【翻訳】発がん物質の鍵となる特性 発がんメカニズムの根拠となるデータの統合

投稿者: | 2016年10月12日

【訳者よりひとこと】
国際がん研究機構(IARC)が発表してきた発がんリスクが最近更新され、ヒトのがんの鍵となる特性を10箇にまとめました。この論文では、発がん性があるとされるグループ1に属するヒト発がん物質のベンゼンとPCBsについて、10個の特性ののうち、いくつが二つの化学物質のがん誘導性に関与しているか、その調べ方が示されています。これに従うと今問題になっている放射性核種もどのようにしてがんが誘導されるか調べることができると思います。20世紀、特に後半以降、ライフサイエンスの展開とともにヒト発がん物質について膨大な科学知が積み重ねられてきましたが、これらの10個の特性はまさに現時点でヒト発がん物質に関する統合された確実な知といえます。IARCには日本も参加しています。化学発がん物質に関心の高い市民にとって有益な報告だと思います。

発がん物質の鍵となる特性
発がんメカニズムの根拠となるデータの統合

1) 背景:国際がん研究機構(the International Agency for Research on Cancer (IARC))の最近のレビューはヒトに発がん性があるとしてグループ1に分類される100以上の作用物質についての評価を更新した(IARC Monographs Volume 100, parts A–F)。この任務は困難を伴った。何故ならば、発がん物質のヒトへの曝露の有害性に関する結論を実証するために、機械論的1)データを評価する一般的な体系的方法が今まで欠けていたからであった。

2) 目的と方法: IARCはそれ故に二つのワークショップを招集した。そこでは、国際専門家ワーキンググループは10 箇の鍵となる特性を確認した。それらの特性の一つまたはそれ以上が、ヒトの発がん物質であることが確定した物質に共通して見出されている。

3) 考察:これらの特性は、直接関係する機械論的研究の結果を確認し、統合するための客観的なアプローチに論拠を提供するものである。10箇の特性は、以下に示す作用物質の性能である。1)直接または代謝活性化後に親電子的に作用する、2)遺伝毒性がある、3)DNA修復を変えるか、またはゲノム不安定性2)を生じる、4)エピジェネティック変化3)を誘導する、5)酸化的ストレスを誘導する、6)慢性炎症を誘導する、7)免疫抑制性である、8)受容体依存効果を調節する、9)不死化を生じる、10)細胞増殖、細胞死または栄養供給を変える。

4) 結論:我々は以下の目的で10箇の鍵となる特性の使い方を述べる。一つはエンドポイント4)に関連する体系的文献検索を行うこと、もう一つは確認された機械論的な情報を図形表示することである。次いで、我々はこのアプローチがどのように機能するかを実践的に説明するために、例としてベンゼンとポリ塩化ビフェニル類を活用する。ここで述べられたアプローチは多くの点で米国環境保護局統合リスク情報システムプログラムや米国国家毒性プログラムによって最近実施されたものと類似している。

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『環境健康展望』124巻6号、2016年6月より
翻訳:五島廉輔、五島綾子、上田昌文

原題:Key Characteristics of Carcinogens as a Basis for Organizing Data on Mechanisms of Carcinogenesis

【著者】
Martyn T. Smith(1), Kathryn Z. Guyton(2), Catherine F. Gibbons(3) et.al
(1) 1Division of Environmental Health Sciences, School of Public Health, University of California, Berkeley, Berkeley, California, USA  (2) 2International Agency for Research on Cancer, Lyon, France  (3) 3Office of Research and Development, U.S. Environmental Protection Agency, Washington, DC, USA, and Research Triangle Park, North Carolina, USA

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