千葉市緑区の 生活習慣予防ポピュレーションアプローチ

投稿者: | 2017年2月18日


市民科学研究室 「健康まちづくり」ヒアリング報告04

千葉市緑区の生活習慣予防ポピュレーションアプローチ

千葉県緑保健福祉センター健康課
金谷郁義さん、大場有功さん、林富佐子さん

 千葉市では、健康な街づくりを促すことを目的として、平成21年度から健康づくり支援ネットワーク事業が始まりました。
 地域住民はもちろん、社会福祉協議会や大型ショッピングセンター、商工会など地区の組織や事業所、医師会などを構成員とし、地域の情報を共有し、健康課題を把握・検討し、地域の特性に応じた活動について話し合われる「地域健康づくり支援連絡会」、さまざまな世代の方々が、自分にあった健康づくりができるよう、地域の健康づくり情報を伝える「健康づくり支援マップ」の作成、健康フェアやみどり親子元気塾などの「イベント等による普及啓発」の3本柱で事業を行っています。
 緑区で掲げているスローガン「みどりく みなおし」は、健康な街づくりを促すために目標を設定し、取り組む方向性を明確にするために作られたものです。こちらは地域健康づくり支援連絡会で検討され、生活習慣病の予防推進、生活習慣改善の普及に役立っているようです。

 このスローガンのすばらしい点は、市職員が発案者となっているが、住民がグループワークを通し普及目標を立てていることです。
 たとえば「みどりく みなおし」の「く」は「区民で目指そう8020!年に2回の歯科検診」となっています。住民が生活に取り入れやすく、健康に必要な取り組みはどのようなことかを検討し、明確な目標が設定されています。
 イベント等による普及活動のひとつ、「健康フェア」が実施されています。
 こちらは地域健康づくり支援連絡会の協力の下、市の取り組み事業の紹介、体組成計や血圧計などを使用して自分の健康を把握、介護予防の教室や健康相談の紹介、スローガンのパネルを作り、意識調査・健康普及啓発がされ、平成26年度から年に1度実施されています。
 ショッピングセンターで行われており、さまざまな世代の住民が参加でき、手軽に立ち寄れますし、土日に実施され、さらに子供も楽しめるプログラムを取り入れることで、就労世代へのアプローチにもなり、平成28年度は実人数500名、のべ2276名が参加され、自分たちの体に興味をもち、健康を意識できる入り口となっています。

 そのほかには、「みどり親子塾」が開催され、夏休みの特別企画として、親子で生活習慣を見直すイベントが開催されています。子どもたちがバランスのよい料理を学び、親たちは体を動かす機会が設けられ、その後試食や歯磨きについて学べるプログラムとなっています。
 さらに「ちばし いきいき体操」を平成27年度から実施しています。こちらは、高齢者の方に対し、気軽に歩いて行ける場所で、筋力アップ、口の体操、認知症予防の体操を住民が主体となり実施していくグループづくりの活動です。また地域に運動を広げるためのヘルスリーダー養成教室開催し、ご自宅や公民館など、気軽に歩いていける場所で、介護予防のための運動に取り組める街を目指しています。
 イベント以外では平成25年度から運動自主グループへのサポートも行っています。毎週一度以上取り組みをされているなど一定の基準を満たす自主グループには登録(エントリー)をしていただき、ポイントがたまると商品を贈ったり、選考基準に達した健康づくり優良団体には市長名で表彰をしています。自主グループの登録は増えていますが、登録をしていないグループも多いようです。自治会単位でラジオ体操や太極拳の実施、ウォーキングがしやすいように住宅開発の際に散歩道や公園の整備が行われているため、歩く人口も多いようです。

 そのほかに、健康課ではさまざまな取り組みが行われています。
 妊婦さんを対象とした食事について学びながら仲間づくりも出来る「プレママcafé」や65歳以上を対象とした運動と食事、音楽、落語などを通して行われる「食事セミナー」、口の働きについて学び、音楽や体操を通して口腔ケアを学べる「歯っぴー健口教室」など教室の開催や健康相談を実施しているようです。
 他部署との連携は高齢者の相談窓口となっているあんしんケアセンターとの連絡会が3回、歯科担当は学校と幼稚園、保育園など年1回、栄養士は保育所、小学校、中学校、幼稚園など1回、母子支援では子育て支援連絡会を主任児童員、幼稚園、保育園、地域保健推進員、子育て支援センター等の担当者が集まり年2回、学校保健連絡会を1回開催し、地域の問題や情報提供を行って連携を図り、それぞれの専門職がスローガンに沿って、取り組みを進めています。
 今年度の緑区健康課は健康ウォークへの取り組みに力を入れており、区内のスポーツクラブの協力により、ウォーキング講座を開催し、ウォーキングの会として定例化しているようです。スローガンでは「みどりく みなおし」の「ど」。どんどん歩こう!みんな誘って健康ウォーク!になります。

2017年1月19日ヒアリング実施
ヒアリングとまとめ:上田昌文+小林友依

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