このプロジェクトは、市民科学研究室会員ならびに市民科学者育成塾受講生を主たる対象として、ツアーを通じ、様々な土地・場所で色々な活動を行っている方々と愉しく交流し、その交流を通じて自分や地域の抱えている諸問題に気づき、それにどうアプローチするかのヒントを得ることを目指しています。
市民科学研究室は2023年より「市民科学者育成塾」プロジェクトを開始しました。
これは、「問題が起こっている現場を(そしてそこに暮らしている人々のことを)よく知り、その問題の解決のためにこそ必要な科学の知を身につけて活用する、という姿勢と能力を持つ者」=「市民科学者」を養成する事業です。これを立ち上げたのは、現在の学校での理科や大学での自然科学のコースでは「科学者」は作れても、「市民科学者」を作ることはできないからです。
市民科学者となるための基礎的な要件は、たとえ専門的な難しそうな事柄に出くわすことがあっても、自分で上手に調べていけるようにすること(Ⅰ:「自分で調べる技術」)、そしていろいろな地域でエネルギー、環境、健康、安全、まちづくり……などの問題に取り組んでいる人々に会い、その問題を知り、問題解決に貢献できるような関わりを作っていくこと(Ⅱ:「現地体験」)だと考えられます。市民科学者育成塾は、このⅠとⅡの機会を、1 年間のプログラムとして提供しています。
そして受講生自身が見出した地域の課題があれば、それを尊重して、グループ調査が組めるようにする。このような「市民科学者」の養成の第一歩を提供する教育プログラムと、その維持を恒常的に支えるシステムがあれば、さまざまな社会的な諸課題に対して、それぞれの地域でその地域の住民が主体となった取り組みが促進され、ひいては科学者の社会的役割や科学技術政策にも影響を与え、社会全体の民主化に貢献することになるでしょう。
このような狙いのもと、「現地体験」を実施するにあたっては、その現地について解説資料や説明講座で事前に学んだ上で、
【現地に行く】【現地の人々と交流する】【現地の生活を知る】
【現地の問題を深く知る】【現地の問題の解決を構想する】
といった取り組みにつなげていくことになります。
これらを経験していくためのサブプロジェクトプログラムを提供するのが「スタディーツアー」です。このようなツアーは「エコツアー」と称し、近年環境省も、貴重な自然遺産や文化遺産などの保全活動に関わる、持続的な観光の新しい形の一つとして推奨しているものです。
このプロジェクトのこれまでの実績と報告レポート
・第1回GIAHS山梨峡東地域ツアーレポート – 市民科学研究室 (shiminkagaku.org)
・10/29(日)「えねこや」野外イベント参加 – 市民科学研究室 (shiminkagaku.org)
・市民研がゆく〜事業所訪問録〜 – 市民科学研究室 (shiminkagaku.org)
今後はこうしたツアーを通じて知り合い交流した訪問先の方々や、現地を一緒に巡った仲間たちと共に、継続した交流の場の機会を自ら企画・運営するといった、「率先して自らが他者に働きかけて動く」活動も含めた「大きな交流の輪」を築き上げることを目指します。
同時に広報やツアーの感想を述べる場など、市民科学研究室の土曜広場や、市民科学者育成塾といった場を積極的に利用していく予定です。
2024.03.18
橋本正明(市民科学者育成塾・スタディーツアーPJ 世話人)