「総研大湘南レクチャー」に参加して

投稿者: | 2003年4月9日

「総研大湘南レクチャー」に参加して
中央大学総合政策学部2年 遠山 和史
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 2003 年8 月4 日(月)から8 日(金)の5 日間に渡り、総合研究大学院大学(総研大)葉山キャンパスにて「総研大湘南レクチャー:科学における社会リテラシー1」が行われた。
 科学技術は、20 世紀の人類社会に空前の繁栄をもたらすと同時に、副作用として深刻な環境問題などの倫理・社会的問題・課題を生み出した。科学技術の研究は社会との関係が直接みえにくい場合もあるが、一方で、現実の科学研究は社会の中で行われる「社会的行為」であるために、科学に携わる人もそのような課題・問題に対して無関係でいることはできず、社会的責任を負っている。では、まず、直接科学の現場に携わる人たちにはどのような社会的責任があり、その責任を意識した後、どのように自らの責任を果たしていくべきなのか。以上のような問題意識が「湘南レクチャー」の背景である。
 「湘南レクチャー」では、この問題意識について、参加者一人一人が考えるために必要な、幅広く、アカデミックかつリアルな材料を提供された。具体的には3 年連続で「科学原論」「科学政策・行政」「科学コミュニケーション」という分野の専門家の先生方のお話を聞くことになる。今回のレクチャーでは、「科学における社会リテラシーとは」「科学社会学」「高度情報通信技術と社会」「ヒトゲノムと社会」「物理学と社会」「日本の科学政策の現状と課題」「Science Policy ―The French case」「科学ジャーナリズムの現状と課題」「新聞における科学記事」「マスコミと行政における地震予知」「社会における科学リテラシー」という内容であった。
 非常に内容が多くこの全てについて述べることはできないため、特に興味深かったものを1つ紹介する。
 小林傳司教授の「社会における科学リテラシー」を述べる。科学技術絡みの薬害エイズ、クローン技術、JCO といった事故・事件から、専門家に対する不信が起こり、PublicInvolvement 、Public Participation といったことが言われている。その文脈で、「コンセンサス会議」という「政治的、社会的利害をめぐって論争状態にある科学的もしくは技術的話題に関して、素人からなるグループが専門家に質問し、専門家の答えを聞いた後で、この話題に関する合意を形成し、最終的に彼らの見解を記者会見の場で公表するためのフォーラム」が行われているが、まだまだ専門家と素人の溝は埋まらないという課題がある。これから、私はどのようにすれば、その問題を解決できるのかと思った。
 私は、「湘南レクチャー」を通して、学問的知識を得るだけでなく、人間が引き起こす様々な科学・技術の問題についての責任を、もっと意識する必要性を感じた。そもそも、私がこのレクチャーに参加しようと思った理由は、科学技術は人のために使えるはずなのに、時に人のためにならないことが起きてしまうことを、どうにかできないのかと思い、この問題意識を深める上で、このレクチャーは、科学技術と社会について俯瞰的に学ぶことができると思ったからである。そして、レクチャーを通して、この学問的な学びに加えて、湘南レクチャーの様々な背景を持つ参加者の方々(学生の皆さん、講演者の皆さん)から、「科学・技術」に関わる問題をどうにかして解決していこうとする強い意思を感じ、もっと深刻にこの問題について意識を高めたいという刺激を受けたことも価値があった。また、科学者の社会的責任という話は以前に聞いたことがあったのだが、科学に携わる人(研究、国の政策に携わる方々、様々な組織の方々(NPO を含む))が深刻に自身の社会的責任を認識し、取り組んでいるのを見て、自分の認識が変わった。それは、社会のためになる科学者を育てていこうとしているこのレクチャーに、科学に携わる人たちが参加しているところに感じられた。そして、自分について振り返るならば、自分が社会で生きる限り、科学技術から何らかの影響を受けるので、科学技術の問題は科学に携わる人に任せておけばよくて自分の責任は免除されているというわけでは決してないだろう。科学技術は自分には理解できないから、責任は負わなくてもいいということでもない。誰もが責任を負わなくなったら、科学技術に限らず人間の問題は解決できないだろう。こんなことを感じたレクチャーだった。
※レクチャーの詳細は下記 総合研究大学院大学教育研究交流センター. (2003). 総研大湘南レクチャー:「科学における社会リテラシー1,2,3」. Retrieved from http://koryu.soken.ac.jp/~center/home/syoan/2003/sts.htm on 2003/09/19__

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