科学技術コミュニケーターへの道 – CoSTEPではじめの一歩を踏み出す –

投稿者: | 2024年7月18日

科学技術コミュニケーターへの道

– CoSTEPではじめの一歩を踏み出す –

 

武智ゆり (市民科学研究室 ダーウィン会員)

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昨年の二月、たまたま訪れた四谷荒木町のサイエンスバー インキュベーターでCoSTEP(Communication in Science & Technology Education & Research Program:北海道大学科学技術コミュニケーター養成プログラム)を知りました。CoSTEPはプログラムの名称であると同時に、科学技術コミュニケーションに取り組む、北海道大学の教育・実践・研究組織そのものの名称でもあります。

数年後に迎える会社の定年後は小学生くらいの子供に科学を学ぶ楽しさを伝える活動をしてみたいと漠然と考えていたので、このようなプログラムに参加すれば、将来の活動に役に立つスキルが得られるのではないかと考え、オンラインで受講が可能な選科への応募を決めました。CoSTEPへの応募資格は「大学を卒業した方、またはそれと同等のリテラシーを有する方」というだけで、文系・理系、年齢、職業などの制限はありません。学部生でも受講することができ、私が受講した19期にも学部生が数名いました。

応募に際しては志望動機と「科学技術コミュニケーションに関わる問題を1つとりあげ、解決へ向けて今後自分がどんな役割を果たしたいか」について書く課題文の二つを提出し、それに基づいて選考が行われます。そこで志望動機として、子供たちみんなが科学分野の研究者や技術者になるわけではないが、小さいころから科学との正しい付き合い方を学べば、似非科学に騙されることを防いだり、生物多様性の保全や地球温暖化の影響といったグローバルな問題を自分事として考えられる大人に育つと思うので、そのための手助けをしたいという主旨のことを書きました。そして課題文には、現代社会では大人も日々の暮らしに忙殺されて、生活と密接に関わる、すなわち大きな影響を及ぼす科学技術の問題に目を向けようとしない一般市民が多いのは、科学技術コミュニケーションがうまく機能していないためではないか、それをうまく機能させるためのスキルをCoSTEPで学びたいといったことを書きました。

 

CoSTEPには本科、選科、研修科の3つのコースがあります。本科は、科学技術コミュニケーションを体系的に学ぶ「講義」、社会における実践を通して専門性と実行力を身に付ける「実習」、幅広く知識とスキルを習得する「演習」の3つの柱からなります。講義、実習、演習の実施場所は基本的に北海道大学札幌キャンパスです(内容によって演習林など学外施設も使用)。選科は本科と共通の「講義」と選科生のみを対象とした「集中演習」から構成され、講義はe-ラーニングですが、3日間の「集中演習」だけは北海道大学札幌キャンパスで対面で行います。「集中演習」には「サイエンスイベント企画運営」を学ぶA、「サイエンスライティング」を学ぶB、「インフォグラフィック制作」を学ぶCの3つのコースがあります(昨年度はAとCを開講)。

 

CoSTEPの魅力は、なんといっても受講生の背景が多様であることと、講師陣が多彩であることです。受講生は大学の学部三年生から、上は私のように定年を控えた60代まで幅広い年齢層の人が集まります。年齢はバラバラですが、科学技術コミュニケーションを学んで何かに活かしたいという志を持って、学生であれば学業と、院生であれば研究と、また社会人であれば仕事と両立させながら約10か月間共に学びました。CoSTEPを志望する動機も様々で、主に日常の仕事の中で直面した課題を解決するためという人もいれば、これから新しく始める活動のためという人もいます。志望動機のいくつかを紹介しましょう。

 

・子供たちを対象とした宇宙教育に興味があり,宇宙の楽しさ・面白さを効果的に伝える術を身につけるため

・この先サイエンスに触れていく者として、サイエンスコミュニケーションについて学ぶべきだと思った(理系学部の学生)

・研究のいろんな伝え方や、それに関する体系的な知識を学びたい

・科学関連の記事を書くときに今求められていることや、どのような方法がより伝わりやすいかなどを体系的に考えてみたい

・保健師として地域住民に情報を伝える際に、対象者別の具体的な方法や手段が分からないため、基礎から学び、事業の中に取り入れたい

・様々な科学コミュニケーションを学び、研究成果を消費者に効果的に伝えることができるようになりたい

・気候変動を始めとする環境問題を人々にどう伝えていくかに興味がある

 

