【翻訳】それは地下からやってきた: 気化物質の侵入の検出と軽減

投稿者: | 2016年12月17日

【訳者よりひとこと】
翻訳しながら豊洲は大丈夫だろうかと不安を覚えました。地下から健康に悪影響をもたらす気化物質が室内に侵入し続けるとしたら,想像するだけで気分が悪くなります。この論文では、このような大問題が米国では1990年代後半から取り上げられるようになり、気化物質の健康への影響、発生メカニズムと軽減対策の科学的、技術的取り組みが本格化してきたプロセスが紹介されています。身近な難題ですが、この論文の一つの魅力は気化物質の検出と軽減システムを研究し、商品化するベンチャーの誕生とそれを後押しする公的プロジェクトが同時に紹介され、アメリカならではと思いました。(五島廉輔、五島綾子)

それは地下からやってきた
気化物質の侵入の検出と軽減

1)室内の空気の質は長い間重大な公衆衛生の議論の的であったが、気化物質の侵入が室内空気汚染の源として認められたのは比較的最近のことであった。今日、研究者たちは建物の下の土壌や地下水から侵入してくる揮発性化学物質の測定と制御のためにより良い方法を探し求めている。

2)気化物質侵入はしばしば汚染した地下水と関係づけられている。揮発性物質の広範囲の使用がアメリカ合衆国全体にわたって、無数の地下水プルーム1)を生じていた。記録がとられている地下水プルームもあるが、そうでないものもある。1958年頃にみられた、ニューヨーク州エンディコットにあるIBMの製造工場がよく研究された用地の一つである。

3)化学物質が地面にこぼれたり、または投棄された時に、気化物質が作られ、土壌を通してはるか遠くに移動する。条件が合えば、地下水へ流れ込む化学物質は抵抗の最も少ない経路をたどりながら、その発生源から数マイルも移動できる。気化物質は建物の基礎や廊下にある裂け目、継ぎ目または開口部、コンクリートスラブ中の伸縮ジョイント、床下の狭い空間に露出している粉砕岩石を含めた多くの径路のいくつかを経て家に侵入してくる可能性がある。

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『環境健康展望』124巻8号、2016年8月より
翻訳:五島廉輔、五島綾子、上田昌文

原題:It Came From Beneath: Detecting and Mitigating Vapor Intrusion

【著者】
Martyn T. Smith(1), Kathryn Z. Guyton(2), Catherine F. Gibbons(3) et.al
(1) 1Division of Environmental Health Sciences, School of Public Health, University of California, Berkeley, Berkeley, California, USA  (2) 2International Agency for Research on Cancer, Lyon, France  (3) 3Office of Research and Development, U.S. Environmental Protection Agency, Washington, DC, USA, and Research Triangle Park, North Carolina, USA

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