STAP細胞事件は解決したのか─その検証を検証する(その1)

投稿者: | 2015年6月3日

STAP細胞事件は解決したのか─その検証を検証する(その1)
林 衛(科学ジャーナリスト、富山大学人間発達科学部)
榎木英介(病理診断医、 任意団体サイエンス・サポート・アソシエーション代表)
pdfはこちらから→csijnewsletter_030_hayashi_enoki_20150525.pdf
  理研CDBから2014年1月29日水曜日に発信された大ニュースは、その夜のうちにネット上でも大評判となった。筆者の一人(林)も以下のいくつかのツイートを30日の夜中の0時台に発信している。いずれも、Yahoo!トップページから神戸新聞ネット版へとたどり引用したものだ。
 
 「オレンジジュースと同程度の強さの酸性で体温に近い37度の溶液が入った試験管に、マウスのリンパ球などの体細胞を入れ、30分間にわたり刺激。75%の細胞は死んだが、生き残った25%の細胞のうち、その30%が万能細胞に」との驚異的な初期化プロセスを「iPSより効率的」とある。理化学研究所(理研)が強調しているだろう。「「刺激惹起性多能性獲得細胞(STAP細胞)」を開発した小保方晴子研究ユニットリーダー(30)は「かつては研究結果を誰にも信じてもらえず、泣き明かした夜も数知れない」」といった研究物語も朝刊を待たず、会見の日の夜にネット上に速報された。
 その夜、山中伸弥氏による「興味深い研究」との神戸新聞紙上コメントをみた林は、2012年のノーベル生理学・医学賞受賞決定直後の新聞紙面を思いだし「iPSは過渡的な技術だと、山中さん自身が語っていた」ともツイートしている。つまり、iPSを越える新たな道が開けたのかもしれないとの期待を感じ、表明していたのだ。
 STAP細胞論文の共著者には、小保方氏に加え、理研CDBほかの有名な研究者たち(科学編集者時代に読んだ雑誌や書籍を通して知り、機会があれば原稿依頼もしたいと考えた人たち)、笹井、若山、丹羽、大和氏らの名前がずらりと並ぶ。脅威の初期化プロセスがみつかったという、にわかには信じられない、発表にでくわした、取材記者の多くが裏付けは十分であるにちがいないと考えたのは、一流の研究者らによる論文だからデータの吟味にもまちがいないと判断したからだろう(実際に、何人かの科学記者たちがそう述べているのを耳にしたし、そのように受けとめた記者による体験談も出版されている;例えば、須田桃子:捏造の科学者 STAP細胞事件、文藝春秋(2015))。
……
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