「地域まるごと健康づくり」をすすめる 医療生協さいたまの活動・取り組み

投稿者: | 2019年1月9日

「地域まるごと健康づくり」をすすめる医療生協さいたまの活動・取り組み

医療生協さいたま本部 けんこう文化部 広報課
白井基夫

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差額ベッド代と健康の自己責任

病院に入院すると「差額ベッド代」がかかることがあります。1日あたり平均で6000円以上といわれ、2週間入院すると8万円を超える計算です。「健康保険があるのになぜ?」と、疑問に思ったことはありませんか。

そして、こんな問題について考えたことはあるでしょうか。お金のない人や、なんらかの理由で健康保険証(被保険者証)を持っていない人には、適切な医療を受ける権利がないのでしょうか。健康を害しているとすれば、それは自己責任なのでしょうか。病気になって苦しみ、痛みに耐え、仕事をすることも厳しくなって貧困化し、最後は死にいたっても仕方ないのでしょうか。
さらに議論をすすめていくと、いのちの重さの問題・社会保障制度のありように、「コスト」や「費用対効果」という語を持ち込むこともOKなのか、という疑問も浮上してきます。

日中戦争・第二次世界大戦後、日本で国民皆保険制度ができたのは1961年です。1947年5月に施行された日本国憲法ではすでに、国民に健康である権利が保障され、社会保障・社会福祉・公衆衛生の向上が国の責任ですすめられるべきものとされていました。しかし、その内実が具体的に保障されるまで(制度として整備されるまで)、国民は15年以上、待たなければなりませんでした。当時の医療・健康保険制度は、どうなっていたのでしょうか。

農民たちが中心になって診療所を設立

医療生協さいたま生活協同組合(以下、医療生協さいたま)は、県内の6つの医療生協が合併して、1992年4月に誕生しました。それから約25年が経ち、医療生協さいたまは約23万人の組合員と、3000人を超える職員、35を超える事業所(病院・歯科を含む診療所・老人保健施設・ケアセンターなど)を持つにいたりました(組織概要は後述)。

その事業所のひとつ、ふじみ野市にある現在の大井協同診療所の歴史をひもといてみると、当時の状況が浮かび上がってきます(「大井協同診療所の60年のあゆみ」)。

敗戦前後の埼玉県は、田んぼや畑が広がる農村でした。医師のいない地域は、珍しくありませんでした。そうしたなか、大井村に疎開しながら東京の病院に勤める医師・大島慶一郎(1908~96年)が農民を対象に診察をはじめ、1946年、多くの村民の協力のもとで健康保険組合連合会大井医院開設が開設されました。ただ、当時の農民は現金収入が少なく、診療代を払えないことが日常的にあり、年末にまとめて徴収する時代もありました。そこには、患者負担5割、という制度的な問題もありました。食糧の強制的な供出も課され、農民たちは厳しい生活環境にあったと聞きます。

大井医院の診療制度をめぐっては、政府や県などからの圧力によって閉鎖という事態にいたり、裁判闘争にも発展しました。1951年に入間地方健康を守る会が発足し、翌年には農民たちが中心になって資金を出し合い、診療所の経営を継続できることになりました。1954年、組合員300人、出資金20万円で、入間医療生活協同組合の設立総会が開催されました。

1963年、医療生協化が決定しました。これが、正式に組合員主体の医療機関としてのスタートです。その後も行政との確執などがあり、けっして順風満帆な事業活動ではなかったものの、地域健康診断の実施、予防接種無料化の実現、70歳以上の老人医療無料化の実現などを行ない、診療所も建て替え、現在にいたります(写真=現在の大井協同診療所の外観)。まさに、地域の人びととともに歩んできた歴史です。

そもそも生協、医療生協とは?

かなり駆け足の説明ですが、医療生協さいたまの原点・大井協同診療所の歴史を振り返ると、「医療生活協同組合=医療生協」とはどんな事業体かが、おぼろげながら見えてきたかもしれません。

生協といえば、多くの方に身近な存在として知られているのは、「コープ」という略称で知られる購買生協でしょう。協同組合としては、農協(農業協同組合)や漁協(漁業協同組合)などに対して、物品を販売する店舗があったり、それらを個別に配達してくれたりする生協が購買生協です。医療生協も購買生協も、消費生活協同組合法(生協法)を法的根拠に成立している非営利団体です。

医療生協ももちろん、生協(生活協同組合)です。医療生協の連合体としての日本医療福祉生活協同組合連合会(略称:医福連)には、全国の約120の医療・福祉関係の生協が加盟しており、総組合員数は約300万人です。医福連は、1957年に設けられた日本生活協同組合連合会(日本生協連)医療部会を構成していた115生協の総意によって、2010年に設立されました。医福連のなかでも最大規模の生協が、医療生協さいたまです。

医療福祉生協では、以下の理念を掲げながら、事業活動や組合員活動をすすめています。

健康をつくる。平和をつくる。いのち輝く社会をつくる。
そのために
地域まるごと健康づくりをすすめます。
地域住民と医療や福祉の専門家が協同します。
多くのひとびとの参加で、地域に協同の“わ”をひろげます。

 ところで、日本生協連では、「協同組合の定義・価値・原則~『協同組合のアイデンティティに関するICA声明』」を紹介していますが、これは短く「3原則」で説明できます。①出資、②利用、③運営、です。

①出資
一人ひとりが出資することによる運営。この出資金をもとに、生協の事業を行なう。医療生協では、病院の建設、医療器具の購入、設備の保持・拡充、イベントの開催などに使われる。脱退時には払い戻す(投資ではない)。
②利用
みんなで利用すれば(利用増大による収益アップで)、事業を発展させることができる。事業の発展があれば、組合員のための事業をさらに拡大・促進していくことができる。
③運営
組合員一人ひとりが主人公。出資金の使い道や商品・サービスのことなどについて、みんなで意見を出し合い、助け合う。そして、組合員のなかから選挙で選ばれた総代で構成される総代会が、最高意思決定機関(株式会社における株主総会に相当する)。

【続きは上記PDFでお読みください】

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