たのしい人体考察 第2回 歯の話
三和 尋(ボディセラピスト)
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前回はカラダのカタチが変わる話をしましたが、アタマのカタチも変わります。そう、頭蓋骨も動くのです。人間の頭蓋骨はツルンとした一個の丸い骨ではなく、23個のパーツが組み合わさって出来ています。それが、首、肩の緊張や表情筋のクセなどによって横に広がったりデコボコしたりさまざまなカタチに変化していくのではないかと考えられます。この頭蓋骨を整える手技をひたすら自分のアタマを実験台にして研究しているのですが、おかげで私のアタマは以前より小ぶりになって、昔の帽子やサングラスはすっかりユルユルになりました。
そんな私も驚いた最近の変化は、何と歯並びが変わったことです。私、歯にはかなりのコンプレックスがありまして、子供の頃から歯並びが悪くて虫歯も多く、前歯3本が差し歯、親知らず4本と奥歯4本を抜歯している上に残った歯もほとんど治療済みという有様で、かつてのカラダへの無関心ぶりがよく表れていますね。歯並びで特に目立つのが、左右の吸血鬼的八重歯でしたが、そこのところが変わりました!
ある日何の気なしに左の頬骨と上歯茎のあたりを調整していたら突然バキッという音がして、その後歯茎にジーンとした感覚が広がりました。鼻の下の上歯茎の中央部を支点に動かしていたので、触ってみると真ん中から左半分の歯茎がちょっと内側に入った感じになり、あら差し歯がずれちゃうじゃないと思いつつも、これはいわゆる出っ歯というやつが治る可能性があるなぁなどと考えたりしていました。しかし、歯並びが変わるなどとは思いもよらず、その時はノーチェック。気が付いたのは半日ほどたってからでした。鏡を見ていて何となく口元の左右が違う、何かしら?
あっ左の八重歯がない、あのときのバキッだ、一瞬で歯が動くこともあるんだなぁ、としばし感心。そしたら右も治さなくちゃ、と思いましたがどうやったかは思い出せず、いろいろ試してみたものの左のようにすっきり収まっていません。さらには上の歯は動かせても下の歯を動かすことは難しく、入れ歯が合わなくなりました(笑)。
問題点はいろいろありますが、この発見は興味深いです。考えてみれば一般の歯列矯正も長期に渡ってじわじわ力を加え続けて歯を動かすのですから、歯とは動くものなのでしょう。そんな話をしていたら200万円かけて矯正したのにまた元に戻ってしまったという人に会いました。一度そろった歯がまた元のカタチに動いていくということは、無意識のうちに歯がきゅうくつになるほどアゴや口元に自分で力を加えているのではないでしょうか? そう、自分の歯が収まってみて思うことは、歯並びが悪いということはすべての歯がきちんと収まるスペースが足りないということ、つまり歯茎に緊張があるのではないかということです。
陰陽五行では歯は腎に関係しているといわれ、腎気というのは先天の気(つまり生命力)を表してもいます。口とは食物エネルギーを取り込む入り口であり、自分の意思や感情を言葉にして放つ出口でもあります。その口が緊張するということは何らかの恐れがあるということでしょうし、そう考えると腎臓が恐れの感情に関わっていることにも納得がいきます(内臓はそれぞれ感情と関わっているという考え方があるのです)。歯並びが悪い理由のひとつとして、取り込みたくないものを取り込まされる、言いたいことがうまく言えない、そんなストレスによる緊張があるのだとすると、乱れた歯にもキュンとするような切なさ愛おしさを感じたりします。もっと大切にしてあげればよかったと今はしみじみ思います。
以上の歯の話は私の個人的考察なので、みなさんも自由に考えてみてくださいね。カタチは象徴です。カタチに現れているものの中から様々なメッセージを読み取るというのは興味深いことです。まずは自分のカタチをじっくり眺め、それが何を表しているのか考察してみてください。
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