放射能と食を考える

投稿者: | 2011年7月13日

 東京電力福島第一原発事故はいまだ収束の目処が立っていません。当初の危機的状況は緩和されたものの、5月半ばには遠方の神奈川県西部で茶葉が国の暫定規制値を越えるなど、土壌や海洋の放射能汚染についても範囲が拡大し続けています。影響の長期化も懸念され、生産者の苦悩は計り知れないものがあります。
 私は、放射能と食の問題を市民科学研究室の企画として取り上げようと、この間いろいろ調べていました。その中で、これまで生産者との信頼関係を地道に築いてきた生協や自然食品などをあつかう流通業者の対応に注目しています。
 これまで、これらの団体は、チェルノブイリの経験から国よりかなり厳しい放射能規制の自主基準を設けていました。放射能に対する「食の安全」を合理的・経済的に求めるのであれば、西日本その他から食品を「輸入」すればいいわけですが、これらの団体はそのような対応をしていません。逆に、自主基準を国の基準にまで緩和するといった対応を取っています。
 標準的な放射線防護の考え方では、放射性物質はできるだけ摂取しない方がよいということになります。一方、生産者との信頼関係は、食の安全を担保する大切な財産です。この両者を天秤にかけて、生産者との信頼関係の継続を優先させる方が、長期的に見てより重要であると判断したのでしょう。私個人としては、このような動きを支持したいと思っています。
 しかし、この心情はあくまで私個人のものであって、個々人の条件や考え方によって変わってあたりまえです。私の中でも、科学的な視点との間に完全な折り合いがついているわけではありません。特に子どもがいる場合は判断に迷うところです。これから市民科学研究室でも、放射能と食、農業や漁業との関係を取り上げることになると思います。しばらくの間はいろいろ考えさせられることになるでしょう。
                                           【上村光弘(市民研・理事)】
PDFはこちらから →csijnewsletter_008.pdf

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