ICRP(国際放射線防護委員会)の勧告改訂草案の日本語訳を掲載中

投稿者: | 2019年9月7日

現在、国際放射線防護委員会ICRP報告書(勧告改訂)草案「大規模な原子力事故における人と環境の放射線防護」(Radiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accident)への意見募集(パブコメ)がICRPのサイトでなされています。

ICRPは放射線防護の専門家による一種の国際NPOで、現在までに139の刊行物を出しています。その勧告は、医療利用に加えて核開発や原子力発電が始まった時代から国連機関が発出する指針等に反映され、日本を含め多くの国で法制度に取り入れられています。今回の改訂草案は、私たちが経験し、現在も直面している東電福島事故への対処を評価し、今後の事故に備えることを狙いとしています。

報告書の草案は英語なので、ハードルの高いものになっています。ICRPは8月16日付で主要部分の日本語訳をホームページに掲載し、今回は例外的に日本語による意見も提出できるとしました。ウェッブ上での締め切りは9月20日です。日本では、10月25日の東京でのシンポジウムまでの期日で日本語の意見を受け付けることになっています。個人でも団体でも意見は提出することができますし、提出されたすべての意見は、英語であれ日本語であれ、全文を閲覧できるようになりました(ICRPからのお知らせを参照のこと)。

パブコメの投稿の方法については、OurPlanet-TVの「原発事故の防護基準、日本語で意見募集へ〜ICRP」にわかりやすくまとめられていますので、参考にしてください。

この意見募集が始まって以降、8つの市民団体(※)で構成される有志が協力し、以下の取組みすすめてきました。それは、ICRP勧告が放射線防護の国際基準に反映され、日本でも様々な法制度に取り入れられるため、被災当事者をはじめとする日本からの声がきちんと反映されることが重要だと考えられるからです。

・8月23日(金) ICRP新勧告(案)のパブコメ募集に関する記者会見〜福島原発事故の教訓を反映した勧告を〜
→当日の動画はこちらから
・9月2日(月) ICRP委員を迎えての学習会
→当日の動画はこちらから

※ 原子力市民委員会、原子力資料情報室、国際環境NGOグリーンピース・ジャパン、国際環境NGO FoEジャパン、NPO法人市民科学研究室、高木学校、「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワーク、放射線被ばくを学習する会

さらに、意見募集を書く際には、草案自体の読み解きが必要ですが、その参考にしていただければと思い、草案の日本語訳を作成しました。上記8団体による共同訳ですが、現時点ではまだ最終的に確定した訳というわけではなく、今後も必要な修正を加える予定です。お気づきの点があれば、お知らせいただけますと幸いです。

【原文(英語)】

本文全文(英語)

【日本語訳】

ICRP委員(甲斐倫明氏+本間俊充氏)による主要部分の仮訳(目次、要点、総括的要約、結論、表 6.1.)

本文(第1章から第4章、原文で8頁~53頁)の仮訳(市民団体による共同訳)

・草案の「付属書(ANNEX) A」(チェルノブイリ) 及び「付属書(ANNEX) B」(フクシマ) の仮訳(市民団体による共同訳)
ANNEX A Japanese
ANNEX B Japanese

 

ICRP(国際放射線防護委員会)の勧告改訂草案の日本語訳を掲載中」への2件のフィードバック

  1. 山口一郎

    1.「the order of 1 mSv per year」
    要点の下から2番目の「the order of 1 mSv per year」に関して、RSFの第17回 放射線安全検討会〔アリーナ〕で瀬川さんがご質問下さり、本間さんからご丁寧なご説明がありました。
    ・「the other of」は、地域などにより意味が異なり得るが、ここでは、およそ1mSvという意味(a few mSv per yearであり1-9mSvではない)
    ・80項での「with the objective to reduce exposure progressively to levels on the order of 1 mSv per year. 」が元
    ・81項で「The Commission recommends that some types of protective actions should be maintained during the recovery process as long as a significant proportion of the affected population receive exposures above 1 mSv per year」と説明している(目安量が1 mSv per yearであることを示唆)
    ・860行に「of the order of a few mSv per year」とある。

    2.Individual measurements
    このアリーナでは、「ICRP委員(甲斐倫明氏+本間俊充氏)による主要部分の仮訳」の「EXECUTIVE SUMMARY」の和訳に関しても、瀬川さんがご指摘なさっておられました(l項)。

    「EXECUTIVE SUMMARYの記述」
    Individual measurements with suitable devices, together with relevant information, are critical to implement the process.
    「仮訳」
    適切な線量計を用いて行う個人線量の測定は、関連する情報と共に、共同専門知の過程を実施するには不可欠である。

    本文(189)
    Continuation of radiological characterisation in affected areas should be complemented by the establishment of a system for monitoring the external and internal exposure of individuals.

    【望ましいと思われる表現案】
    外部と内部被ばくに関する個人の線量評価に役立つように適切な機器を用いた測定が実施可能とすることと測定に関連した役立つ情報を提供するとともに、課題解決のための健全なコミュニケーションを機能させることは、事故からの回復過程における関係者間の協働による課題解決において不可欠なものである。

    リスク情報を提供することが危害を与え人々を抑うつ状態に陥ることの危惧も指摘されているところですが、県内の自治体では、様々な職種が連携し、地域住民とともにこのような状況に対しても効果的な事業が展開されていたので(ただし自治体職員への負担を伴いうる)、その情報も共有されるとよいのではないでしょうか。

    返信
  2. 山口一郎

    (85)
    > したがって、中期は一般にオフサ イトよりも長く続く(付属書 A および付属書 B 参照)。
    Therefore, the intermediate phase generally lasts longer off-site than on-site (see Annexes A and B).
    →したがって、中期は一般にオンサイトよりもオフサイトでより長く続く(付属書 A および付属書 B 参照)。

    返信

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