プロジェクト報告◆科学館プロジェクト④ 科学館訪問記「アクアマリンふくしま」

投稿者: | 2002年4月18日

プロジェクト報告◆科学館プロジェクト④
科学館訪問記「アクアマリンふくしま」
プロジェクトメンバー 堀井雅恵
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科学館プロジェクトでは科学館の現状を調べながら、私たちが求める新しい概念の科学館を模索し、計画の提案・実現を目指しています。現在、メンバーが個々で科学館めぐりをして情報を集める活動もしています。
今回は、私が見学した福島県小名浜の「アクアマリンふくしま」の主な展示の紹介と私の感想を述べます。アクアマリンふくしまはJR常磐線泉駅からバスで約15分の海辺にある、出来て間もない新しい水族館です。
●導入部-海・生命の進化
入り口を入ると暗い通路がのびていて、壁に生命の起源の映像が……ここはほんとに水族館?まるで、自然史博物館の地質・生命系展示の雰囲気です。さらに進むと化石が展示してあり、ますますその感が強くなりますが、ふとその先を見ると水槽があって中に生き物が……。
実は「生きた化石」とその近縁種の化石が同じ空間に展示してあるというわけでした。カブトガニ、オキナエビス貝、肺魚やシーラカンス。特にシーラカンスの化石は、一般の自然史博物館の化石展示と比べても遜色のないものです。残念ながら生きたシーラカンスは映像でした。アクアマリンふくしまはシーラカンスをメインテーマのひとつにしているのですが、福島でなぜシーラカンスなのかは、わかりません。
●生態系展示-ふくしまの川と沿岸,熱帯アジアの水辺
一番心に感じるところがあったのは、水槽だけでなく、周辺の植生環境も再現した展示。さながら植物園です。断面を見せた水槽は小さくても、背後の植生の規模が大きく、見えない部分まで草木が植えてあり、生態系に奥行きを感じます。本物の自然とは比べようがないけれども、時間に追われる現代人が短時間で川の上流から下流までの変化を楽しむことが出来ます。この生態系の展示は、福島の川の自然を再現したものと熱帯アジアの水辺を再現したものと2カ所あります。それぞれ、上流から下流までの連続したビオートープがあるという感覚です。
ガラスの屋根付きなので鳥が生態系に参加していないのではないかと思ったのですが、鳥用の出入り口があるそうです。もちろん、ぶつかってしまう鳥もいるとは思いますが・・・。大きな陸上動物は無理ですが、トカゲ等は放してあるそうです。もちろん虫もいます。個人的には「ふくしま」の展示の方がコンセプトとして好きです。熱帯アジアの方は黒潮の源流という位置づけで、マングローブの生態系の再現など面白いのですが、外界から入ってくるのは福島の鳥や虫や空気でしょうから。
●大水槽-潮目の海
福島の川の上流から下流に下っていくと最後に潮目の海という巨大水槽にたどり着きます。二等辺三角形のトンネルが巨大水槽を二分した形で、デザインは、いまいちです。福島県沖の潮目の海を再現したもので、トンネルの片側から黒潮系の魚、片側から親潮系の魚を見られます。最近の水族館にはよくありますが、巨大水槽の前に座れる場所を設けており、ぼけーっと眺められるようになっています。
●生活と科学-オセアニック・ガレリア
オセアニック・ガレリアという名前のコーナーでは、海流など海の科学に関する展示と地元の漁業に関する民俗展示があります。プランクトンの観察や伝馬船の櫓をこぐ体験が出来る体験展示のコーナーです。水族館の体験展示というと、ほとんどタッチプールなので、この展示からは新鮮な感じを受けました。ただ少し閑散としており、もっとこのコーナーを充実させてほしいと感じました。
●実は魚屋は死体置き場?-ふくしまの海
サヨリやサンマ等、魚屋ではおなじみの魚が展示されています。しかし、実はこれらの魚は水槽では飼育が難しく、他の水族館ではあまり見られないのだそうです。魚屋に並べられた魚は、生きている時の生態があまりわかっていないものが意外に多いのかもしれません。特にサンマについては、世界で初めて水槽内での繁殖に成功したのが、アクアマリンふくしまだそうです。これは、前身である小名浜の水産試験場の研究が基礎になっているのだと思います。
●企画展-大金魚展
企画展は日本伝来500年ということで、金魚展をやっていました。「金魚」はアクアマリンふくしま独自の企画ではなく、日本全国で順番に開催されるものらしいのですが、ディスプレーは独自のものだと思います。床の間風に作ってあって凝っていました。アクアマリンふくしまでは、年に十回以上企画展があるそうです。一ヶ月に一回の頻度で通っても毎回違うものが見られるとは来館者にとって嬉しいですね。
●その他の活動
サンマの繁殖に見られるように研究活動はかなり活発です。シーラカンスについての国際シンポジウムも主催しています。水生生物保全センターが併設されており、絶滅危惧種等を卵から育てる研究も行っています。生態系展示の植物もここで育苗しているようです。また、教育普及活動に関しては自然観察会が平均して一ヶ月に2回行われています。
●全体を通して
莫大なお金をかけないと、ここまでは出来ないと思いますが、アクアマリンふくしまは科学館的な性格をもった画期的な水族館だと感じました。しかし、気になることもあります。それは、館内の一部を除いて、ほとんど字による説明がなかったことです。最近の水族館全体の傾向なのですが、最近の来館者は字による解説を読まないとのことで、極力、字による解説を省いているらしいのです。アクアマリンふくしまでは、コーナーごとにパンフレットがあって解説が欲しい人はそれをとる、また解説ツアーを充実させているということなのですが、私などは全く字による説明がないとフラストレーションを感じます。
また、来館者の中には、ペンギン・イルカがいないとか、サンマなどの地味な魚しかいなくてつまらないという意見があるそうです。
字による解説を読まないことと関連することなのですが、水族館に来る人の大半は癒しを求めてやって来るのであって、知的好奇心を充たしに来るわけではなさそうです。このあたりに科学館とは別の、水族館固有の問題があると思います。■

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