国際放射線防護委員会(ICRP)は2019年6月に、2つの勧告関連文書(Pub.109&111)の改訂草案「大規模な原子力事故における人と環境の放射線防護」を公表しましたが、10月25日締め切りでなされた意見募集(パブコメ)には多数の意見(約300件)が日本語もしくは英語によって寄せられました。専門家ではない、一般の人たちからの意見が、放射線防護のあり方についてこれだけ多く寄せられたことは、いまだかつてなかった、と言えるかもしれません。
寄せられた意見のうちかなりの数のものが、英語で書かれ、かつ専門的な内容も含むものが多い、という事情を考えて、日本語としてすべてのパブコメを読むことができるようにと思い、市民科学研究室・低線量被曝研究会のメンバーが、全文を訳してみました。
文書はA3の大きさで、字は9ポイントにして、330ページになりましたが(PDFで6.3Mバイト)、以下からダウンローできます。
国際放射線防護委員会ICRP報告書(勧告改訂)草案(ICRP 刊行物 109と111の改訂)「大規模な原子力事故における人と環境の放射線防護」(Radiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accident)への意見募集(パブコメ、2019年10月25日締め切り)に寄せられた意見の全文・日本語訳
→ダウンロードはこちらから (2020年9月3日に訳文の一部とレイアウトの乱れを修正した改訂版と差し替えました。)
以下、文書公開にあたって「凡例」を記しておきます。多くの方々にこの翻訳文書をご活用いただけることを願っております。
【凡例】
・原文はICRPのサイトRadiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accidentに掲げられています。
・上記サイトではパブコメ募集締め切り期日に近い順に投稿が上から下に並んでいますが、この翻訳文書では、それとは逆に、つまり投稿の早いものが先に来るように並べています。
・上記サイトには通し番号は付されていませんが、この文書ではそれを付しています。
・重複している投稿や、投稿者は異なるけれど内容(意見文面)は同じかほぼ同じという投稿についても、そのまま掲載しています。
・各意見の右欄に「原文参照(view)」のリンクが貼ってあります。ここをクリックすると上記サイトの原文を見ることができます。
・参考文献を示した投稿が多数あり、可能な限りそのまま掲載していますが、ごく一部に割愛したものがあります(原文をたどれば必ず確認できます)。
・英語で投稿された意見の翻訳に、日本語で投稿された意見も合わせてすべてを投稿順に掲載しています。
・訳文は可能な限り正確を期しましたが、若干ながら、原文に誤記がある、あるいは原文の意味が通らない、と判断ぜざるを得ないものがありました。その旨を該当箇所に訳注として記しています。
・レイアウトも可能な限り原文に揃えるよう努めましたが、こちらの文書フォーマットの都合で変更したものがあります。ご了解いただければ幸いです。
・誤訳や誤植なども若干含まれているかもしれません。気づかれた方はぜひ市民科学研究室にまでご連絡いただければありがたいです。
・この翻訳は、低線量被曝研究会のメンバーの糸永慎吾、上田昌文、柿原泰、瀬川嘉之、林衛、山口一郎、吉田由布子、そして一部を高木学校の奥村晶子、崎山比早子、永添泰子が担当しました。全体の校閲は上田が行いました。
・この翻訳作業は、立正佼成会「一食(いちじき)福島復興・被災者支援」事業による2020年度助成を受けてなされました。