本科生と選科生が共通で受講する全27の講義は、テーマごとに以下の6つのモジュールに分かれています。「科学技術コミュニケーション概論」「表現とコミュニケーションの手法」「活動のためのデザイン」「科学技術の多面的課題」「多様な立場の理解」「社会における実践」。すべての講義の概要は、受講生の希望者が回り持ちで執筆した講義レポートをウェブサイトで公開しているので、ご興味のある方はこちらをご覧ください。

https://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/news/category/class-report

 

受講生は各モジュールごとに800~1200字のモジュール課題を提出します。私が学んできたことは提出したモジュール課題に反映されているので、各モジュールの講義のタイトルを示し、私が提出したモジュール課題を引用しながらお話します。

モジュール1(M1)科学技術コミュニケーション概論
科学技術コミュニケーションを行うのに必要な諸概念を学び、 社会における科学技術コミュニケーターの望ましいあり方の全体像を展望し、 科学技術コミュニケーターの役割を考える
M1-1科学技術コミュニケーションとは何か~科学技術コミュニケーション概論~
M1-2先端科学技術の倫理的・法的・社会的課題と責任ある研究・イノベーション
M1-3対話のその前に~コミュニケーションのための科学哲学~
M1-4社会の中での科学技術コミュニケーターの役割〜科学技術ジャーナリストを例に
M1-5コミュニケーションを改めて考え直す

 

何を学ぶにしても、基本用語を理解しないと始まりません。モジュール1の講義は、科学技術コミュニケーションの初学者である私にとっては大変役に立つ導入編でした。欠如モデル、トランスサイエンス、倫理的・法的・社会的課題(ELSI)、責任ある研究・イノベーション(RRI)といった諸概念もこのモジュールで初めて学びました。モジュール1の課題は、「科学技術に関わる活動が専門家のみで行われることに限界があることを、モジュール1の講義をふまえた上で論じる」というもので、私は以下のようにまとめました。

 

科学技術に関わる活動が行われるとき、必ずその活動の影響を受ける対象がある。例えば医療であれば患者であり、減災対策であれば地域住民である。   

医療のパターナリズムは患者が無知である間は上手く機能していたが、医療の進歩によって治療の選択肢が増え、情報技術の発達によって誰もが医療情報を手にできるようになったために、何よりも患者の意思を尊重していないという欠点ゆえに、インフォームドコンセントがこれに取って代わった。このことは科学技術に関わる活動が専門家のみで行われることに限界があること(以下、専門家のみによる科学技術活動の限界と呼ぶ)の古い例である。また有珠山火山防災マップが役所や観光協会の反対で、作成から地元への配布まで15年を要したという事例は、専門家のみが努力しても、種々の社会的要因が成果物の活用を妨げることがあるということを示した。

専門家が社会に科学的情報を与える際に価値判断することの是非は、一概には決められない。影響(リスク)を伝えずに事実のみを伝えるのは専門家として無責任かもしれない。では逆に、価値判断を伴う伝え方が専門家の責任ある態度なのかというと、そうとも言い切れない。新型コロナウイルス感染症対策専門家会議のメンバーが、自分達が市民への直接的な行動変容の提案にまで踏み込んでよいのか迷ったというのは、このジレンマに近い。ここにも専門家のみによる科学技術活動の限界が見られる。

専門家自身が科学技術活動を発信することによって適切に市民に伝える事ができれば望ましいが、専門家は必ずしもコミュニケーション技術に長けているわけではない。それを代わりに行うのが科学ジャーナリズムの役割のひとつだが、専門家の活動を市民にわかりやすく伝えるはずの科学ジャーナリズムが、時として専門家の話を鵜呑みにして間違った報道を行うことがある点には注意しなければならない。

科学情報を発信する科学者とそれを受け取る市民との間に、伝達手段や感覚等々で大きなギャップがあること(例えば、専門家が説明を行う(行った)場所と、市民が科学情報を得る場所とが異なる;再生医療で伝えたいこと/知りたいことが、再生医療学会員と一般モニターとで異なる)も、専門家のみによる科学技術活動の限界を示している。

専門家は所属するコミュニティの中で独自の文脈を共有していると考えられており、コミュニティの外側に、その文脈が通じない(を共有していない)市民がいる領域があることに気付いていないこともある。その点も、専門家のみによる科学技術活動の限界と考えられる。

以上のように、科学技術に関わる活動が専門家のみで行われることには限界があり、そのことを専門家も認識しているので、活動への市民参加と、それを仲立ちするサイエンスコミュニケーターの役割が重要となってくる。

 

