歴史から学ぶ、未来を見つめる 〜エジンバラ大学滞在報告〜

投稿者: | 2017年6月19日


歴史から学ぶ、未来を見つめる
〜エジンバラ大学滞在報告〜

見上公一
(東京大学教養学部附属教養教育高度化機構 科学技術インタープリター養成部門)

歴史の街エジンバラ

この4月に東京に戻るまで、私はエジンバラ大学で研究を行っていました。エジンバラは英国北部に位置するスコットランドの首都で、ロンドンから電車で約4時間半の距離にあります。街の中心に位置するウェーバリー(Waverly)駅の北側は新市街(New Town)、南側は旧市街(Old Town)と呼ばれ、どちらもユネスコの世界遺産に登録されており、英国の中でも有数の観光地として知られる街です。街のシンボルとも言えるのは、崖の上にそびえ立つエジンバラ城で、そこからホリールード宮殿まで続くロイヤルマイルと呼ばれる一本道では、年間を通じて多くの観光客の姿が見られます。8月に開催されるフリンジ(Fringe)と呼ばれるフェスティバルでは大道芸などでも賑わうこの道ですが、ちょっと歩いてみると哲学者デイヴィッド・ヒューム(David Hume)や、経済学者アダム・スミス(Adam Smith)の銅像を見つけることができます。また、先ほど述べたウェーバリー駅は詩人ウォルター・スコット(Walter Scott)の同名の歴史小説にその名を由来しますし、世界を代表する推理小説「シャーロック・ホームズ」シリーズの作者アーサー・コナン・ドイル(Arthur Conan Doyle)が生まれたのもこのエジンバラで、長きにわたり思想や文学の発展に関わってきた街と言うことができるでしょう。そして、近年ではJ.K.ローリング(J.K. Rowling)がファンタジー小説「ハリーポッター」シリーズの第1巻「ハリーポッターと賢者の石」を執筆した場所としても知られています。

そんな街に1583年に設立されたのがエジンバラ大学です。大学は街のどこにあるのかという質問をたまに受けることがありますが、エジンバラ大学の建物は街中に存在しており、一カ所にまとまっていないため、実は「ここ」と言うことは難しいのです。大学図書館があるジョージ・スクエア(George Square)や、大講堂のあるブリスト・スクエア(Bristo Square)、そして、美しい中世の建築物であり現在は法学部があるオールド・カレッジ(Old College)の周辺のことをエジンバラ大学のメインキャンパスと認識する人が多いようですが、多くの実験室はキングス・ビルディングス(King’s Buildings)と呼ばれるキャンパスにありますし、医学部はリトル・フランス(Little France)という街から少し離れた場所に大学病院と併設されています。また、クローン羊ドリーで有名なロズリン研究所(Roslin Institute)は、イースター・ブッシュ・キャンパス(Easter Bush Campus)という郊外のキャンパスに含まれています。街の規模としては、同じスコットランドの都市グラスゴー(Glasgow)には及ばないものの、エジンバラはスコットランド議会を有する地方政治の中心地であり、学生や研究者、そして、その他の大学関係者が多く住むことから、とても国際的な街です。

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