スマートフォンの登場で、無線利用が一段と拡大する気配だ。学校や公共施設、家庭に無線LAN が普及し、今さらに、屋外のどこにおいてもPC やi-padなどから無線でインターネットにつなげることができるようにする、いわゆるWiFi の整備が驚くほどの勢いで進んでいる。私たちは現在、平均的にみると、周波数の種類からいっても、強度(電力束密度)からいっても、かつてない濃密な” 電波のスモッグ” の中に身をさらしているのは、間違いない。「熱作用さえ一定レベル以下に収まるように、個々の電波の強さを制限すれば、健康に何も問題は生じない」という、多くの国が採用しているICNIRP のガイドラインの考え方が、じつはこの” 高濃度電磁波スモッグ” の現実に照らすと、リスクのとらえ方として不十分であることが、「非熱作用を無視している」という従来からなされてきた批判に加えて、いよいよはっきりしてきたのではないか。
● i-phone をはじめスマートフォンの各社がじつはユーザーズガイドに(こっそりと?)「音声通話、もしくはワイヤレス・ネットワークに接続する際は、身体から少なくとも15 ミリ、本体を離してお使いください」という注意書きを入れていることからわかるように、ICNIRP の基準値さえも超えるほどの強さでの暴露が生まれてきている。
●これまで比較的弱い超低周波磁場(商用周波数の50Hz もしくは60Hz)しか出さないと思われてきたノートパソコンで、じつはハイスペックの最新機種などで、CPU の稼働率が高くなった場合などに、キーを打つ手が触れるあたりで数十mG にも達する場合があることがわかってきた(市民研の独自調査、年内に報告書の形で公表予定)。
●スマートフォン+WiFi+ハイスペックノートPC を毎日長時使用する人では、高周波と低周波をあわせた暴露が相当大きくなっているだろうし、そうした人もますます多くなっていくだろう。
これらの点を考慮した様々な計測や暴露評価が早急になされる必要がある。
【上田昌文(市民研・代表)】