と所有を拡大することで幸福になれる」という呪縛から、個人も社会をも解き放つ可能性があるからです。地域の人々に暖かく見守られながら支援され、地域のために活用される科学知と技術の姿を、私たちは大いに思い描き、具体化していくべきなのです。
このシンポジウムでは「地域」と関わって活動を展開してこられた4人の方々を招き、それぞれの経験やそこから得た知恵を分かち合いながら、参加者の皆さんとともに、希望ある未来の切り開き方をじっくり探ってみたいと思います。

2014年02月01日 市民科学講座Cコース「味噌づくり講座」



2014年03月03日 不健康への誘惑:ゲーミングで生活習慣を考えよう 共催:科研費挑戦的萌芽研究「生に関するゆるやかなガバナンスのあり方」

家族のうち、一人だけ野菜中心の食事はできる? 会議の資料、今日徹夜して完成させるか、8割の出来で通すか? 自分へのご褒美、あと一缶までなら大丈夫...
健康日本21に代表されるように、生活習慣病予防への取り組みや政策は多岐にわたります。また、科学的知見に基づく健康指導や予防策も提示されています。しかし、現実には食生活、運動、睡眠など日々の生活習慣は、科学的知識や合理的選択に基づかず、仕事や家庭、友人などの人間関係や社会的ジレンマのなかで「何とか」「やりくり」されています。その「やりくり」に潜む価値観の違いや個人的なこだわりを、議論する場はあるでしょうか。
本ワークショップでは、生活習慣をいかに改善するかという「正解の見えている結果へ近づける」方法ではなく、「いかに人々が日常生活をやりくりしているか」という状況を共有、議論することで自分の生活習慣や環境を顧みるきっかけを作るアプローチ法として、ゲームの効果を考えてみたいと思います。議論の材料とするのは、生活習慣のジレンマの議論をするための対面型交渉ゲームです。このゲームでは、仕事と健康のジレンマ状況をめぐって、複数のプレイヤー同士で、相手を健康ではなく不健康にする行動への誘惑への攻防を展開します。あえて、常識に矛盾するようなテーマを設定することで、自分や他者のこだわりを浮き彫りにし、議論や生活習慣改善へのきっかけを作ります。
生活習慣予防など医療や食品、睡眠研究者のほか、公共政策やライフワークバランス、幸福や人生観についての研究をされている方だけではなく、今現在、こういう生活習慣の悩みやジレンマと戦っている!という方、ぜひご参加ください。参加者には5-10分程度、専門分野のお話や、ご自身の「生活習慣」の工夫や不健康への誘惑などについてお話していただいた上で、ゲームを使ってみて、このアプローチ法の可能性や具体的な利用場面について議論していきたいと思います。

2014年04月21日 市民科学講座Dコース 談話会「原発避難と生活再建を考える」 山下祐介さん、市村高志さん

福島第一原子力発電所の大事故から3年が経過しました。10万人を超える多くの人々が避難を強いられるなかで、3年という時間によって、県内と県外、家族、地域社会の間に生まれた分断や軋轢が複雑な様相を示すに至っています。政府がすすめている「帰還政策」がほんとうに人々のためになるのか、被災地の再生につながるのか、そうでないなら、その原因は何か、打開策はあるのか...私たちは今一度、この原発事故が何をもたらしているのかを根底から考えてみることが必要だと思われます。この度の市民科学談話会では、『人間なき復興 原発避難と国民の「不理解」をめぐって』(明石書店2013年11月)を共著で書かれた3人のうちのお2人をお招きして、参加者とともに忌憚なく議論したいと思います。

2014年05月19日 市民科学講座Dコース 談話会「危機に瀕する大学 ~「改革」ばかりでどこへ行く?~」 柿原 泰さん

ここ10~20年、日本全国の大学はいつも「改革」をしてきた(するよう仕向けられてきた?)ように思われます。確かに、大学をめぐる環境は大きく変化し、「改革やむなし」の面はあるでしょう。しかし、昨今の大学改革をめぐる論議や掲げられる政策が前提としている、環境の変化や目指される方向性は、誰にとっても自明で納得のいくものなのでしょうか。この談話会では、大学をめぐってさまざまな期待や批判があるなか、現在の大学政策が教育・研究の現場にどのような困難な状況をもたらしているのかを、大学内部の問題としてだけでなく、より広い社会的な問題とも絡めながら、考えてみたいと思います。

