電波防護指針の高周波領域の改訂案へ意見書を提出

投稿者: | 2018年8月28日


「高木仁三郎市民科学基金」の2018年度助成を受けて、市民科学研究室の「環境電磁界研究会」がすすめている調査(「電磁波曝露のリスクに焦点をあてた5G(第5世代移動通信システム)の技術影響評価」)の一環として、以下の意見書を総務省に提出しました。

総務省は現在、5G(第5世代モバイル通信)をはじめ、今後の様々な電波利用の拡張に向けて、これまでの「電波防護指針」でカバーしていなかった周波数(その周波数の電波を使用した場合の曝露状況)を取り込んで、防護指針の適用範囲を拡張する必要が生じているため、指針自体の改訂作業を早急にすすめています。

今年になってから関連するいくつかの委員会が頻繁に開かれて、「環境電磁界研究会」のメンバーはできるだけそれらを傍聴するようにしてきました。委員会の議論の中身は専門的なものが多く、毎回配布される資料を読み解くだけでもなかなか大変です。

それらの委員会で、防護指針の改訂の中心を担う「電波防護指針の在り方に関する検討 作業班」からの報告案が出て、パブリックコメントの募集がなされました。

対象となるのは、『情報通信審議会 情報通信技術分科会 電波利用環境委員会 報告(案)―「電波防護指針の在り方」のうち、「高周波領域における電波防護指針の在り方」について―』です。

私たちは様々な点からこの報告書案を検討しましたが、今回提出した「意見書」では、「6GHz以上の周波数においては、周波数によらず20mW/cm2とすれば皮膚表面の温度上昇を5℃以下に抑え、安全性を担保できるとしている。」(報告書案15頁)として指針値案を導き出している点に絞って、疑義を呈しました。

市民科学研究室・環境電磁界研究会が提出した意見書

総務省から回答が来ましたら、またこのホームページでお知らせいたします。

【追記】

電波防護指針改定に係る報告案は、私たちが出した上記のパブコメもふまえて親委員会(情報通信審議会 情報通信技術分科会 電波利用環境委員会)でメールによる審議を行い若干の修正のうえで9月6日までに承認されたとのことです。
総務省ホームページの告知より

この報告に基づいて本日9月12日、情報通信審議会が、電波防護指針改定案を総務省に答申したようです。
総務省ホームページの告知より

この防護指針の改定内容を含め、「5G」の技術の概要ならびにその予想される曝露状況と健康影響の懸念などについては、市民研のホームページで特設コーナーを設け連載を開始して解説しています。


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