マイ・レシピで美味しく作ろう! ~煮物、炒め物、和え物、デザート…に挑戦!~

投稿者: | 2009年5月5日

写図表あり
csij-journal 024 kobayashi.pdf
報告
子ども料理科学教室
マイ・レシピで美味しく作ろう!
~煮物、炒め物、和え物、デザート…に挑戦!~
小林友依(市民科学研究室・食の総合科学研究会)
今では、料理という観点から食べ物を科学的に探求する考え方は珍しくありません。本屋さんを覗くと、料理に関する知恵を科学的に裏付けた本を多数見かけるようになりました。
 そもそも料理は、科学的に探求する必要がなかった分野であったのかもしれません。
何千年もの歴史の中で培われてきた実践的な知識と確実なレシピが豊富にあり、技術を習得することが重要視されてきたのですから。
 長年かけて作られ、伝承されてきたレシピに従えば、食事を作るときに推測したり、実験したり、分析したりしなくても料理は作れてしまいます。これは大きな利点でもあります。
もし、料理を科学的に分析し、食べ物の中にある物質に何が起きているのかを理解できていたらどうでしょうか?新しいことを試すときに予期せぬ事態が起きたときに、対処しやすかったり、わざわざレシピに従わなくても、とてもおいしくて、簡単に、もしかしたら誰も考えたことのないような料理が作れてしまうかもしれません。
料理をしながら食べ物の中にある物質に何が起きているのかを理解するには、目に見えない小さな、小さな分子と分子同士の反応についてから学ばなければなりません。
たとえば、加熱。熱いとはどういうこと?熱の伝わり方は?加熱方法のそれぞれの利点は?などは、分子の働きを知ることでより深く理解ができます。
料理の世界だけで満足してしまうことなく、科学の世界にも一歩踏み入れる興味と科学的な理解とが料理技術を高めてくれるようです。
今回は、五感で感じ、子どもたちの今までの経験と、食べ物の中にある物質に何が起きているのかを実験を通して理解し、そこから臨機応変に対処することができるかが試される教室となりました。
どうすればおいしい料理になるのかを考えていくためには、やはり経験は必要です。
まず、子どもたちに試食をしてもらいました。子どもたちになじみのある「チャーハン」と「つみれ汁」です。
ただ食べてもらうだけにはならないように「しっかり何が入っているのか観察しながら食べるのだよ。みんなに作ってもらうからね。」と声をかけると、お米を一粒一粒観察しているのではないかと、思ってしまうくらいに子どもたちは真剣に味見。つみれ汁も同じく、ひと口食べては「この魚は秋刀魚かな?」「味噌が入っているよ」などと話しながら食べていました。
試食が終わった後、つみれ汁について教室の子どもたち全員でレシピを考えていただきました。材料を的確に当てられる子どもが多く、その味覚の鋭さには驚きました。また、これだけ当てられるのですから、ご家庭でもいろいろな味を楽しんでいるから答えられるのだろうと思うと、嬉しさを覚えました。材料がそろった後は、作り方もきちんと子どもたちだけで答えを出してくれました。このレシピを元につみれ汁は参加していただいたお母さん方に作っていただきました。
お母さん方もつくっているときは真剣でした。「どのくらい入れたらいいですか?」という材料の量に関する質問はすべてお答えしないという意地悪もしてしまったので、子ども以上のプレッシャーを与えてしまったかもしれません。
さて、子どもたちには試食してもらったもう一つ、「チャーハン」を作ってもらいます。こちらは班ごとに材料、作り方を考えてもらいました。班ごとで作り方も材料の量も違い、それぞれ工夫を凝らしてレシピを完成させているようでした。
チャーハン作りの重要なポイントになり、毎日の料理作りに役立つ「加熱」について理解を深める実験をレシピ作りの後に行いました。
この実験ではじゃがいもを用いました。子どもたちにどのような加熱があるのか、どのタイミングで材料を入れるのか、どのタイミングであじつけを行うのか、加熱後はどのような状態になるのか、どの加熱方法が最も早いのかなど、ワークシートを活用して、予測してもらい、その後、「焼く」「煮る」「茹でる」「蒸す」「揚げる」の合計で5通りの加熱方法を先生が行い、加熱による違いを理解してもらいました。
子どもたちは、食べ比べて、調理法によって、歯ざわりがちがうことや味がずいぶん違ってくることに驚き、面白がっていたようです。
また、子どもたちが解剖を行うことで脊椎動物の一種としての魚、人間の食べ物としての魚の両面からその存在を認識していただく体験をしてもらいました。
まず、図鑑等を参考にし、魚のイラストを使って解剖図の確認してから、魚をおろす順序を先生が手本として見せ、こども、ひとり一尾を担当し、魚をおろすという流れで行いました。
子どもたちは魚に触れるのがはじめてだったのか、怖がったり、触るのを嫌がっていたりしました。しかし、最後まで一人ひとりが魚をさばくことができました。初めてでも上手にできたことが嬉しかったようで、家でもできそうと言っていた子もいました。また、ぬるぬるしていることが少しきもち悪かったようで、魚をさばいた後に急いで手を洗っていた子もいました。他にも手についたにおいも嫌がっている子もいました。
こういった経験で魚嫌いにならなければよいのですが。
その分、授業最後の食事の時間で、すっかりと空っぽになってしまうくらいおいしかったつみれ汁で挽回してくれたことを願っています。
いよいよ、子どもたちにチャーハン作りに入ってもらいました。今回の授業では3つの班に分かれて、授業を行いましたので、3通りのチャーハンができました。主な特徴は、油を入れない班、材料とご飯を別々に炒め最後に混ぜ合わせる班、材料に対してご飯の量が多すぎる班でした。
出来上がったチャーハンをみんなで味見をしました。おいしいと言える班がすくなかったようです。油を入れないから鍋にこびりついてはがれなくて、はがれてもこげが苦くておいしくなかったり、別々に炒めると材料とご飯に味もばらばらのようだったり、ご飯が多すぎてなかなか炒められず、ベチャっとなったりと反省する点をたくさん子どもたちは気づいてくれたようです。
もう一度先生を交えて、どうしたら今作ったチャーハンよりおいしいものができるのか反省をふまえて、考えてもらいました。一度目のチャーハン作りは、チャーハン作りなんて簡単だと軽く思っていたのか、それとも出来上がったチャーハンがおいしくなかったことが悔しかったのか、もっとおいしいチャーハンを作ってやるという意気込みが一度目よりも二度目のほうが見られ、また一人ひとりが協力的でした。
卵を入れるタイミングやご飯を入れるタイミングなど作り方も、ご飯の量、油の量、その他の材料の量なども班ごとに異なりましたが、子どもたちが後で試食したときに、おいしいと言えるチャーハンが完成したようです。
料理の感想は1度目よりも2度目がおいしい。やはり自分の班のチャーハンが一番おいしいという声が多かったです。
今回の教室を通して、料理ができるようになってもらうのではなく、料理に興味が持っていただけたらと思います。そして、受け継がれていく家庭の味を覚え、その味覚や視覚など五感を頼り、科学的な理解を少しでも加えながら、レシピに頼らなくても楽しくておいしい料理を作っていただけたら嬉しいものです。■

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