モジュール2(M2)表現とコミュニケーションの手法
科学技術コミュニケーターとして必要な、様々な表現とコミュニケーションの手法について学ぶ
M2-1実践入門 – アートを通したサイエンスコミュニケーション
M2-2伝えるプレゼンテーション
M2-3映像メディアによる科学技術コミュニケーション
M2-4科学の目で描くイラストレーション

 

モジュール2の課題は、「上記のコミュニケーションの手法の中から一つ選び、その特徴を踏まえ、メリットとデメリットを分析し、実践に活用する際に工夫しなければならない点を具体的に述べる」ものでした。ここに全文は載せませんが、私はサイエンスイラストレーションを取り上げました。

 

(前略)一方、科学をイラストレーションで表現するデメリットは、内容を視覚的にとらえることができる反面、科学的な正確性を多少犠牲にせざるを得ない部分があることではないだろうか。次に「現代化学」2023年4月p.40-45「鼎談 サイエンスイラストレーションの現在地」の一部を引用する。

(桝太一)番組をつくる際、研究者に取材してこういうイラストと言葉で表現しようと決めて番組制作側にもっていくと、「これじゃ視聴者には伝わらないし、見てもらえない」と指摘を受ける。それでイラストを変えたところ、今度は研究者側から「それは本質を端折りすぎている」と指摘を受ける、といった板挟みがある。(中略)

以上のようなメリットとデメリットを踏まえ、サイエンスイラストレーションは、情報を伝える対象に合わせて最低限の科学的正確性を保ちつつ、仕上がりと経済性とのバランスも考慮してデザインする必要がある。例えば研究者の研究の視覚化であれば、内容を理解できるイラストレーターが担当するのが望ましいが、そうでない場合は、両者の間にサイエンスコミュニケーターが入って、すり合わせの手助けをすることもできるのではないだろうか。

 

このレポートに対する担当教員からのフィードバックの中に、「作り手だけでなく、受け手のリテラシーもあげること」という指摘があり、これは科学技術コミュニケーションを実践する上で見失ってはいけないポイントだと思いました。

なお、M-2の講義を担当したサイエンスイラストレーターでありCoSTEPの教員でもある大内田美沙紀さんは、スラッシュキャリア(複数の職業や肩書を活用しながら、キャリアを形成していくこと)の実践者です。その素晴らしいサイエンスイラストレーション作品は雑誌「Cell」の表紙絵にも採用されており、ご本人のウェブサイトで見ることができます。

 

モジュール3(M3)活動のためのデザイン
科学技術コミュニケーターとして実践していく上で、活動を実施するために必要なデザインについて学ぶ。
M3-1哲学的思考の方法及びその伝え方~哲学カフェやメディアでの実践から
M3-2ミニ・パブリックスと参加・熟議のデザイン
M3-3複雑さに対処するためのシステム工学
M3-4観察と発見のデザイン
M3-5社会課題解決のための協働型評価~対話とエビデンスの交差

 

M3-2の「ミニ・パブリックスと参加・熟議のデザイン」の講師である三上直之さんは、過去に市民科学研究室の市民科学講座Bコースのゲスト講師としてお話をされています(csijnewsletter_048_201901_mikami)。このモジュールの課題は、「講義を踏まえ、科学技術コミュニケーションとして取り扱うテーマを一つ具体的に想定し、具体的な活動案について述べる」というものでした。

私は「ICタグ ~環境に配慮しながら使い続けるには~」と題し、サイエンスコミュニケ-ターのT氏が、全日本ICタグ工業会(架空の団体名)から受けた相談にどう対応したかという筋書きで、その中にステークホルダー(ICタグを製造する業者、ICタグを製品に付けて使用する業者、物流業者、卸売・小売業者、消費者)によるミニ・パブリックスを取り入れました。このように、架空(または実在)のテーマを一つ設定し、その課題に対する解決策を自分なりに考えてみるのは、お芝居の台本を書くようで楽しい経験でもありました。

 

モジュール4(M4)科学技術の多面的課題
科学技術と社会との接点に生じる問題の具体的な事例をとおして、それらの問題が持つ多面的かつ複雑な構造について適切に理解する思考力を養う
M4-1感情的理解のためのアプローチ
M4-2サイエンスを想像するアートと、社会を創造するジャーナリズムの間にあるもの
M4-3巨大科学と実験室科学を対象とする科学技術コミュニケーションの実践と課題
M4-4建築・都市におけるAIとビッグデータの可能性

 

