【翻訳】PM2.5 と腎機能:長期間曝露は穏やかな低下に導くかもしれない

投稿者: | 2016年12月17日

【訳者よりひとこと】
この論文はPM2.5長期曝露が高齢男性の腎機能低下を導く可能性があるかもしれないという報告をまとめたものです。大気汚染微粒子の増加が高齢者にもたらす影響は今後さらに大きくなるかもしれないことを示唆しており、大気汚染が弱者の健康にじわじわともたらす悪影響に我々は注視しなければなりません。(五島廉輔、五島綾子)

PM2.5 と腎機能:長期間曝露は穏やかな低下に導くかもしれない

 微小粒子状物質(PM2.51))曝露露不整脈や肺塞栓症(動脈閉塞)のリスクを増加することを含めて、心臓血管の健康影響と関連している。しかしながら、PM2.5と腎機能との関係、あるいは単独で心臓血管へのリスク要因となるかどうか、さらにはそれ自体で重要な健康指標になり得るのか、という点はまだ十分には解明されていない。このたびになされた長期間にわたる研究は、PM2.5曝露によって、腎臓の機能低下が生じ、長期間でみた場合の機能低下が促進されることの証拠をいち早く示している。
 環境中の浮遊粒子と心臓血管疾病との関係は分子または機能レベルでのいくつかの径路によって説明できる証拠があるけれども、その関係を説明できるかもしれない根本的なメカニズムは十分に解明されていないと、the Harvard T.H. Chan School of Public Health.の客員科学者で筆頭著者のAmar Mehtaは述べている。
 この研究ではより高齢の男性を対象としているが、それらの男性にみられる腎機能の低下がみられたからといって恐らくそれで健康な腎臓が損なわれてしまうということはないであろう。しかしながら、腎機能の低下によって高齢者が心臓血管への影響を受けやすくなるであろう。

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『環境健康展望』124巻9号、2016年9月より
翻訳:五島廉輔、五島綾子、上田昌文

原題:PM2.5 and Kidney Function: Long-Term Exposures May Lead to Modest Declines

【著者】
Martyn T. Smith(1), Kathryn Z. Guyton(2), Catherine F. Gibbons(3) et.al
(1) 1Division of Environmental Health Sciences, School of Public Health, University of California, Berkeley, Berkeley, California, USA  (2) 2International Agency for Research on Cancer, Lyon, France  (3) 3Office of Research and Development, U.S. Environmental Protection Agency, Washington, DC, USA, and Research Triangle Park, North Carolina, USA

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