生命科学の爆発的な進展によって、人の誕生から死にいたる一連のプロセスの中で、生殖、生と死の境界、老いや病の概念などを大きく変えてしまう可能性を持つ、さまざまな技術が生まれるようになりました。出生前診断、体外受精、卵子提供、代理出産、臓器移植、サイボーグ技術や脳科学を応用した心身の機能の増強(エンハンスメント)……私たちが漠然と共通の認識にしていたこれまでの生命観(命のとらえ方)が揺らぎ始めています。この趨勢の中で、何よりも心がけなければならないのは、「技術にふりまわされる社会」ではなくて「技術を皆で議論し適正に選んでいく社会」にするためには何が必要かを、個別の問題を扱いながらも考え抜いていくことです。この研究会では、「生命を創る」ことを目指した領域(合成生物学)を中心に据えて、不妊治療・生殖補助医療およびエンハンスメント技術などにも目配りしながら、これらをめぐる市民や専門家のさまざまな声や意見を収集して整理し、議論の機会を設けます。問題点を明確にして、どのような対応策が有効なのかを提起していきます。
▶次回研究会の開催日時:こちらから
▶読書会テキスト:
書籍『合成生物学 人が多様な生物を生み出す未来』
▶次回の読書会で取り上げる章や節:第1章
この研究会を開始する2024年4月に、世話人の上田昌文(市民研・代表理事)が講師を務める次の公開講座が開かれます。
研究会を開始するにあたって、複雑で多様な広がりをみせる生命操作の問題を、なんとかうまく整理して把握する機会にしたいと考えています。
4/8(月), 4/15(月)「かわさき市民アカデミー」で生命操作問題に関する講座を担当
・4月8日(月)
生命科学と社会の関わりの全体をとらえる~種差別から命の選別、エンハンスメントまで~
・4月15日(月)
性と生殖~性の多様性、ゲノム編集技術、生殖医療の行方~
参加を希望される方はこちらのフォームからご連絡ください。