10/25(土)14:00-15:30「研究」の未来をみつめる―第4回「総合知を形成する社会貢献的なSNSの構築」(船岡佳生さん)

投稿者: | 2025年9月4日

2025年4月から月に1回のペースで、原則として「土曜広場」の枠を使って、次の「自由討論シリーズ」を実施します。多くの方々のご参加をお待ちしています。

自由討論シリーズ

「研究」の未来をみつめる
―“良き研究者”をめざす若者と科学の行く末に関心をもつ市民の対話

現在、大学院(あるいは学部)に在籍して、未来を切り開く研究に着手している人たちに登壇いただき、どんな内容の研究に取り組んでいるのか、それは世の中に何をもたらしそうなのか、その研究を志すようになったわけは、そしてどんな研究者を目指したいか……を語ってもらいます。それを受けて参加者(20名まで)と自由な雰囲気で対話します。

若い方が研究者として身を立てていく、その初期の段階から、市民とのよい形での対話の場を持つことが、科学をより良いものにしていくことにつながる、と私たちは考えています。研究の未来に興味を持つ方ならどなたでもご参加ください。

第4回

総合知を形成する社会貢献的なSNSの構築

登壇者:船岡 佳生(ふなおか よしき)さん(日本リベラルアーツ協会 代表、Poetry Factory 主宰)

理系出身ながら、文学・芸術・哲学・教育を架橋するべく、詩の総合事業「Poetry Factory」を立ち上げ、ことばと想像力を軸にした表現・対話の場を企画・運営している。また、研究室の議論を増やすプロジェクト「LabTree」を通じ、議論・思考・創造を支えるアプリ開発も行なっている。文学とテクノロジー、地域と教育のあいだをつなぐ活動を広く展開中。

<内容紹介>

社会や個人にとって良い働きをするSNSの構築を目指している。結果的に総合知の形成と、社会教育、個人の内面のアーカイブ構築に帰結することが開発の狙いである。そのために必要な理論や論点を整理したい。

背景は、以下の2点である。1にインターネットの普及により、Wikipediaなどの誰でも編集可能な知の辞典は生まれたが、市民レベルで関与しているとは言い難い。広く、オープンなWEBによる総合知の形成は、各分野別や話題毎に行われており、強い目的志向を持ったプラットフォームは現状見当たらない。2に他方で、インターネットやSNSによる情報の正しさや、個人の意見表出が誹謗中傷レベルまで進むことが社会問題化している。これら2点を同時に解決するSNSの構築を目指している。

構築中のSNSは以下にて確認可能である。(ただし10月15日現在、キュリティ上の問題があり、自己責任で閲覧や登録を行なってください。https://app.liberalarts7.co.jp/)

コミュニケーションエラーの課題と刹那的でない知の蓄積、発展機能を持たせられることを目指しているが、諸課題も山積している。そのため人間と情報、メディアといった知からの演繹的なアプローチもより必要だと考えている。アーカイブ研究会で経験したことや、議論したことが確かベースとなってこの挑戦をしている今、市民研の皆様との忌憚の無い議論をとても楽しみにしている。

 

日時:2025年10月25日(土)14:00-15:30
参加方法:オンラインでの実施(市民研事務所にいらしての参加も併用)
参加費:無料
申し込み:以下からお願いします(定員20名になり次第締め切ります)

進め方:
1)登壇者による研究内容の紹介とそれにまつわる自分の思い(30分)
2)登壇者と市民研代表の上田との対話(15分)
3)参加者との意見交換(30分)
4)参加者全員が感想をチャットに記す(10分)

共催:NPO法人市民科学研究室+リベラルアーツ協会
協力: LabTree

 

市民研の講座・イベントの動画は実施日の1週間後から視聴できるようにしています。
初回無料視聴のサービスも設けています。視聴を希望される方はこちらをご覧のうえ、ご連絡ください。

 

【これまでに実施した講座】

▶動画はすべて「くらしとかがくのアーカイブ」に収めています。

第3回「美は世界を救う」を心理学で実証したい
2025年8月16日(土)14:30-16:00
登壇者:櫃割仁平(ひつわりじんぺい)さん(京都大学で博士号 (教育学) を取得、現在はドイツのハンブルクにあるヘルムートシュミッド大学でポスドク研究員)
日本的な芸術題材(俳句、雅楽、書道、いけばななど)を通して、人がどのように美しいと感じるか、そしてその効果などを研究しています。これまで芸術認知の研究は西洋が中心的なフィールドでしたが、日本の美的感性には独特なもの(わびさび、間、曖昧さなど)もあると考えており、それらを研究したいと考えています。最近は、ドイツで研究滞在を行っており、日本人とドイツ人の美的感性の比較を行っております。「美しい」とはどういう感情なのか、そしてそれは人や社会にどういう影響をもたらすのか一緒に考えたいと思っています。

第2回 「日本の言語景観における漢字字体顕在化モデルの構築:社会・文化、技術、権力の可視化」
2025年7月15日(火)20:00-21:30
登壇者:石井諒太さん(東京科学大学博士1年)
私の研究の目的は、日本の都市空間で交錯する様々な漢字字体の選択—例えば「学」と「學」—を対象とし、都市空間に現れるあらゆる言語標示(言語景観という)を媒介に、顕在化する文字の背後にある社会・文化・科学技術・権力の構造を明らかにすることである。これまでも日本語の新・旧字体に関する研究が存在し、個人が持つなじみや好みといった表層的な心理や、それらの背景にある単純接触効果などを扱ってきた。日本以外にも歴史的に漢字を用いてきた漢字文化圏には、中国大陸・シンガポール、台湾・香港、韓国、ベトナムなどが含まれ、国・地域ごとに異なる標準字体を用いてきた。そこで私の研究では、日本において混在する中国語繁体字・簡体字など、多言語社会化した日本で生じる字体選択行為を対象にする。例えば、横浜中華街をはじめとする複数のチャイナタウン-中国語使用者が日本語使用者を迎える-において、中国語標示の収集、文字体系や標示物に応じた分類、そして標示の書記者・所有者に対する調査を実施し、字体選択の社会・文化的動機や技術的制約そして言語を統制するオーソリティの影響を多面的に分析している。既存の枠組みを超える新たな漢字字体選択モデルの構築を通じて、多言語社会における包摂的な書記環境の実現に資することを目指す。

第1回 「宇宙データ可聴化について」
2025年4月26日(土)13:00-14:30
登壇者:藤本未来さん(東京科学大学博士2年)
データを音で表現する可聴化は、近年宇宙分野で著しく発展しています。宇宙データをどのように音で表現することで、どんな目的が達成されるのかを紹介します。

 

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