博物館の国際的動向2016(連載:博物館と社会を考える 第5回)

連載:博物館と社会を考える 第5回
博物館の国際的動向2016

 前4回から少し離れて、今回は博物館分野における国際的動向を見ていきたいと思います。ここ数年、世界の博物館界では大きな出来事が相次いでおり、また今後数年間に日本国内で計画されている大きなイベントがいくつもあります。あらゆる館種の博物館やその周辺で活動する方々にとって、それらの動向にどんな意味があるのかわたしなりに見ていきたいと思います。

1.ICOM ミラノ大会(2016)

 今年、2016年は国際博物館会議(International Council of Museums 以下、ICOMと略します)の3年に1回の大会(General Conference)が開催される年に当たります。今回の開催都市はイタリア北部のミラノ市、世界文化遺産をいくつも擁する歴史と文化の町です。ICOMの第24回大会は2016年7月4日〜9日にミラノの国際会議場(Milano Congressi、MiCo)を中心とした会場で開催されました。世界129の国と地域から博物館職業人 3,433名が集まったとのことです。(注1)

 ICOM(http://icom.museum)はあらゆる館種の博物館を含む、博物館と博物館職業人(professionals)の組織です。1946年設立、本部はパリで、136の国と地域から35,000名の会員が集っています(注3)。UNESCO(国際連合教育科学文化機関)は同じく1946年にパリを本部として設立され、国連機関とNGOと立場は異なりますが緊密な関係にあります。

 今回のICOMの大会には、日本から大勢の関係者が出席しました。2015年6月の本部パリにおけるICOM年次総会で、その次の第25回大会が京都市で開催されることが決まっていたからです。わたし自身、ICOMには1994に入会し、国内での集まりには出席したことはあったものの、大会への参加は実は今回が初めてでした。
 この連載の第1回で博物館の定義を調べる際に、国際的な合意としてこのICOMの規約(statute)における用語「博物館」の定義を参照しました。実は今回、ミラノではこの定義に影響を及ぼす決定がなされたのです。まず最初にこのことを紹介します。

林 浩二(千葉県立中央博物館)

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