「県民健康管理調査」への要望書、福島県の回答書

投稿者: | 2011年9月3日

「県民健康管理調査」への要望書、福島県の回答書

福島県知事宛に以下の「県民健康管理調査に関する要望書」を2011年7月12日付で提出しました。この要望書に対して、福島県災害対策本部長(福島県知事)様より、7月22日付でご回答をいただきました

●福島県からの回答:PDFはこちら→reply_fukushima_governor.PDF

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福島県知事 佐藤雄平 殿

NPO法人 市民科学研究室 低線量被曝研究会
[メンバー]
上田昌文(NPO法人 市民科学研究室・代表理事)
柿原泰(東京海洋大学准教授)
桑垣豊(高木学校)
白井基夫(『週刊金曜日』編集部)
瀬川嘉之(高木学校)
南貴紘(プロジェクトフクシマ代表)
吉田由布子(「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワーク事務局長)
渡辺美紀子(原子力資料情報室)

県民健康管理調査に関する要望書

未曾有の被害を生んだ大地震、大津波、原発事故の後、懸命に対応されている福島県知事以下県庁の職員の皆様に心より敬意を表します。

私たちは現在、福島県を中心に検討されている県民健康管理調査に注目しています。そして調査を具体的にどのように行うか、そのデータをどのような形で公開、活用してゆくのかなどについては、慎重な議論を積み重ねた上で、調査を受ける人達はもちろん、広く関係者が納得のできるように決めるべきことがらだと考えています。

これまで私たちは、低線量被曝に関する専門的な科学知識や情報を一般の方々に広く分かりやすく提供する活動を進めてきました。その中で広島・長崎での原爆調査やチェルノブイリ事故をはじめとした過去の放射線の影響に関する調査を研究してまいりました。これらの調査は、必ずしも調査を受ける方々のことを第一に考慮したものではありませんでした。本来は反映されるべき当事者・関係者などの声が取り入れられなかったため、結果的に精神的・身体的ケアがないがしろにされてきたのではないでしょうか。調査それ自体が問題を内包するものであったと、指摘せざるをえないのです。それゆえ、今回の調査でも同様のことが起こらないかと危機感をもっております。これまでにも新聞報道などから情報を得、また福島県に対して直接の問合せなども行ってきました。

今回の福島県における県民健康管理調査については、検討委員会の方々が真摯な検討を重ねられていると期待してはいますが、議論は可能な限り広く開かれたものであることが望ましいと判断し、次の通り要望します。

なお、この要望書はNPO法人市民科学研究室のウェブサイト上で公開します。つきましては、本要望書の検討結果を、本年7月25日までにお知らせください。いただいた回答は公開させていただきます。回答をいただけなかった場合も、その旨公開させていただく予定です。今後も必要に応じて要望・質問などをさせていただくつもりです。

私たちは、今回の県民健康管理調査が真に福島県民の健康と安心に資するものになることを願って本要望書を提出します。ご検討およびご回答をお願い致します。

要望

1.県民健康管理調査検討委員会(関連する部会、専門委員会などを含む)では、開催を前もって広く告知したうえ、傍聴ができるようにしてください。

2.委員会の会議の記録(議事録を含む)を速やかに公開してください。

3.検討委員会の設置にいたるまでの経緯および委員の人選理由の詳細、さらにこれまでに委員会においてなされた検討内容の詳細と決定事項の根拠について、公表してください。

4.委員会とは独立した倫理検討委員会をもうけて検討されたか明らかにしてください。検討されている場合はその中身を可能な限り教えてください。

5.調査の内容や進め方に関して、随時、委員と市民とが対話をする機会を設けてください。

[参考]

「市民科学研究室」について
市民科学研究室は次の3つのことがらを促進するNPO法人です。
1科学技術にかかわる様々な意思決定や政策形成への市民参加
2様々な社会問題の解決に向けた専門知の適正な活用
3”持続可能で生き生きとした生活”のための科学研究や教育の実践
市民の問題認識力を高めるための講座や勉強会を運営し、市民が主体となった調査研究や政策提言や支援事業をすすめています。

「市民科学研究室 低線量被曝研究会」について
低線量被曝研究会は市民科学研究室において2003年末から始まった研究会で、低線量放射線被曝のリスクを明らかにする上で、科学的知見がいかに用いられてきたかをこれまでの論争をふまえつつ専門的なレベルで把握し、現実の問題の真の解決に向けた規制や政策的な対応をなしていくのに、リスクに関する研究や議論はどう生かされるべきか探求しております。これまでに、以下のような活動をして参りました。
・ヨーロッパ放射線リスク委員会による『ECRR報告書』(2003年)を読み解き、結果を市民科学講座や機関誌『市民科学』誌上で発表。
・BEIR委員会(米国科学アカデミーの電離放射線の生物影響に関する委員会)の報告書の要約版を翻訳(ホームページに掲載)。
・ICRPの新勧告 (2007年)の読み解き。
・放射線の人体影響研究の原点となった原爆調査を歴史的に検証する作業を行い、その成果として報告書『原爆調査の歴史を問い直す』を出版(2011年3月)。
・昨年8月6日に放送されたNHKスペシャル番組『封印された原爆報告書』に制作過程で約1年に渡り議論・検討を通して協力。

返信先:NPO法人市民科学研究室
〒113-0022
東京都文京区千駄木 3-1-1 団子坂マンション・公園側棟
TEL:03-5834-8328
FAX:03-5834-8329
Email:renraku@shiminkagaku.org
URL:http://www.csij.org/

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