モジュール4では「広い意味で自分が「当事者」だと思えるような科学技術と社会にまつわる課題を一つ挙げ、科学的課題と社会的課題を分けながらその課題の解決の難しさを述べる」ことが課されました。私は「生殖医療の光と影」と題して日頃考えていたことを言語化してみました。

 

今回、科学技術と社会にまつわる課題として「生殖医療の社会的受容」を取 り上げる。理由は、私自身は既に生殖年齢を過ぎているが、夫が実子から精子提供を依頼されたり、私が代理母になって欲しいと頼まれるようなことが皆無とは言えないからだ。

今や新生児の約14人に一人が生殖医療の助けを借りて生まれており、非配偶者間人工授精による妊娠出産を公表する人もいる。国も少子化対策の一環として、生殖医療を受ける家庭の金銭的負担軽減のための施策を進めている。

子供を持つ、すなわち子孫を残すことはありとあらゆる生物の本能だが、ヒトにあっては単に本能だけではなく社会的な要因の影響を受ける。例えば昔ながらの「家庭を持って一人前、子供を持って当たり前」という考え方や男児選好の風潮は現代でも決して無視できない。子供を育てるなら養子という手段もあるが、血縁重視の日本では一般的ではない。

二人の実子に自然に恵まれた私が生殖医療の是非に口を出してはいけないのではないかという遠慮から意見を述べるのを控えてきたが、よい機会なので問題を整理してみることにした。   

生殖医療の発展は目覚ましく、世界初の試験管ベビーとして話題になった女性が生まれたのは45年前。胎児の疾患を母体内で治療する胎児治療も既に行われている。子供に恵まれないカップルにとって生殖医療は希望の光だが負の側面もある。貴重な時間を割き高額な治療費を払い続けても必ずしも妊娠出産に至るわけではなく、治療をいつまで続けるかに悩むことも多いと聞く。また体外受精後の未使用受精卵の取り扱いや減胎手術の倫理的問題もある。

医師や研究者は生殖医療を発展させて不妊に悩む患者を助けることを使命としているかもしれないが、技術的に可能なことと実施してよいことはイコールではない。最初に述べた精子提供は、生殖が人工的である点に異を唱える考え方もあろうが、夫婦間であれば倫理的問題は少ない。しかし見ず知らずの他人からの精子提供は、子の出自を知る権利を保証する点で議論がある。精子提供者が夫の父や兄弟のような血縁者の場合はどうだろう。子供の祖父や伯父/叔父が生物学的父であるというややこしいことになる。代理母については、私は個人的には強い拒否感を抱く。もし娘から代理母になって欲しいと言われたら断るだろう。だが求めに応じた人もいる。しかし胎児が出産前や出産時に亡くなったり、母体(祖母)が命を落とすリスクがゼロとは言えず、リスマネの観点からも倫理的にも、将来的に広く実施される医療として社会に受け容れられるのは難しいだろう。

科学技術と社会との接点に生じる問題に、人間はどのように対処するべきなのか。問題が人間の福祉や尊厳を損なったり既存の社会規範に反するのであれば、それらは法律で規制する必要があるが、個人によって考え方(生殖に対する医療介入への賛否、家族観、死生観など)が様々な生殖医療のような技術については、当事者性が濃い人も薄い人も交えた社会全体での議論が必要と思われる。

 

担当教員からは「よく“社会では~”、という主語で語りがちだが、それが自分の話となった時の重みは全然違うものになる。社会で良いとされても、自分は違う。その一つ一つの立場に耳を傾けることはとても大事だし、弱い声に向き合っていくことは、特に科学という巨大なテーマと関わるときには、なお大切になっていく。人によってかかる時間も異なり、時代によっても、技術や受け入れのギャップがあるが、今後もゆっくりと考えていこう」というコメントをもらいました。これは、科学技術コミュニケーションを実践していくにあたって、肝に銘じるべき言葉だと感じています。

 

モジュール5(M5)多様な立場の理解
科学技術コミュニケーターが多様な立場の個人や組織と連携する際に理解しておくべき、科学技術コミュニケーションにかかわる主要なステークホルダーの立場について学ぶ
M5-1性の多様性と科学:「セックスは、つねにすでにジェンダーである」こと
M5-2医療現場が直面するコミュニケーションの課題について考える
M5-3日本の感染症対策の必要性について
M5-4謎に包まれない女性たち:女性から見る科学、科学が見る女性

 

モジュール5-1「性の多様性と科学:「セックスは、つねにすでにジェンダーである」こと」というタイトルを見て、センシティブで異色なテーマと感じる方もおられると思いますが、講義の趣旨は講師である満島てる子さんの以下の言葉に集約されています。『生物学的性(セックス)についての知識もジェンダー同様アップデートされ、「科学による意にそぐわぬ差別」を回避するためにも、科学技術コミュニケーション的取り組みが必要なのではないか』。

