市民科学、シチズンサイエンス(Citizen Science)は現在、市民がいろいろな度合いやいろいろなやり方で参加して営まれる、科学に関わる活動を幅広く指すものとなっています。特に欧州ではこの Citizen Science の活動が各地で立ち上がり大きな広がりをみせている状況をふまえて、ネットワークを築いてお互いをより発展させていこうとしたり、国や大学なども支援する仕組みを作ったり、という動きが活発です。
ここに紹介する冊子もそうした活動の中から生まれたものです。GEWISS というドイツにおける市民科学の強化を目的とした能力開発プログラムであり、プラットフォームでもある「市民が知識を創造するプロジェクト」 (独語で BürGEr schaffen WISSen – Wissen schafft Bürger, 英語でCitizens Create Knowledge – Knowledge Creates Citizens)に関わる多様なメンバーによって作成された、「Citizen Science とは何か」「それにどう取り組み、進めていけばいいか」を簡潔にまとめた実践的なガイドブックです。現在、ドイツ語版と英語版が出ており、市民科学研究室が訳した日本語版は、それらに次ぐものと言えます。
ドイツ語版:Citizen Science für alle — Eine Handreichung für Citizen Science-Beteiligte
英語版:Citizen science for all — A guide for citizen science practitioners
以下に掲げる日本語版は市民科学研究室の小林万里絵、杉野実、永田健雄、上田昌文が英語版から翻訳して作成しました。
『市民科学のための実践ガイド』
市民科学研究室では、この翻訳を機に、「市民科学」そのものについて考察を深め、日本において市民科学をどのように展開していくべきかを学び合い論じ合う機会を設けてきたいと考えています。
10月から始まる連続講座「日本の市民科学者―その系譜を描く」もその一つです。
この翻訳冊子が多くの方々の役に立つことを願っております。