(撮影した写真はPDFファイル文書において複数掲載)
夏休み自然観察会 大町自然公園訪問 2025年8月23日
松田美恵子(市民科学研究室・会員)
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以前から、訪ねてみたかった市川市の大町自然公園、北総線の大町駅で降り、自然博物館学芸員の金子さんの案内で、ナシ園の広がる中を公園入り口まで歩きました。私と杉野さん二人の参加でしたので、金子さんの興味深いお話を、たくさん聞くことができました。
ナシは今年の暑さで出荷時期も早まり、また、これから収穫する品種は暑さの影響が気になる、とのこと。そのような中でも、販売所にカフェを設けたり、ネット販売に力を入れたりと新しい試みをしている農家もある、とのことでした。
公園に入ると、木がうっそうと茂り、ほの暗くなります。ここは、川が削った谷底とその周囲の斜面からなる地形で長田谷津と呼ばれます。以前は、このような谷合でも稲作がされており、田んぼだったとのことですが、減反政策により農家が稲作をやめたとき、市が自然環境の保全を目的として買い取ったそうです。50年たった今、田んぼは湿地帯となり、かつて里山だった斜面の林は、遷移して常緑樹にすっかり置き換わったところもあれば、未だ武蔵野の林の雰囲気が残っているところもありました。
斜面と谷底との境目から湧き水が出ており、手を浸すと冷たく感じます。湧き水は、雨が地面から地下に浸み込んで長年かけて、しみ出て来るのだそうですが、もし周りがナシ園でなく宅地だったら、雨水が浸み込まないので、湧き水は涸れるだろうとのこと。湧き水を守るには、公園だけでなく、周囲の環境も大事なのだと感じました。
公園の中央あたりにはバラ園があって、色とりどりのバラが咲き誇っています。これは、後から作ったものですが、家族連れのお客さんなどもおり、公園に足を運んでもらうのには一役、買っているようです。
クワガタやカブトムシが樹液を求めて根元に集まっている木もありました。公園内には採集してもよいエリアがあり、虫取り網を持った親子が来ていました。
堆積した土や葉を取り除いたり、伸びすぎたつるを取ったり、湿地を維持するのも手入れが欠かせず、ボランティアさんの力を借りているとのこと。学校からの見学を受け入れたり、散策会を開いたり、地域との交流にも力を入れています。
ヨシやガマの群生など、様々な表情の公園の中の道を歩き続けて、反対側の出入り口付近に着くと、市立の自然博物館や動物園があります。自然博物館では、河口を遡って来た小さなカニや絶滅危惧種のホトケドジョウなど、公園にいる生き物が見られます。
都市の中で、これだけ広いエリアの自然を保全しつつ、かつ市民に開かれた施設にするために、関係者や市の方々が様々な工夫をし、苦労もされている様子が伺えました。
他にも、様々な植物や昆虫、金子さんの語るエピソード等々が山ほどありました。とても感銘を受けた体験で、今回の企画に感謝いたします。さらに多くの方が長田谷津を訪ねていただけるとよいと思いました。■