放射線健康リスク専門家フォーラム

投稿者: | 2015年8月10日


文部科学省の国家課題対応型研究開発推進事業「原子力基礎基盤戦略研究イニシアティブ」において、東京大学が受託した調査研究「原子力施設の地震・津波リスクおよび放射線の健康リスクに関する専門家と市民のための熟議の社会実験研究」(平成24〜26年度)のうち、特定非営利活動法人市民科学研究室が「放射線健康リスク」部門を再委託されました。

当研究プロジェクトの一環として、福島第一原子力発電所の事故に伴う放射線の健康影響に関して、様々な見解と見識を持つ幾人かの専門家が集い、議論する「放射線健康影響に関する専門家フォーラム」を2回実施しました(2014年6月1日ならびに12月21日)。以下にその記録ならびに関連文書を掲げています。

放射線健康影響に関する専門家フォーラムとは

文部科学省の国家課題対応型研究開発推進事業「原子力基礎基盤戦略研究イニシアティブ」において、東京大学が受託した調査研究「原子力施設の地震・津波リスクおよび放射線の健康リスクに関する専門家と市民のための熟議の社会実験研究」(平成24〜26年度)のうち、特定非営利活動法人市民科学研究室が「放射線健康リスク」部門を再委託されました。このフォーラムは当研究プロジェクトの一環として、福島第一原子力発電所の事故に伴う放射線の健康リスクに関連して、様々な見解と見識を持つ幾人かの専門家が集い、議論する場です。

活動実績

第1回放射線健康影響に関する専門家フォーラム

2014年6月1日に第1回放射線健康影響に関する専門家フォーラムを実施しました。この研究プロジェクトでは、科学的な不確実性をもつ事柄についての「共同事実確認」、すなわち「何がどこまで分かっていて、どのような不確実性があり、専門家の見解が異なる背景は何であるか」などを明らかにし、科学的に不確実な事柄について社会的な意思決定を行うための基盤となる情報を提供することを目指しています。2013年の8月から9月にかけて、19名の専門家の方々へのインタビューを実施し、そこで得られた知見をもとに論点を整理し、インタビューに応じていただいた専門家の中から、次の5名の方々にご出席いただき、2014年6月1日に第1回専門家フォーラムを実施しました。

明石真言氏:放射線医学総合研究所
今中哲二氏:京都大学原子炉実験所
甲斐倫明氏:大分県立看護大学環境保健学
木田光一氏:福島県医師会
小佐古敏壮氏:東京大学大学院原子力工学系

このフォーラムでは、まず第一に、福島第一原子力発電所の事故に伴う放射線の健康リスクに関連して、何が科学的に確定できている事実であり、何が確定し得ていない事柄であるのかをできるだけ明確に区別すること。第二に、確定し得る事実については、放射線防護をめぐる政策面で、その事実をもとにして、今後どのような修正や新たな対応が求められるかを検討すること。また、現時点では確定し得ない事柄については、いかに合理的で社会的に納得のいくリスクマネジメントにつなげるかを考えること。こうしたことを念頭において、論点を次のように定めて、議論をすすめました。

セッション1
100mSv、20mSv、線量評価

質問1 100mSv以下の被ばく線量の影響の捉え方について(低線量域の被ばく線量と健康影響の現れ方との対応関係)について
質問2 20mSvによる線引きの妥当性・受け止め方について(ICRP、LNT仮説に依拠した現存被ばく状況での参考レベル設定の問題)
質問3 福島原発事故での被ばく線量推定の確からしさと主たる疾患(主に甲状腺障害)との因果関係について

セッション2
保健対策

質問4 福島原発事故に関連した住民の健康管理(保健対策)と疫学調査について

議論の結果は、「第1回専門家フォーラムで議論されたこと」にまとめましたので、そちらをご覧ください。(要約は1−1「フォーラム実施概要/議論のとりまとめ」として、討論内容の詳しく比較整理したものは4−4「討論内容一覧表」としてPDFファイルで掲載しています)なお、今回試行した専門家フォーラムでは、様々な見解や取り組み領域の相違を超えて、自由闊達に議論していただくために、参加者を限定しての非公開で実施いたしました。

第2回放射線健康影響に関する専門家フォーラム

2014年12月21日に第2回放射線健康影響に関する専門家フォーラムを実施しました。このフォーラムでは、福島県内の自治体から放射線関連の業務に携わっておられる行政担当者7名(飯館村、大熊町、富岡町、福島市、伊達市)に参加いただき、日頃感じておられる疑問を専門家に投げかけていただく形で議論を進めました。専門家は、第1回専門家フォーラムにも出席いただいた明石真言氏、甲斐倫明氏、木田幸一氏、小佐古敏荘氏です。