2014年05月24日 市民科学講座Cコース「カレー文化とスパイス 第1回 ~食べる編~」 林田麻由子さん、高島系子さん

カレーは大好きだけど、脂っこいし、同じ味ばかりで飽きる…。そんなふうに思っていませんか?
最近になって日本でも知られるようになってきた南インドカレーは、低カロリーで野菜中心、そして、酸味、甘味、塩味、苦味、旨みといった、辛さ以外の味もバランスよく楽しめる、「ふだんのごはん」に適したカレーです。第1回の今回は、南インド料理の定食「ミルス」をいただきながら、カレーリーフ、ヒング、タマリンド、バスマティライスなど、ちょっと珍しい食材や、南インド料理の背景についてご紹介します。

2014年06月07日 市民科学講座Dコース 談話会「図書館はどう変わろうとしているか」 上村光弘さん

あなたは身近にある図書館をよく利用していますか? どんな図書館だったらもっと利用してみたいと思いますか?
このところ公共図書館の数が増えているそうです。しかし、予算は減っており、 多くの図書館で外部の業者が指定管理者として実際の運営を担っています。「無料貸本屋」との批判がある一方で、ビジネスなどの 「課題解決」支援を充実させようとしている図書館や、「コミュニティの核」としての役割を目指そうとしている図書館もあります。最近の図書館をめぐるいろいろな話題を紹介した上で、参加者とともに図書館の今とこれからを考えてみます。

2014年06月21日 市民研総会イベント 思いっきりトーク「市民と学問」 佐藤隆さん 「企業、ミュージアム、NPO活動におけるアカデミズムの有効利用を考える」三河内彰子さん

学問は、学問自体の発展のために営まれると同時に、社会の中で維持され、その成果は社会にいろいろな形で生かされます。アカデミズムには属さないものの、企業が製品・サービスを開発・販売し、市民グループが調査研究をすすめていくなかで、アカデミズムとどう関わり、学問の成果をどう取り込んで生かしていくか―その模索には、時代の流れが色濃く反映され、アカデミズムに新しい刺激をもたらしているものもあるように思われます。実利にだけ縛られるのではない、学問の有効利用の方法が、そこからどう見えてくるでしょうか。
また、学問と市民を結ぶ場の一つにミュージアムがありますが、それは両者をどう結び、社会の知的活力を高める役目をどう担っているのでしょうか。科学知の保管庫であり屋台店でもある科学館・博物館は、運営側のいかなる学問的営みによって支えられているのでしょうか。企業、NPO、ミュージアムの活動に従事してきて、それぞれなりに学問・科学との付き合いを深めてきた3人が、いろんな"裏話"の紹介も含めて、自由に語り合います。

2014年07月27日 小学生夏休み自由研究向け特別企画 子ども料理科学教室「野菜の甘さをいかしてクッキーを作ろう!」

砂糖を使わないで、野菜をうまく加熱して引き出した自然な甘みで、美味しいクッキーが作れるか、挑戦します。パンや麺類など多様な用途をもつ小麦粉の性質、いろいろな加熱のしかたの違い、砂糖との適切なつきあい方...など、役に立つ知識やワザを実験をしながら楽しく身につけることができます。

2014年08月19日 「子どもと防災」ワークショップ vol.1「わが家の減災ステップ」 共催:babycom

~「子どもと防災ノート」を使って親子で描き出す~
東日本大震災を経験して、各地で防災への意識が高まり、新たな取り組みが生まれていますが、幼い子どもに配慮した避難計画はあまりみられません。災害から子どもを守るためには、子ども優先の対策や子育て世代と地域がつながる地域防災の仕組みづくりが必要です。このたびbabycomと市民研が共同で「子どもと防災 プロジェクト」を立ち上げ、出版、セミナー・講演、Webでの情報提供などで地域のママたちを支援することにしました。
今回のワークショップでは、首都圏の大地震や大規模水害の被災・避難に関する基礎知識のレクチャーを受けた後、『子どもと防災ノート』の中の作業シート「わが家の減災絵巻」を、話し合いながら親子で書き込んでいきます。防災計画の作り方が具体的に学べる貴重な機会です。

2014年08月25日 ワークショップ「食習慣の「非」科学:食生活から自分を振り返る」 共催:科研費挑戦的萌芽研究「生に関するゆるやかなガバナンスのあり方」

あなたはふだん食べるものをどのように決めていますか?賞味期限、塩分、糖分、カロリー、放射性物質の基準値...。食材を買ったり、外食する際に手に入るさまざまな情報は、どのくらいきちんと参考になるでしょうか。あなたが食べるものは必ずしも合理的には決められておらず、今までの経験や信念、好みや見た目、思いつきに影響されているかもしれません。このワークショップでは、みなさんの生活と食に関する調査や議論を通して、食べものの「決め方」を考え直してみたいと思います。

