写図表あり
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翻訳 報告書「カーボンナノチューブが新しいアスベストかもしれないという証拠が続々と」
Mounting evidence that carbon nanotubes may be the new asbestos/Friends of Earth Australia(2008年5月21日)
翻訳:吉澤剛+江間有沙+上田昌文
カーボンナノチューブ(CNT)は炭素原子からなる薄い中空の円筒であるが、アスベストにとても良く似ている。2004年、英国の王立協会と世界で二番目に大きな再保険代理店であるスイスReのリスク専門家が、いったん肺にCNT が入ればそれはアスベストのように振舞うかもしれないと警告した。続く一連の実験では、齧歯類の肺に注入されたCNT が炎症や肉芽腫の進行、線維症、心臓発作に関わる動脈の「プラーク」、DNA損傷を引き起こすことが示された。二つの別々の研究ではCNT は中皮腫の発症を起こしうることも示された。中皮腫というガンはこれまではアスベストの曝露だけが関係すると考えられていた。残念ながら、CNT にアスベストと同様の危険性がある証拠が積み上がってきているにも関わらず、スポーツ用品、自動車や飛行機の部品、強化プラスチックやエレクトロニクスにおける商業的利用も急速に広まっている。
アスベストの悲劇を繰り返さないために、地球の友は、曝露について安全な水準があるかどうかが研究によって示されるまで、CNT の商業的利用とナノチューブを含む製品の販売を直ちに停止することを求める。われわれはまた、人間の健康と環境を守るためにナノテクノロジーに特化した新しい規制を要求する。一つは労働現場および消費者製品において使われるあらゆるナノ物質の表示義務について、そしてもう一つはナノテクノロジーのガバナンス、政策的展開、研究の優先順位についての意思決定において市民に重要な役割を与えることについてである。