「県民健康管理調査」への再要望書、福島県の回答書
先に掲載しました、福島県からいただいたご回答に対して、低線量被曝研究会から再度要望書・質問書を福島県に提出しました。それに対する、福島県からの回答は以下のとおりです。
●福島県からの回答:PDFはこちら→fukusima_reply_20110909.pdf
*****************【再度送った要望書・質問書】は以下のとおり
福島県知事 佐藤雄平 殿
県民健康管理調査に関する再要望/質問書
お忙しい中、2011年7月13日付けの私どもの要望書に対しご回答をいただき、ありがとうございました。議事要旨については公開予定とうかがい、この点については期待いたしておりましたが、その後の経過を拝見しますと、そのようには進展していない実態がございます。また、私どもとして納得のいかない点、さらに疑問が深まった点などもございます。
たとえば、会議の告知及び傍聴について公開していると言われていますが、一部のメディアに対する限られたものではないでしょうか。一般市民には十分に告知がなされておらず、会議の全容を知り得ません。委員が何を考え、どのように発言しているのかについては、福島県民に限らず、全世界的な関心事でもあります。
議事要旨についても、何をもって議事要旨とおっしゃっているのか、わかりかねております。ウェブサイトで拝見した限りでは、「県民健康管理調査検討委員会」(以下「検討委員会」という)の「議事次第」はあるものの、議事要旨が公開されているとは言いかねます。配布資料を公開されたことは担当者の方々のご努力の結果と思いますが、その資料についてどのような議論が検討会でなされたのかということがなければ、資料の解釈を受け手それぞれに委ねていることになるでしょう。
とりわけ私どもは、委員と市民の対話は非常に重要だと考えております。それは、原発事故で既に大きな被害を市民は被っており、調査が確実に公平に行われなくてはならない中、調査研究デザイン、線量推計に使用されるモデルがきちんと公開の上、検討され、それらについて納得の上で県民の協力を得なければ、真のインフォームドコンセントは成り立たないと考えるからです。
3月下旬に調査が行われた福島県の子どもたち1150人のうち、45%の子どもに甲状腺被曝が確認されたとの報道がなされております。政府担当者の「問題ないレベル」というだけの説明で数値も知らされなかったことに対する非難や説明を求める市民の声の高まりで、4か月以上経過してやっと説明があったという事態など、市民の不安と不信を高めるような検査のやり方であると言わざるを得ません。
これは政府の対応の不備というだけでは済まされません。福島県においても、市民の傍聴や対話という手段をはじめから排除され、なおかつどのような議論が行われているかについても公表されないということは、健康調査が県民のためでなく、それを実施する研究者のための単なる調査に終わってしまう危険性が懸念されます。私たちが先の要望書で、広島・長崎をはじめとする放射線影響の調査が、「本来は反映されるべき当事者・関係者などの声が取り入れられなかったため、結果的に精神的・身体的ケアがないがしろにされてきたのではないでしょうか」と述べた所以でもあります。
したがいまして、今回は以下の通り「情報公開」という面で再要望/質問させていただきます。検討委員会の設置の経緯や倫理的な面での検討等に関する回答についてはいくつか疑問がありますが、それらは別途、後日、質問させていただくつもりです。
調査を受ける方たちが納得し、安心して健康調査を受けられ、健康被害を防止するための手段が適切にとられますことを、私たちも心から願っております。知事以下、県庁職員のみなさまがたいへんお忙しいことは承知しておりますが、ご検討およびご回答のほど、よろしくお願い申し上げます。
再要望/質問
1.会議の告知および傍聴について
1)一般傍聴がどのような事態を想定して議事進行の支障となると考えておられるのか説明してください。
2)引き続き「検討委員会」(関連する部会・専門委員会を含む)について会議の告知と傍聴の実施を要望いたしますが、少なくともそれが実現されるまでの間、ストリーミング等、傍聴以外の方法でも一般市民が委員会の詳細を直接知ることのできる方法を確立していただけるよう要望します。つきましては、これに関して現在のお考えをお聞かせください。
2.議事録公開について、
1)「議事要旨」とは、どのような文書を指していらっしゃるのか、お教えください。既に議事要旨を公開されているとの認識か否か、お聞かせください。
8月28日現在、ウェブサイトを拝見する限り一般的に議事要旨と言われるようなものは公開されておりません。
2)「検討委員会」(関連する部会・専門委員会を含む)の議事録を公開してください。
3.委員と市民の対話の機会について
1)対話の機会を設ける予定がないとのことですが、まずその理由とそれが誰の考えによってなのか(知事ご自身のお考えか、委員会の委員の方々の総意なのか、その他の方の考えなのか)、お聞かせください。
2)委員と市民の対話のオープンな機会、すなわち検査を受ける住民への「説明」という以上に、調査への建設的な意見交換の機会、外部の専門家も自由に質疑応答することのできる機会を設けることを検討していただくよう今一度要望します。つきましてはこの点に関する現在の考えをお聞かせください。
なおこの再要望/質問状は前回同様、市民科学研究室のウェブサイト上で公開いたします。つきましては、本再要望/質問書の検討結果を、本年9月13日までにお知らせください。いただいた回答は公開させていただきます。回答をいただけなかった場合も、その旨公開させていただく予定です。
2011年8月29日
NPO法人 市民科学研究室 低線量被曝研究会