2014年09月12日 市民科学講座Dコース 談話会「『里山資本主義』を読む」 加納 誠さん



2014年09月27日 市民科学講座&ワークショップ「ケータイ、スマホは子どもに必要か? ~依存症と電磁波健康リスクから考える~」

今年の3月に公表されたある企業(デジタルアーツ社・東京都)の調査では、「女子高生のスマホや携帯の1日の平均使用時間は6.4時間だった。さらに6時間以上が4割を超え、うち12時間以上との回答も1割を超えた」とのデータがありました。容易に想像できるように、これほど長時間使用すれば、それだけでまともな学校生活や家庭生活はできなくなるでしょう。LINE漬けでスマホを握ったまま寝落ちする......そんな子ども確実に増えていることが、いろいろな報道から伺えます。
今年の4月の米国の報道では、「iPadなどのタブレットPCやスマホに熱中する3歳から4歳の子どもが急激に増加していて、なかには一日に数時間もタッチパネルを指で"掃く"操作を続けるといった中毒症状を呈している子どももいるが、そうした子どものうちには、積み木を積むという動作ができない子が現れている」「もう少し年長者では、情報をもっぱらPC画面で見ることになってしまったためか、紙とペンを使ったこれまでの試験のやり方についていけない子どもも出てきた」とのこと。
こうした状況の責任は大人にあります。教育効果を高める「アプリ」を使っての学校現場でのスマートフォンの導入・普及、セキュリティを謳った携帯と連動する連絡・監視システムの普及、そして遊び道具としての幼児期からの日用品化、携帯電話を含み込んでの環境中での無線利用の一方的拡大等々、高周波電磁波曝露の低減化とは逆行する諸条件を作り出してきたのはまさに大人です。このような状況はもちろん日本だけに限りません。ところが日本と違って、フランスやベルギーをはじめとする欧州のいくつかの国、米国のいくつかの州、カナダなどが、子どもの携帯電話使用に関して独自の規制や勧告を打ち出すようになってきました。例えばベルギー政府は2013年2月に、「7歳以下を対象とする携帯電話の販売の禁止」「14歳以下を対象とした携帯電話の広告やテレビコマーシャルの禁止」を決めました。
携帯電話の使用を止めさせるのは大変難しいことです。周りの人たちのほぼ全員が使うようになってしまうと、持たない人がそれだけで大きな不便を被ることになるという、技術をめぐっての社会の変容が生じるからです。週に1日程度、意識的に携帯をOFFにして過ごすようすることはよいことだと思われますが、大多数の人にとってそれは可能でしょうか?電磁波の曝露を減らすための工夫もいろいろできますが、あなたはそれをご存知でしょうか? こうした自衛的手段に加えて、やはり何より大切なのは、社会全体で本気で子どもの将来を考え守っていく、という姿勢です。一般市民への圧倒的な利便性と事業者である企業への莫大な利益をもたらしている携帯電話という日常化した技術に対して、将来の子どもの健康を守るという予防的観点から、自制的な動きをどう啓発し、法的なレベルを含めてどう規制をかけることができるか、という公共的な課題が、私たちに突きつけられているのです。
このワークショップでは、前半に、子どもたちのケータイ、スマホの使用状況を種々のデータでふりかえり、電磁波健康リスクに関する最新の動向を講師からお伝えします。そして後半は、「では子どもを依存症から、そして電磁波曝露リスクから守るために、何がどうできるか」をグループ討論によって、探っていきます。

2014年10月11日 市民科学講座Aコース「環境物理学からみた里山資本主義」 加納 誠さん

持続可能な循環型社会の実現には、市民参加分散型循環社会の構築を目指すことが急務とされている。世界経済がグローバル化する中で、国境を超える資本や情報の移動などにより国家主権は緩み、同時に小さな共同体からの自治要求も活発化して個々人のリテラシーが問われる時代になった。正に里山資本主義が注目される所以である(文献1)。この様な時代に有って我々は、グローバル化した経済活動・環境問題に対して、環境物理学からみた物質循環と情報循環の促進、特に環境科学リテラシー脚注)確立に向けて、後の世代のために社会的責任を果たさなければならない。真の循環型社会の実現は、日本人が持っていた自然を愛し、物を大切にする精神が鍵と考える(文献2)。