本モジュールの課題「科学技術コミュニケーションにおいて今後対話や協力関係構築を積極的に働きかける必要があると思われるステークホルダー(利害関係者)を具体的に一つ上げ(例:患者、自治体職員)、その人と科学技術コミュニケーターの立場の違いを記したうえで、連携する必要性を述べる」というもので、私は「誰が私の生死を決めるのか~医療現場での意思決定を支援する人材の必要性~」という題で意見を述べました。これは、急性心筋梗塞に見舞われた高齢の母親に対するカテーテル治療を提案された私の従姉妹が、短時間のうちに意思決定を迫られたという実際のケースに接して考えたことを書いたものです。

 

モジュール6(M6)社会における実践
社会の中で科学技術コミュニケーションの領域を意欲的に開拓されてきた方々を招き、これまで歩んできたキャリア、活動の背景、現状、課題、原動力、将来の目標などについて話を聴くことによって、自らのコミュニケーターとしての将来展望を描く
M6-1農林水産省の「攻めの」広報戦略について
M6-2野生動物にまつわる問題を報道すること
M6-3防災・減災のための雲科学コミュニケーション
M6-4共創の場作り ~文化と経済の両輪で創造的にMIRAIを切り拓く~
M6-5CoSTEPの講義を振り返って

 

一年間の受講の最後に課された課題は「モジュール6の講義と、1年間のCoSTEPでの学びをふまえた上で,自分が将来科学技術コミュニケーターとして社会で活躍したいと考える状況と役割について具体的に、現実の課題に即して述べる」ものでした。一部を紹介します。

 

私の科学技術コミュニケーターに対するイメージは、博物館で展示の解説をしたり、ニュースなどで話題になった科学技術についてマスメディアで解説する役割を担う人というものであった。またCoSTEPに応募した理由は、数年後に控えた会社員としての定年の後に主に子ども達を対象とした活動を行うために科学技術コミュニケーションの基本的な知識やスキルを学びたいと考えたことと、科学技術に無関心な一般市民の層に、どうしたら関心を持ってもらえるのかを探りたいという気持ちからであった。

全27回の講義の受講と集中演習、先輩の科学技術コミュニケーターたちが行っている活動への参加(サイエンスアゴラ、サイエンスカフェ、日本科学技術ジャーナリスト会議例会の聴講など)や、様々な博物館の企画展の見学などを通して、活動の対象を子供に絞らずとも、自分はもっと幅広い対象に向けて、CoSTEPのミッションである「暮らしやすい社会に貢献する」活動をすることができるという確信を得た。(中略)

受講の初めに投げかけられた「科学技術コミュニケーションとは何か」に対する私の答えは、「科学技術を取り巻く多様な価値観を有するステークホルダーの間を、対象に合った働きかけ方を用いてつなぎ、課題の解決の糸口をともに探し、暮らしやすい社会の創造に貢献する」だろうか。これは一見理想論のようだが、理想を現実にするための一歩をCoSTEPで踏み出すことができたと感じている。

 

最後に、7月に参加した3日間の「選科集中演習A」と3月の「成果発表会」についても簡単に触れて、話を締めくくろうと思います。

「選科集中演習A」は4グループに分かれたAコースの選科生24名全員が北海道大学に集まり、初日にグループごとにオンラインのサイエンスイベントの企画を考え(もちろん事前にweb会議で顔合わせは行いますが)、2日目にイベントのリハーサル、アンケートの作成、オンラインポスターの作成を行い、最終日にテクニカルリハーサルとイベントを実施するという、超過密スケジュールでした。私のグループは「推しを科学する」というなかなかトレンディなテーマのイベントに挑戦しましたが、2日目の晩は作業を終えて解散したのが翌日未明の2時でした。

CoSTEP一年間の学びの総仕上げが「成果発表会」です。本科・選科・研修科すべての受講生が札幌に一堂に会し、舞台発表とポスター発表で一年間の学びの成果を披露しました。「成果発表会」に続いて、ゲストをお招きして「修了記念シンポジウム:たったいくつものかたり〜歴史コミュニケーションの視点から〜」も開催されました。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。もしCoSTEPに興味を持ってくださる方がいらっしゃいましたら、ぜひウェブサイトをのぞいてみてください。来年21周年目を迎えるCoSTEPで学んでみませんか。

 

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