プロジェクト報告 ◆科学館プロジェクト①
今年の課題は2つ
科学館での実践と評価軸の確立
科学館プロジェクトリーダー 古田ゆかり
doyou51_furuta.pdf
科学館プロジェクト2年目です。昨年は、3月の山梨合宿にはじまり、5月合宿での琵琶湖博物館訪問、夏の箱根合宿での生命の星・地球博物館のほか、プロジェクトメンバーによる各ミュージアム訪問のレポートがいくつか蓄積されてきました。とは言っても十分な蓄積や、それについての議論が尽くされたわけではなく、思うように勉強会等が実施できなかったこともあり、今年は昨年来の課題、そして今年こそ実現すべき課題をぜひ形にしたいと思います。
今年の科学館プロジェクトの課題は大きく分けて2本です。
1.科学館との協同による、オリジナルプログラムの実践
2.私たちの科学館評価軸の確立
1.のオリジナルプログラムは、私たちが考える科学館のあり方を示せるものでなければなりません。一方で、何本かのプログラムを蓄積し、今年の末には科学館プロジェクトのメンバー全員が、ひとつはどんな場所でもプレゼンテーションできる、といったレベルを目指します。開発、パートナーとなる科学館との交渉、資金調達などのスキルまで含め、土曜講座全体の今後の活動の布石となるものだと考えます。
2.は私たちが考える科学館のあり方を明文化する作業でもあり、かつこれをもとにして、新たなパートナーとの協同の可能性、評価そのものを世に問うことにもつながる重要な作業です。博物館評価は、最近ミュージアム関係者の中でもホットな話題ですが、昨年来からプロジェクト内で話している評価軸とは少し趣が違うようです。独自の評価軸の作成は、プロジェクトの来年の活動にも大きく影響するものですから、昨年5月に提出した原案をまずはたたき台にして議論を進めていきたいと思います。評価軸作成は2003年3月を目指します。
ここで、科学館プロジェクトが目指す科学館のありかたを今一度整理して、今年の活動の具体的な一歩を踏み出しましょう。
《私たちが考える科学館とは》
【専門家の市民には……?】
●説明された原理・原則を学ぶだけではなく、Up to Dateな科学・技術にふれる
●身近な科学の疑問を解決する相談・学習の広場
●役立つ・楽しい…… 大人にも有益な施設
【専門家の市民には……?】
●「一般の」センスにふれる。研究を社会の中で相対化することができる。
●科学に対する期待に広くこたえるスピリッツ
【科学館の当事者には……?】
●内部の潜在的エネルギーを引き出し、のびのびとした活動を支援
●科学館や他の施設・研究機関とのネットワークの形成
●情報の階層化により、より深い科学情報の扱いを可能にする 得意分野の構築
これらを総合すると、人を介した交流が日常的に展開される「本当のハコモノ」としての科学館ということになるでしょうか。■