巻頭言 日本の実験動物の管理体制はこのままでよいのか?

投稿者: | 2012年10月10日

巻頭言

日本の実験動物の管理体制はこのままでよいのか?


石塚隆記(市民研・理事)

PDFはこちらから→http://archives.shiminkagaku.org/archives/csijnewsletter_014_ishizuka1_120917.pdf
2012年8月末、動物の愛護及び管理に関する法律(以下、「動物愛護法」)の一部を改正する法律案が衆議院で可決された。本改正では動物愛護の点からみていくつかの大きな進展が見られたようである。ただ、一部の国会議員や動物愛護団体が実験動物施設の届出制の導入を本改正に盛り込むことを要求していたが、これら要求は通らなかった。
欧米諸国では、動物実験施設の数、位置、規模、実験に供されている実験動物の種類・数等を行政が把握できる仕組みが法制度化されている一方、日本には、そういった仕組みがない。このままでは、大規模災害が発生し、動物実験施設が罹災した場合、施設から人間の生活圏に開放される実験動物の種類・数を行政が把握・予測できないだろうし、実験動物の福祉に関する問題が存在していても表面化されないだろう。
市民研は、こういった状況に問題意識を持ち、2012年8月18日に、東さちこさん(地球生物会議ALIVE スタッフ)を講師としてお招きし、「実験動物の保護のために日本が変わらねばならないこと」とのタイトルで、市民科学講座を開催した。講座では、東さんから現状の問題点に係る講義を受け、その後出席いただいた方々と次のような意見交換を行なった。①国際社会からオープンに意見を求める場(例えば、国際シンポジウム)があれば、現状から一歩進めるのではないか?②兵庫県は既に動物実験施設の届出制を条例化している。他の自治体でも条例化が問題なく進めば、国レベルでも検討が進むのでは?③動物実験については賛否両論があり、その意味で世論を形作る(例えば、考えることを社会に投げかける)のが大事だろう。
社会問題というのは簡単に解決しない。ただ、今回の市民科学講座のように、多くの方と問題意識を共有することが、問題解決への第一歩なのではないか?今回の講座の企画を通して、市民運動の持つ意味についても理解を深めることができた。

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