2020年6月7日(日曜日)に2019年度の市民研総会を開催しました。
正会員(レイチェル会員)の過半数を超える議決により、2019年度の活動報告と決算報告、2020年度の活動方針と予算案、そして役員の再任と現行の定款の維持、のすべてが承認されました。なお、今回は新型コロナウイルス感染拡大の問題があり、オンラインでの総会となりましたが、今までになく多くの方が参加してくださいました(海外からの2名を含む総勢19名)。会員の皆様のご協力に心より感謝申し上げます。
2019年度の市民研の活動の主だったものは、以下のとおりです。
1) 教育普及啓発事業
・市民科学講座13回(Aコース4回、Bコース7回、Cコース1回)
・共催のセミナー1回
・依頼講演13回
2)調査研究事業
・ 各研究会
低線量被曝(ICRP新草案パブコメに関するイベントや翻訳など、シリーズ「放射線被曝とその周辺」)
環境電磁界(ホームページ「5Gリスク情報室」開設、パンフレット『5Gここが問題!』制作)
食の総合科学(『タネと内蔵』の輪読、加工食・食品成分表示の実例調査)
熱とくらし(エアコンの使い方講座、『かるた 熱とくらし』の制作)
bending science(味の素社見学、「味のテクノロジー」の科学史的考察についての議論)
<生命/生物/人間>(DIYバイオや合成生物学についての概念整理の議論)
科学コミュニケーションツール(対面型ゲーム「ネゴバト」販売(5セット))
・学会発表1回(STS学会in金沢)+国際ワークショップ1回(日本ベルギー共同研究)
3)提言支援事業
・ICRP パブコメ関連数回(対話集会、プレス向け集会、草案翻訳など)
・取材相談対応5 回
4)広報事業
・機関誌『市民研通信』6 号分(50 号から55 号)
・ホームページにおける講座・イベントなどの告知および会員募集などの広報活動多数
5)助成事業
・「立正佼成会一食(いちじき)平和基金」及び「ふくしま地球市民発伝所」による「一食福島復興・被災者支援」事業助成プログラムにより「福島県からの避難を理解するための福島県外での中学・高校・大学生向け教育(ワークショップ)プログラムの開発と実践」によりワークショップをを1 回開催、60 名参加。(→コロナウイルス禍で3 月に予定していた中学校でのWS は中止)
・サントリー財団研究助成「学問の未来を拓く」「シチズンサイエンスの普及にむけた概念整理とプラットフォーム構築の提案」(代表:阪大・中村征樹)にメンバーとして参画(継続中)
また、2019年の決算につきましてはホームページに掲げました「2019年度会計報告書」をご覧いただければと思いますが、収支の合計は36万ほどの赤字となり(収入404万円、支出441万円)、厳しい状況が続いています。2019年の1月にお願いした特別支援カンパでの22万円をはじめ、ご寄付を総計で57万円いただけたことが大きな支えとなっています。会費収入は79万円ですから、この部分を確実に大きくしていくことが、財政安定のための何よりの要になります。
なお、会計の処理に関して、2019年度の事業であったにもかかわらず、やり取りの都合上新年度(4月)になって振り込みが行われた場合は、これまでは新年度分として計上していましたが(銀行の通帳では4月になるため)、今後は事業年度内で収支がわかるよう、年度をまたがない処理にすることを決めました。
2020年度の予算案では、会員を年間で20名ほど増やすことを前提に、すでに決まった2020年度「立正佼成会一食(いちじき)平和基金」(100万円、「国際放射線防護委員会(ICRP)の新勧告に福島県の原発事故被災者らの声を反映させるための国際キャンペーン活動」)のほか、いくつかの提携事業や印税などから見込まれるものを含めて、414万円で組んでいます。当面の間事務局の勤務を隔週にするなど、経常費を切り詰めるだけ切り詰めていますので、後は活動での事業収入をどう増やしていくかにかかっています。
2020年度の活動については、
1) 事業や活動を通じてのネットワークの拡充
2)運営・財政面の安定化
3)調査研究・啓発・支援事業の充実
を目標に、それぞれについての方策が提案され了承されました。またその審議のなかで新たなご提案をいただくことにもなりました。それらをふまえて、今後の取り組みについて、会員の皆さんにもご協力いただきたいと考えていることを、最後にまとめておきます。
(1)ごく一部を除く(食材などを使うもの)を除いて、どのようなイベント(講座・ワークショップ・交流会・会議・打ち合わせ)でも、オンラインと実際の参集の両方での参加を可能としていく。
(2)そうしたイベントはオンライン向けに常に録画しておけるので、参加者の了承が得られるならば、できるだけ速やかにそれらの記録を「動画配信サイト」にアップして、会員でそのイベントに関心のある方がいつでも視聴できるようにする。
(3)そうしたイベントに参加・視聴しての感想をMLやウェブのコメント欄などにどんどん書いてもらい、それを筆者名をイニシャル表記にして、どんどん公表していくようにする(その一例はこちら)。
(4)SNS発信を会員の方々に助けてもらう。
(5)市民研と「市民研・会員個人」との「共催」を増やしていく。市民研の会員のなかには、専門的な情報や見解が発信できる、ご自身で独自の取組みを続けている……といった方がたくさんおられるので、そうした方々に(遠方からならオンラインを通じて)講師なりをしていただいたり、市民研の会員有志と小規模の会合を持ったり、新しい共同のプロジェクトを企画して進めたり……ということを手がけていきます。
(6)国際的ネットワークづくりを具体化していく。欧米でここ数年特にさかんになりつつある「シチズンサイエンス」の潮流に対して、市民科学研究室は何らかの問題を提起したり、提案したり、具体的に協働したりすることができるでしょう。海外の会員の方もいらっしゃいます。機械翻訳の精度も上がってきています。そうした条件を生かしていきたいと思います。
(7)会員増加に向けて、もっと紙版の『通信』を活用する。手のひらサイズの紙版の『市民研通信』は隔月で発行していますが、メール版(PDF)のみで受け取っている方であっても、「自分の周りでいろいろ配布できるところがあるよ」という方には、毎回何部でも必要部数を郵送することができます。どこかに毎回置かせてもらえる場所をご存知の方はその情報と伝えてくださってもかまいません。せっかくの手のひらサイズ、フルカラーのリーフレット様のものなので、大いに活用したいところです。
以上、簡単ながら、総会での審議をふまえて、報告いたしました。
今後とも市民科学研究室へのご支援・ご協力をどうかよろしくお願いします。