議論の結果は、「第2回専門家フォーラムで議論されたこと」にまとめましたので、そちらをご覧ください。

第1回専門家フォーラムで議論されたこと

第1回放射線健康影響に関連する専門家フォーラムでの議論を以下に紹介いたします。(※リンクのPDFファイルは別ウィンドウで開きます。)

1. 第1回フォーラム実施概要/議論のとりまとめ

参加者名簿、実施プログラム、議論された論点、専門家の間で交わされた議論の内容の要約を掲げました。
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2. 事務局提出資料

2-1) セッション1およびセッション2の論点と質問

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2-2) 図解「1mSv、20mSv、100mSvにかかわる諸問題:放射線専門家の役割は?」(原発事故後の状況・背景等の図式化を試みたもの)

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2-3) セッション1の論点提示スライド(事務局:上田昌文)

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2-4) セッション2の論点提示スライド

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配布資料㈰
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配布資料(事務局:吉田由布子)
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2-5)「線量水準に関連した考え方」(政府資料を紹介)

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3. 専門家パネリストに関連する資料

3-1) 基本的見解(1)

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*各パネリストへの事前インタビューから事務局が抽出し、ご本人に確認いただいたものです。

3-2) 基本的見解(2)

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*フォーラム開始にあたって、各パネリストより口頭で基本的見解を表明していただきました。(1)と重なる方もいれば、別の形で表明された方もあったため、(2)として別途掲示することとしました。

3-3) 木田光一氏のプレゼン資料

木田氏には、セッション2冒頭で、医師の立場から見た現状の保健対策の問題点を提示していただきました。以下のサイトの公表資料を参照してください。
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3-4) 各パネリストからフォーラムに向けて提示いただいた参考資料

各パネリストには、「基本的見解(1)」を補足する資料を参考に挙げていただき、当日配布しました。ここでは引用元の記載にとどめます。

【明石真言氏】
「東電福島第一原発事故対応における放医研の活動、役割、今後の展望」
『MOOK医療科学』No.6「放射線災害と医療㈼」pp29-40、放射線事故医療研究会編、医療科学社 2013年2月

【今中哲二氏】
「放射能汚染への向き合い方−どこまでの被曝をガマンするか—」
農村計画学雑誌Vol.32, No.4,pp449−451、農村計画学会、2014年3月

【甲斐倫明氏】
「低線量・低線量率のリスク推定のための理論とデータ」
放射線生物研究47(4)、pp379−393、放射線生物研究会、2012年(12月)

【木田光一氏】
「福島原発災害後の被災者の健康支援の現状と課題」
平成25年度「日本医師会総合政策研究機構・日本学術会議共催シンポジウム」講演記録より

【小佐古敏荘氏】
「通常と緊急時の間をどう考えるか—一番重要なのは防護の最適化」
原子力文化 2012年2月号、pp3−10、日本原子力文化振興財団、2014年2月

4. 第1回フォーラムの討論内容一覧及び用語解説

4-1) 討論内容一覧表

第1回フォーラムでの議論を、各項目あるいは質問ごとにパネリストの意見を比較できるように、事務局で発言を抽出して表化しました。質問は、横長の横断的枠として記してあります。表中の発言は各パネリストの確認を得たものですが、討論の中で抽出された部分的なものであることにはご留意ください。
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4-2) 用語解説

上記一覧表中のいくつかの用語について解説したものです。
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第2回専門家フォーラムで議論されたこと

第2回放射線健康影響に関連する専門家フォーラムでの議論を以下に紹介いたします。(※リンクのPDFファイルは別ウィンドウで開きます。)

1. 第2回フォーラム実施概要/議論のとりまとめ

参加者名簿、実施プログラム、議論された論点、専門家の間で交わされた議論の内容の要約を掲げました。
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2. 事務局提出資料

2-1)論点提示スライド

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2-2)質問事項ハンドアウト

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2-3)配布資料㈰:ICRPの線量体系の基礎となる考え方(Pub.22, 1973)(事務局:吉田由布子)

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2-4)配布資料㈪:避難指示区域住民推定被ばく線量と放射線作業従事者平均被ばく線量(事務局:吉田由布子)

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2-5)配布資料㈫:『朝日新聞』ほか各紙 2014年8月17日付 全面広告

政府広報(復興庁、内閣官房、外務省、環境省)「放射線についての正しい知識を」

3. 第2回フォーラムの討論内容(議事録)

第2回フォーラムでなされた議論での各発言者の発言を文字起こしし、ご本人によって若干の修正を施していただいた上で、議論を再現する形で文書化しました。福島県の自治体行政職員である7名の方々については、所属する市町村名のみの表記とさせていただきました。
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