「えねこや」代表・湯浅氏 インタビュー(前編)

投稿者: | 2019年5月3日

「えねこや」代表・湯浅氏 インタビュー(前編)

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はじめに

3.11から丸8年が過ぎました。『あれ』から私たちの生活や暮らし方はどのように変わったでしょうか。

ちょうど8年前、私たちは電気がどこから来ていたのか、誰が本当のリスクを負っているか、そして電気の無い社会がいかに脆弱かを身に染みてまさに経験しつつありました。

私たちの暮らしは電気と切っても切れない関係にあります。それは同時に『電線』とも切れない関係にあることを意味します。電線と繋がっていることは、安心で快適な生活を送る必須条件であると考えられてきました。

しかし、この先入観を覆す試みを行っている方々がいます。その1人が今回と次回の2回に分けてご紹介する『えねこや』代表の湯浅剛氏です。氏が仲間と共に立ち上げたこの団体は、『外部に頼らずにエネルギーを自給自足する小屋』即ち『えねこや』を実際に実験的に作るだけでなく、各地でミニチュアを使った啓発活動を行い、現在は移動式の実機を公開製作中です(一般社団法人「えねこや」調布市深大寺北町2、TEL 042-483-8686)。

このインタビューは2月のある晴れた日に実際に『えねこや』に伺ってお話しを聴いたものです。(文責・聞き手:市民研理事 橋本正明)

本日はお忙しい中、ありがとうございます。さっそくですが、HPにもお書きになられていましたけれども、こちらのエネルギー自給独立型の【えねこや】というご活動をはじめられたキッカケについて教えてください。

湯浅: 3.11ですね。

あれはインパクトがありましたね。

湯浅: それまではエネルギーや政治について、もちろん原発を含めて色々と何も知らないことが多過ぎました。地元の調布でも原発(反対)都民投票があったりして署名活動も生まれて初めて駅前でやっていたりしていたのですが、結果的に当時の都知事に却下されてしまいました。デモも行ったりしたのですが長く続けていると1人2人と仲間が抜けて行って…。自分の仕事もあるし中々続けられないし反対活動するにもかなりのパワーが必要です。

何も変わらないという事実があって、「どうしたものかな。」と「これは良くないな。」と思っていたのですが、たまたま自分は建築をやっていて【オフグリッド】という言葉を聞いて「あぁ、そういうもの出来るんだ。それならやってみようかな。」と考えたのと、一緒に署名活動をやっていた先輩方から「それは良いかも。」と言われ、軽い気持ちで始まりました。

オフグリッドを始めたキッカケは、自宅の隣家が諸事情により空き家となり、安く譲って頂いたこと。また、事務所ではあまり電気を使わなかったので、大丈夫そうだなと思って始めることにしました。

岡山でオフグリッドの活動をしている自エネ組の大塚さんという建築家がいます。彼は元々福島でオフグリッドを実践していたのですが原発事故で岡山へ引っ越されました。で彼に相談して、サポートしてもらえるということで実践してみるということにしたわけです。

こちらはスケルトン・リフォームで造られたのですね。

湯浅:そうですね。

どんな感じでリフォームされたのでしょうか。

湯浅:ここ(屋根)をズバッと切って、片流れにしました。一応、太陽光3kW(パネル12枚)欲しかったので、そうしないと元々の切妻屋根だとこちら側が北になっているので出力が足りないなと思いまして。

減築で建物内部のボリュームを少し小さくして、冷暖房に必要なエネルギー量を軽減させました。40年前に建てられた家では使える材料が意外と少なく、基礎も鉄筋が入っていなかったので、布基礎の補強と新たにベタ基礎をつくりました。

コスト的には結構掛かりましたが、とにかく耐震補強と温熱改修はしっかりとやり直したという感じですね。

基礎をかなりやり直されたということですが、そういえば、家の基礎部分に蓄熱させるタイプのものがあります。そちらはご検討されたでしょうか。

湯浅:はい、実際にそのような建築の実績がありますので検討してみたのですが、ここの場合は電気が制限されるので床下にもう1台エアコンをプラスできるような余裕は無いだろうと思っておりました。でも実は床下も使っております。天井付近の暖まった空気を給気して床下に入れるということは行っております。

結局実際には(今日のような)晴れた天気の時には使わないし、要は寒い時とか雨とか曇りの、ペレットストーブを使うような時なので(換気の途中で暖めて)、蓄熱するほどの熱量が残念ながら確保できないので、まぁ部屋の温度を均一化させる程度でしょうか。逆にこちらのメリットは夏なのです。夏はエアコンここ1台しか無いので、そこからの冷やされた空気が(床)下へ行って、それを吸い上げて2階で吹き出させると2階も冷えてこれは凄く効果的ですね。

こちらの冬の床下の扱いは中々難しいです。

 なるほど、以前から床下蓄熱式住宅についてその効果がどの様なものか興味があったのですが、実際のところは如何でしょうか。

湯浅:ずーっと継続的に運転させていれば効果はあると思います。ただこのベタ基礎の下に断熱材を敷かないと、熱の逃げが問題になりそうです。地中熱という考え方はある訳ですが、どうしても表面や周囲など地上の気温の影響を受けるので中々難しいです。

 立地建築条件によって合うとか合わないとかがどうしてもありますね。

湯浅:日当たりや周囲の条件によってかなり変わりますね。屋根にある程度日光が当たる前提ではありますけれどね。太陽さえ照っていればメリットがあると思います。雨や曇りの時にエネルギーをどうするかということですが、床下暖房にも色々なパターンがあって、ダクトを通したり、温水を通したりと様々な方法を使っていますがどのエネルギー消費量がベストかと言うと一概には言えないのと、温度差に対する個人差も大きいですね。

床暖房だと敷設部分と敷設していないところで大きく落差がありますが、床下暖房のメリットは全体的に均一に暖まるということ、2階LDKのときは若干課題もありますが、1階LDKのときにはかなり快適だということが判かっています。ただその後は消費電力や熱量をいかにどうするかというところでしょうか。まぁ、その辺は色々な考え方があるので、あくまでも蓄熱ではない「熱の均一化」、「ここは暖かいけど、そっちは寒い」みたいな温度のバラつきを無くすことを目的にするなら、やはり床下暖房は適しています。

ただし、うちの場合は床下に熱源が無いので、換気扇を回して多少足元の冷えが少し解消されるかなという程度の効果です。

足元の冷えはきますよね。

湯浅:きますね。ここはペレットストーブでね。かなり暖かいのですよ。それも無重力式でです。普通はペレットストーブには電気が必要なものが多いのです。

業界では有名な長野のペレットストーブの設置業者が、3.11の時に被災地に行ってペレットストーブが停電のため使えなかったことにショックを受けていました。

なるほど、ペレットストーブと言うと「電気を使わない」と思ってしまいますが、実際はそうではないのですね。

湯浅:多分8、9割は電気を使うのですね。その分扱い易くてタイマー式であったりとか結構高性能なものもあるのですが、少なくとも2つあって、1つはポツポツとペレットを落とす機能とファンを回す機能に電気が必要なんです。

それでショックを受けて彼が開発したのですよ、無重力ペレットストーブを。

うちも最初ペレットストーブはモニター利用だったのですが、少しずつ改善されてきて今は快適に使えます。

後ろの出っ張ったところにペレットを入れて動力で落ちてきて、燃え尽きたら後ろからズレてくるシステムです。薪も使えるので薪ストーブにもなります。ただ煙突のでっかいのが要るので、それがちょっとお金掛かりますね。

【続きは上記PDFでお読みください】

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