第103回 土曜講座 (1999年7月10日) 箭内敏夫さんによる研究発表 「公的介護保険の光と影」参加者の感想

投稿者: | 1999年4月16日

第103回 土曜講座 (1999年7月10日)

箭内敏夫さんによる研究発表
「公的介護保険の光と影」参加者の感想

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第103回土曜講座での箭内敏夫さんの発表は大変充実したものでした。話の最後に「福祉や社会保障関係の学問を研究している学者はほとんどが御用学者です。政府・官僚が打ち出している政策を、もっともらしい理論によって裏付けて追認をすることが彼らにとっての学問になっている。福祉の現場で何が問題になっているかをふまえて、本当に人々のためになる福祉を実現するために学問研究をする人があまりにも少ないです」という趣旨のことをおっしゃったことが、深く心に残っています。箭内さんご自身が、この分野での「市民学者」と称すべき極めて貴重な存在です。昨日参加した方々から出された疑問にも、自分の手と足と使って(行政との日々の交渉や審議会などの傍聴や参加をとおして)収集した的確なデータや事例を示しながら答えられる様は、誇張ではなく、市民の立場に立つ学者のあるべき姿を示していると思えました。今後とも、ご活躍を期待するとともに、福祉問題に限らず、行政とどのように対峙して運動をすすめていけばよいかに関して、私たちにいろいろな知恵をさずけていただければと願っています。なお、箭内さんの発表は現在テープ起こしをすすめています。近々、次号もしくは「別冊」でその内容を詳しくお伝えすることになりますので、ご期待ください。(上田)

介護保険と私たち
塚田 和子
今回お話しをうかがってとてもよかったです。これまでいくつかの介護保険の集会に出ましたが、こちらの期待にこれほどこたえていただけたのははじめてです。
先生のお話でいちばん印象深かったのは「介護保険が官僚主義型立法であり、法全体が委任立法である」というご指摘です。たたでさえ介護保険の情報が国民に浸透していないのに、こうした立法課程のために国会で論議されることもなく、介護保険の全貌が国民にはよけい見えにくくなっているのだと痛感しました。
保険料の算定など多くの事項が厚生省令や政令の定めるところによるため、国会の審議を必要としないまま変わっていくことは、官僚がリードし、「国民は従えばいい」という悪しき日本の政治風土そのものだと思いました。
こんな中でどうしたら私たち国民の声をこの保険に反映できるのでしょうか? 昨日私が住む葛飾区の介護保険審議会を傍聴しました。驚いたのは、すでに前回の審議会で市町村独自の上乗せ・横だしはやる予定がないと区が言明していたことです。
区の保険料の試算が今回出ていましたが、どうも他区と歩調をあわせて、3300円~3400円ぐらいのようです。区民のために頭をしぼって個々の福祉サービスをどう工夫するのか知りたかったのですが……。
介護保険のシステムではサービスの上乗せや、独自の施策は1号保険者の保険料に跳ね返るため、何らかの工夫をすること自体難しいのですが……。
あとは区が一般施策でどんな福祉計画をたてるかですが、この不況下ではどこまで実現できるのか?
先生のお話ではむしろこれまでの福祉政策の後退もありえるとのこと。私の住む区ではいまのところ区民懇談会もなく、行政のほうからの一方的な説明会のみの状態です。どうしたら私たち住民の暮らしを安心できるものにできるのか? 5年ごとの見直しがチャンスだとおっしゃった先生のお話を思い出しながら、考えているところです。■
「介護保険の光と影」を聞いて
~ヒカリさんとカゲオさんによる介護保険に関する「仮想リアル対談」~
作:後藤高暁/演出:古田ゆかり
ヒカリ:この制度は平成12年4月1日から保険料納付開始、サービス開始と決まっているけれど、それにしては保険料も決まっていないし、制度の矛盾もあったり具体的に決まっていない事が多いようですね。箭内さんからかなり詳しくうかがうほどに、「保険あって介護無し」にならないか心配です。カゲオさんのご感想はいかがですか?
カゲオ:私の身近な例ですが、94才の母を72才の姉が世話しています。母は寝たきりに近いけれど、食事や下の事は自分でできるから、姉は病弱でふうふう言いながらも今はなんとかやっています。しかし、母にしても姉にしてもちょっと状態が進行すればどうにもならなくなる事は目に見えています。友人たちに聞くと、みんなもっと深刻な問題を抱えているようで、いつ介護者になるか、逆に自分が介護される側になるか分からない。ですから最悪の事態を救える制度は日本人全体が必要としているし早い方がよいと思います。
ヒカリ:そうですね。人それぞれ違った環境にあるのだから、全部に納得のいく制度を予め作れるはずがない。そうだからと言って官僚的な割り切りだけで制度化しようとする傾向が強いようで、矛盾がいっぱい出てきそうですね。
カゲオ:3年位で結果を見て5年で見直すことになっていますが。市民生活そのものだから、最初から市民が参入していないと見直す活力が生まれないでしょう。官の体質を変えていかねば、よい制度は育っていかないと思います。
自分の生活に直接かかわってくることだから、地域の人間としても黙っているわけにはいかない。そういう意味ではこの制度を真剣に考えることが市民や官のあり方を変えてい
くかも知れないとも思います。いい試金石になれば他の事にもよい改善をもたらすのではないかと思います。ともかく見直しが十分にできる方法を保障して欲しいですね。
ヒカリ:実際面では、要介護者の認定を、85項目の訪問面接の結果をコンピューターで処理し、かかりつけの医師の意見書を総合して認定審査会で判定する事になっていますが、妥当な透明性のある認定ができるものでしょうか?
カゲオ:今日も皆から話が出ましたが、要介護者でも、人が来て話す時と家での日常は全く違います。
家の母も、人が来ると姿から変わってしゃんとして話しをする。また自分は出来ないくせに他人が家の中に入ることに大変な抵抗があることも大きな問題です。介護者、被介護者の意識で面接聞き取りの結果が変わって来るとのことですから、余程優れた親身のある面接者でないと本当の調査にならない恐れがあるようですね。そのような人がいるのか?養成できるかも心配です。
ヒカリ:心配していたら切りがないですね。
カゲオ:そもそも官の制度では限界があるから、自助や地域の相互扶助とあいまって本当に困っている事を重点的に助ける融通性のある運用をどう進めるかとか、寝たきりにさせない地域での環境作りなど、宿題は大きいし市民自体が総合的に解決していかねばならない事なのでしょうね。
ヒカリ:どんどん市民の意志を反映させる為に、直接厚生省に意見を送らねばならないことです。厚生白書の愛読者カードやハガキ。封書等下記あてに出して下さいと箭内さんも言っていました。

★Eメール www-admin@mhw.go.jp
★〒100-8045 東京都千代田区霞ヶ関1-2-2 厚生省大臣官房政策課調査室

 

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