8月26日(水)bending science 研究会第二期開始 公開講座&メンバー募集

投稿者: | 2020年7月14日


来る8月26日(水)に、市民研のなかの研究会の一つ、bending science 研究会が第二期として新しい調査研究を開始します。

新しいメンバーの参加の呼びかけをかねて、研究会世話人の瀬野豪志(市民研・理事)が以下に記すような、第二期の活動の趣旨説明を、今後研究対象とするつもりの日本の事例(脚気論争、「味の素」、「鐘紡」)の紹介も交えて、行います。

今後の研究会は、市民研のどの研究会においても、オンラインでのやりとりを積極的に取り込んでいきたいと考えておりますので、この公開講座もオンライン参加の枠を設けています。講座への参加はどなたでも可能ですが、それ以後に研究会のメンバーとなって一緒に活動するためには、市民研の会員登録が必要であることを予め申し添えておきます。

参加者の皆さんと中身の濃い議論ができることを心から期待しております。

日時:2020年8月26日(水)18:30~21:00
場所:市民科学研究室・事務所(オンラインでの参加もできます)
参加費:500円
参加申込み:こちらのサイトからお願いします。
参加費の支払い:会場に直接いらっしゃる方は会場でお支払いください。オンラインでの参加の方は事前にこちらからお願いします。
発表者:瀬野豪志(NPO法人市民科学研究室・理事/bending science 研究会世話人)

【bending science 研究会第二期 活動趣旨】

Bending Science研究会は、Bending Scienceという本の読書会から始まっています。

Thomas O. McGarity and Wendy E. Wagner, Bending Science: How Special Interests Corrupt Public Health Research, (Harvard University Press, 2008).

この本では、「Bending Science」の事例が豊富に紹介されています。わかりやすい例をあげれば、医薬品会社、食品会社、タバコ会社などの企業が、自社の製品を弁護するような研究を継続することによって、その製品の安全性や健康への問題についての論争に影響を与えてきたという事例があります。企業の利害に基づいた科学研究があるという指摘だけではなく、それらの科学研究の成り行きに影響を与える活動(「Bending Science」の手法)が、通常の科学研究の分野に入り込んでおり、都合の悪い研究を攻撃し、法的な規制などの政策的な対策を操作するかのように、人間の健康に関する政策的科学の過程に影響を与えているという議論をしていることが重要です。著者は「独立の研究者」に期待しつつも、現状の科学研究はBending Scienceに対して無力であるように論じています。

Bending Scienceは、直訳すると「ねじ曲げる」科学ですが、これまでの研究会においてわたしが考えてきたのは、科学研究に影響を与えていない「非科学的」とされる疑似科学のような問題ではなく、20世紀以降の企業内に生まれた「科学研究」が、技術のシステムや役に立つ製品をもたらすとともに、近代社会の「産業」を維持し、公共的な「政策」に関わるようになり、生命や人間についての科学研究の分野を切り拓いてきたことによって、人々の生活を支えている「科学技術」をどのように方向付けているのかという問題です。

また、人々の健康のための政策に影響を与える目的や条件から考えると、Bending Scienceは、研究者としての個人的な利害関心を検討すれば済むような問題ではなく、科学技術による事業の利害関係に基づく研究者だけではない組織的な活動として起きている問題です。企業内の科学研究による事業は、研究や技術開発を促進するネットワークを形成し、研究を進めるための資源を持っており、一般社会への広報を展開することができ、新しい科学の研究分野を形成することもあります。

それゆえに、Bending Scienceを考えるには難しい点がいくつかあると感じています。それは、科学研究としての一定の水準を満たしているために科学的かどうかでは判別がつかない(科学的な論争において排除できない)ということや、科学研究の論争である以上、科学技術には不確実性がある以上、結果的に論争において間違いが明らかになったとしても、それのみによって科学研究としての問題があるとは言えず、隠蔽などの作為が明らかにならない限り企業の防衛のための詐術であるとは断定できないということです。むしろ、通常の研究活動として、論争や法的規制の決着がつくまで継続されるような場合が現実的にはあるのかもしれません。

Bending Scienceの活動は、人々の生活において科学技術による被害が明らかになっていく過程で、産業の立場を代弁するものとして顕在化します。しかし、それが意図的か結果的かにかかわらず、そのときにはすでに「遅い」ことになってしまうという実際の科学技術における社会的な影響の問題があります。科学的な論争が重要であるからこそ、科学研究の成り行きに影響を与えているという意味でのBending Scienceの問題は、科学技術による事故や事件が起きた時点が始点ではないと考えています。

今回は、議論の基準となる出発点として、「Bending」にネガティブな意味を含めずに、人々の生活に関わる「科学研究の成り行き」のBendingに影響を与える有力な企業の活動としてBending Scienceを捉えてみることを提案します。それによって、Bending Scienceの問題の難しい点、科学研究の成り行き(企業内研究のネットワーク、Bending)と科学技術の成り行き(生活の文化を含む、実際の技術のあり方)を具体的な事例で検討できるようにしたいと考えています。

Bending Science研究会では、科学研究や科学技術の分野(事例)を限定せず、Bending Scienceの問題を研究する方法を議論したいと考えています。科学技術の成り行きに共通するBending Scienceの問題を共有し、それぞれの関心のある分野においてBending Scienceの研究の成果が活かされることを望みます。

【8月26日の公開講座の内容】

1. 今後の研究会で扱いたいテーマについて

a. 科学技術の成り行きはどのようにして決まるのか
→基礎的な科学技術史、Bending Scienceとは何か(線引き、分類)、問題はどこにあるか(産業が関わる研究促進体制、事件・事故の発生と科学技術の成り行きの関わり、社会的なリスク「潜在性」「遅い」)、日本における事例(その科学技術のネットワーク、構図を把握する)

b. 科学研究や技術開発についての調査
→政策や産業に関わる科学研究の分類と整理、日本における事例に関連する科学研究の理解、調査

c. 重要な情報はどこにあるのか
→内部資料や関係者などの一次情報にあたることができるか

d. Bending Scienceのネットワークと市民科学のネットワークのからみ
→科学技術の成り行き、科学技術のネットワーク、今後の生活の文化などに市民科学がどのように関わるか

2. 日本における事例研究について

・脚気論争における森鴎外はBending Scienceか

・戦前からの「日本の(石油)化学工業」における科学研究

事例1 「味の素」 中華料理店症候群 アミノ酸の研究と食文化
事例2「鐘紡」 カネミ油症 PCB、ダイオキシンの処理問題

いずれも論争や事件の詳しい解説ではなく、上記のaについて簡単な構図を提示します。
b、c、dについて、参加者が関心がある分野について、気軽な形で議論します。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です