プロジェクト報告 「電車内携帯は問題!」 --本堂毅東北大学大学院助手講演ーー

投稿者: | 2003年4月8日

プロジェクト報告
「電車内携帯は問題!」
--本堂毅東北大学大学院助手講演ーー
電磁波プロジェクト 懸樋哲夫
doyou68_kakehi.pdf
1 1 月8 日、東京理科大学の一教室をお借りし、「高周波電磁波の反射と重複」というタイトルで、土曜講座の講演会が開催された。 電車の中の携帯電話使用に関しては、通話しなければいいのかという問題があり東北大学大学院理学研究科の本堂毅助手に講演いただいたもので約7 0 名が参加した。
本堂氏は電車などの中では反射により離れた場所でも電磁波強度が強くなることを昨年報告しており、英のBBC放送で2002 年5 月1 日付けの報道がされ、日本ではこれに続き6 月3 日朝日新聞夕刊に「携帯電話、電源オンで、通勤電車に電磁波充満?」という見出しの記事になったりしている。
本堂さんの専門は熱力学で、電磁気学については専門ではないが、授業の中にはあり「今日のような話は物理学を学ぶ者にはだれにでもわかる」ということだ。一車両内で携帯電話の集中した使用があるとその電波の総出力は、CS放送の人工衛星からの出力(数十ワット)をも超えうる状況なのだという。JRの公式見解では郵政省の報告書で携帯電話から2 2 センチ離れれば安全だというのを根拠としているがこれについてどうなのかを実験で示したものである。電子レンジでコップに入れた水を温め、マイクロ波の発信源に近い場合遠い場合で温度の変化があるかどうかを調べてみた。このとき使用された電子レンジがたまたま新しいものでなべを置く台が回ってしまうため明確な確認が出来ないということになってしまった。しかしアルミ箔を内側に貼り付けたダンボールに携帯電話を入れ、中での電磁波計測器の位置による数値の違いを見てみると、離れている場所の方が数値が高くなることが確かめられた。電車は窓を除けば9 割が金属で囲われている。そしてエネルギー保存の原則からして密閉された空間では電磁波の総量は減らないことになる。
このようにしてみると電子レンジの庫内と同様なメカニズムが働く電車内などでは、「携帯電話から何センチ離れれば安全」という単純な議論は成り立たないということになる。「ペースメーカー」のための指針の前提は成り立たない、ということが論証された。
話題はこの他にも、日本でのICNIRP・国際非電離放射線防護委員会の基準値を紹介する報告書に意図的とも見られる誤訳があること、総務省の報告書には誰の行った実験なのかが書いていない、などの指摘があった。
また、科学には不明なことが多くそれだから「予防原則」の必要性がとなえられるわけであることなどが語られた。具体的な質問が多く出され熱気のある講演会となり、今後の鉄道の中での携帯電話使用に関して警鐘を鳴らしルールを提案するための根拠となる内容だった。

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