2013年12月からセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(Save the Children Japan)と市民科学研究室が共同ですすめてきた、福島県での「放射能リテラシーワークショップ」。放射線の正確な科学的理解をはかり、放射能汚染・被曝がどのような社会問題をもたらしそれへの対処にどう関わっていけるかを、生徒自身が思い描けるようにするワークショップです。一部に実測やゲームも取り込み、生徒自身の主体的な意見を最大限に引き出すために、徹底した対話型をとっています。
これまでに実施したワークショップの報告
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このワークショップの成果を『みらいへのとびら』というハンドブックにまとめました。放射能リテラシー子どもたちが一人ひとりで放射能のことを学ぶときに、あるいは、学校の先生が放射能に関する授業をすすめるときに、利用してもらうためのものです。PDFで全部をダウンロードできます。
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『セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 東日本大震災緊急・復興支援 5年間の軌跡 子どものために 子どもとともに』という報告書に寄せて、上田が書いた文章でこのワークショップのことを述べているので、それを転載しておきます。
原発事故以降、福島県は県をあげて小中高での放射線教育を推進してきた。だが、従来の教科の枠に収まらない内容を、しかも、今現実に抱えている、健康への不安や避難・帰還の是非など、実に様々な問題に向き合うべく、学べるようにすることは、どの教員にとっても至難の業であろう。放射能リテラシー事業は、その困難を見据え、複数の中学校などの協力を得て試行錯誤を重ねながら、開発された。その最大の特徴は、子どもたちが放射線の正確な科学的理解をはかることと、放射能汚染・被曝がどのような社会問題をもたらし、それへの対処にどう関わっていけるかを思い描くことを統合している点にある。一部に実測やゲームも取り込み、子どもたち自身の主体的な意見を最大限に引き出すために、徹底した対話型をとっている。これまで約20回におよぶ中学校などでの実践で、関わってくださった教員の方々からも好評をいただいたが、何よりも教室の子どもたちの生き生きとした反応が忘れられない。人類史に刻まれるほどの大規模な原発事故による広範で長期的な影響を、子どもたちが自身の力でどう乗り越えていくのか—放射能リテラシーワークショプはそのための確かな一助になると思う。