「携帯電話の電車内使用に関する公開質問状」を鉄道会社各社に出しました

投稿者: | 2004年4月20日

「携帯電話の電車内使用に関する公開質問状」を鉄道会社各社に出しました

doyou81_denjiha.pdf

市民科学研究室・電磁波プロジェクトは、この 9 月 23 日に首都圏の鉄道会社である以下の 13 社各社に「電車内の携帯電話使用に関する公開質問状」を出しました。書面をお読みいただければおわかりいただけますように、現在多くの鉄道会社は、「優先席付近で電源オフ、それ以外ではマナーモード」というアナウンスで”ルール”の遵守を呼びかけさえすれば電車内での携帯電話の使用を容認してよいと考えていますが、私たちはその考えは乗客の安全を確保するという点だけをとってみても大いに問題があると考えています。このたびの質問状は、その点を具体的に問うものです。

回答をいただき次第、それをウェッブサイトで公開いたします。回答の中身に応じまして、次なる質問を用意させていただくつもりです。皆様のご意見などをいただけますと幸いです。

<質問状の送付先>
東日本旅客鉄道株式会社/東京急行電鉄株式会社/京成電鉄株
式会社/西武鉄道株式会社/東京地下鉄株式会社/東武鉄道株
式会社/京浜急行株式会社/京王電鉄株式会社/小田急電鉄株
式会社/相模鉄道株式会社/新京成電鉄株式会社/東葉高速鉄
道株式会社/東京臨海高速鉄道

●質問状

(鉄道会社 各社) 様

はじめまして。

鉄道を常日頃から利用しております一市民としまして、電車車両内で携帯電話を使用する際のルールについて、安全で快適な利用の観点からどうしても気になる点がございますので、質問させていただきます。

質問事項
鉄道車両内において乗客が携帯電話を使用することに関して、2003年9月15日以来、首都圏鉄道各社が「優先席付近において電源を切り、それ以外の場所では通話は控えマナーモードにする」ことを車内アナウンスする措置を講じ、乗客への協力を求めています。これは、携帯電話から放射される電磁波が心臓ペースメーカーなどの誤作動をもたらしかねないことに配慮して、その装着者が車内において安全を確保できるようにするための措置であると理解できます。

(1)まず、ある車両において乗客全員が上記のアナウンスの指示に従った場合を考えます。その時、優先席付近以外の場所において、マナーモードの携帯電話で送受信される電波が心臓ペースメーカーなどの機器に誤作動を引き起こさないとする判断は、具体的にどのような調査や実験的検証に基づいてなされているのでしょうか。多種多様な機種が使用されることや多くの乗客が同時に携帯メールの送信を行うことが、車両内においては当然あり得るわけですが、このような状況をも想定して検証がなされているのでしょうか。

(2)たとえば事故などに遭遇して停車した電車の中においては、大勢の乗客が優先席の付近であるか否かにかかわらず、同時に携帯電話で通話して外部と連絡を取ろうとすることが考えられます(現実にそのような光景を何度も目にしたことがあります)。こうした場合、携帯電話の電波の総出力はかなり大きくなると思われますが、こうした状況においても誤作動を生じないという保証はあるのでしょうか。

(3)現実には、「優先席付近で電源を切る」というマナーの呼びかけはほとんど無視されているように見受けられます。すなわち優先席付近でメールの送受信はおろか通話をする者も少なくありません。こうした乗客の行為によって、心臓ペースメーカーが誤作動し、人命にかかわる事故が生じた場合、その責任は誰がとることになるのでしょうか。ある優先席の近辺に仮にそうしたマナー違反をおかす乗客が複数いた場合、その責任をどの乗客に特定できるのでしょうか。そして鉄道会社には、乗客に対してルールの遵守を徹底できなかったことによる責任は生じないのでしょうか。

(4)携帯電話からの電波はマイクロ波であり、金属はマイクロ波帯の電磁波を反射します。金属でできた電車の内部では携帯電話の電磁波はどこかで散逸または吸収されない限り反射し続けると推測できます。そうすると車両内で複数の携帯電話を使用した場合に、電磁波の総出力が大きくなることが考えられ、通話している本人以外の人においても決して微弱とは言い難いマイクロ波をその車両内で被曝することもあり得ると想像できます。この点について、車両内で実際にこのような事態が起り得ると想定しておられるのでしょうか。もし想定なさらないとするならば、その根拠は何でしょうか。

(5)乗客が満員になりがちな時間帯においては、乗客が車両内において携帯電話を使用した場合に、より危険度が高まると考えられます。それは、乗客どうしの身体が密着し、危害を回避するのに必要なだけの距離を確保できない場合があると思われるからですし、また、携帯電話を持つ人々にとってもあるいは心臓ペースメーカーなどを装着した人々にとっても、あらかじめ優先席付近あるいはそれ以外の場所に移動するという選択的な行動をとることが難しいからです。このような状況においても安全性が確保されるという保証はあるのでしょうか。あるとすれば、それはどのような根拠に基づくのでしょうか。

(6)心臓ペースメーカーを装着した人が乗車した際に、携帯電話からの電波によってその機器が誤作動を起こしたという事態は、これまでに何件ほど生じているのか、あるいはそうした場合に何らかの身体的な危害を被った人がどれくらいいるのかを把握しておられるでしょうか。また、補聴器を装着した人々からは、携帯電話からの電波が影響して強い雑音が発生し聴き取りが困難になるとの苦情をしばしば耳にします。こうした被害の状況についても把握しておられるでしょうか。そして何らかの対策を講じる必要があると考えておられるでしょうか。 以上6点につきましてご回答をいただきたいと思います。 利用者の安全確保は鉄道事業法に規定された鉄道事業者の義務だと聞き及んでおります。また、電波法によって、携帯電話会社は、携帯電話利用者に、他人に危害を与えるおそれのないような利用を徹底させる義務が生じます。また、電波利用に関する諸行政を統括する総務省には、電波利用に伴って安全が損なわれる可能性があると想定できる合理的な根拠がある場合には、それを事前に予防するための対策を講ずる責務があります。

鉄道事業や電波事業が公共のための責務を負った事業であることに鑑みまして、この質問状は一市民の発したものであるとはいえ国民全員にかかわるものでありますので、様々な報道機関やメディア、そして公共性の高いいくつかの市民団体のウェブサイトなどにも同時に知らせることといたしました。

誠に勝手ながら10月15日(金)までに下記に住所を示しました差出人宛てにご回答をいただけますでしょうか。いただいたご回答も上記報道機関などに伝え公開する所存でございます。
どうかよろしくお願い申し上げます。

2004年 9月23日

市民科学研究室・電磁波プロジェクト
上田昌文(代表)
薮玲子
懸樋哲夫(ガウスネット代表)
赤坂剛史
住田朋久

質問代表者  上田昌文(市民科学研究室代表)
〒113-0033東京都文京区本郷6-18-1Tel&Fax:03-3816-0574

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