ナノテクノロジーのリスクを どう考えるべきか

投稿者: | 2013年4月23日
2013年2月23日実施 第51回 市民科学講座 <特別シンポジウム>
ナノ粒子の健康リスク~母子伝達と次世代影響、リスク管理を軸に~
報告
ナノテクノロジーのリスクをどう考えるべきか
上田 昌文
(NPO法人市民科学研究室・代表理事)

全文はpdfでお読みいただけます→csijnewsletter_017_ueda_20130419.pdf

みなさん、こんにちは、市民科学研究室の上田です。本日の市民科学講座では小林剛さんがご病気のためご発表がかないません(配布資料はお手元にお配りしました)。急遽バトンタッチして私が導入的な話を30分ですることになりました。どうかよろしくお願いします。

まず、ナノテクノロジーの特徴は、非常に小さなスケールで物を加工したり、あるいは小さなサイズにしていった時に特別な性質が出てくる、それをうまく利用したりする技術というふうに言えると思います。「ナノテクノロジー」と私たちは言っておりますけれども、本来は「ナノテクノロジーズ」と複数で呼ばなければ、とてもじゃないけども表しきれない程幅広い技術群です。非常に細かいものですから、集積ができる、そしてそのことによって量子効果なり何なりのいろんな効果が出てくるということがあります。例えば皆さんは意外に思われるかもしれませんけども、普通のアルミニウムの板である1円玉は何も外界と反応しませが、それを微細な粒子に変えると非常に酸化しやすくなり、熱すると空気と激しく反応して燃焼するということが起こります。そういうことからわかりますように、小さくするっていうことは、サイズだけの問題ではないということがあります。また、非常に高感度のものを作ることができるということがありまして、このあたりを利用してじつに様々な技術が出て来ているわけです。ただ、粒子を扱う場合のひとつの特性としまして、ひっついてしまう、凝集してしまうというのがありますので、例えばナノ粒子をきちんと計測する時には、これをどう制御するかっていうのがポイントになってきます。

ナノテクの可能性をわかりやすい例で言いますと、NNI(National Nanotechnology Initiative)が米国で2000年に立ち上げられましたけれども、この報告書にはその技術の驚くべき将来事例が示されています。全米図書館の全部の本を角砂糖1個分位に入れるとか、鉄よりも10倍強くてそれよりもはるかに軽い物で車体を作ることができるとか、コンピューターの計算速度を本当に数万倍上げることができるとか、などなどですね。夢のような話がいっぱい語られているわけです。

しかし技術全体の動きを見ますと、特別な注意が必要だなっていう部分がありまして、生活のあらゆる領域に関わってくという点。もう1つは、どこの国をとっても産官学が一体になった推進体制があって、巨大なお金が動いているという現実。これは、人によっては皮肉をこめて「”ナノテク”と名前を付ければ研究費が取り易い」と言いたくなる時期もあったとか…。それからもう1つは、これだけ広くて可能性がいろいろあるものですから、将来どうなるかということの予測がしにくいということがあります。私としては、なんだかSF的な話だなぁと思えるところまでにも視野を広げて、ある程度考察していかないと、そうしないと捉えきれないかもしれない、という感じがします。

【以下、続きは上記のpdfファイルにてお読み下さい。】

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