報告書 ナノテクノロジーとヒトの健康:科学的証拠とリスクガバナンス

投稿者: | 2014年1月21日

ナノテクノロジーとヒトの健康:
科学的証拠とリスクガバナンス

WHOエキスパート会合報告書
(2012年12月10-11日、ドイツ・ボン)
訳注:小林 剛
pdfファイルはこちらから→csijnewsletter_022_kobayashi_02.pdf
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目 次
1. Introduction 5
1.1 世界におけるナノマテリアルの利用と傾向  5
2. 暴露アセスメント   7
2.1 直接および二次的暴露 7
2.2 暴露メトリックスの決定 7
2.3 幼児およびその他の脆弱小集団の暴露 8
2.4 暴露アセスメントおよび毒性データの産出 8
3. ナノトキシコロジー 8
3.1 一般的な毒性学的手法 8
3.2 有害健康影響の可能性 9
3.3 脆弱者の小集団 10
4. リスクアセスメント 10
4.1 個別のナノマテリアルのアセスメント 10
4.2 リスクアセスメント評価の選択 11
4.3 ナノ製品のライフサイクルの側面 13
4.4 検出、追跡、監視 13
5. 規制およびリスク・ガバナンス 14
5.1 進行中の規制イニシアティブ 14
5.2 リスク・ガバナンス 15
5.3 リスク・コミュニケーション 15
5.4 多くの分野の利害関係者間の対話 17
5.5 国境越えの環境・健康・安全問題 17
6. 結論 17
参照文献 19
1. Introduction
ナノテクノロジーの利用に基づくナノマテリアルおよび製品は市販され、その利用は増加傾向にある。環境と健康についてのパルマ宣言(注1)においては、ナノテクノロジーおよびナノ粒子類の健康影響は、実践すべき行動として重要な環境・健康の課題の中に挙げられている。製品中のナノ粒子類およびナノ物質の利用についての研究増加の要望と相まって、各国の所管大臣は健康リスクとベネフィットのアセスメント方法の開発と進展を誓約した。ナノマテリアルの環境・健康・安全についての研究は、広範囲にわたり急速な成長を遂げている。世保健機関(WHO)欧州支局は、ナノテクノロジーと健康との関連について、最近および現在の研究をレビユーした。この作業からの知見は、厳密なアセスメントは実行できそうになく、「リスク・ガバナンス」の実用的モデルが望ましいことが示された。WHO欧州支局は、いかにして、ナノテクノロジーのリスク・ガバナンスの推進に寄与するかを探るため、2012年12月に2日間のワークショップを開催した。WHOへのインプットを目的として、広範囲の専門家の参加者が、彼らの学識発表のために招待された。ナノテクノロジーと健康についてのバックグラウンド資料(本問題の包括的かつ体系的なオーバービューを代表するものではない)が、本会合の基礎として用いられ、本リポートに収載されている。参加者によるプレゼンテーションのアブストラクトは本リポートの付属文書に収載されている。このワークショップにおける論議は、次の4件の重要領域に集中された。
(ⅰ) ナノマテリアルの暴露アセスメント
(ⅱ) ナノトキシコロジー
(ⅲ) リスクアセスメント
(ⅳ) 規制およびリスク・ガバナンス。
注1: 環境および健康に関するパルマ宣言は、イタリー・パルマにおける2010年3月10-12日における第5回環境/健康に関する大臣会合において署名された。
1.1 世界におけるナノマテリアルの利用と傾向
ナノマテリアルは、我々の生活のあらゆる面に進入している。それらのマテリアルは、医薬品・医療品・化粧品・衛生用品・エネルギーの保存/効率・水処理・空気濾過・環境修復・化学/生物学的センサー・軍事防衛・爆発物質 (Chaudhry, 2012)(訳者注)や、無数の消費者製品や素材などでの利用が増加している。例えば、食品分野においては、ナノマテリアルは新しい食感や風味、機能的食品、衛生的な食品加工や包装、高性能/軽量/高強度包装、保存期間の延長、農薬・色素・コーティング量・保存料の減少などのために利用されている (Chaudhry, 2012)。ナノマテリアルを利用する理由は、効果により異なる。例えば、ある種の効果は、単位質量当たりの表面積を増大して、より大きな機能性を発揮することができる。その他の効果では、物質特性のより良いコントロール、拡散の向上や安定的な形態、あるいは、化学成分の使用量の減少などの利便が得られる。さらに、その他では、栄養素やサプリメントの吸収を強化し、化学物質の化学的および生化学的活性を増強する (Chaudhry, 2012)。Chaudhryによれば、ナノマテリアルおよびナノポリマーは高い生産量を有する点から「成熟段階」にまで達している。ナノチューブ類・フラーレン類の生産量は増加し続けている。現段階では、高度の機能マテリアルは市場に出たのは最近で、あるいは最終テスト段階といわれ(例えば、標的指向のドラッグデリバリー・システム)、生産量の低い点から「未熟」段階あるいは初期の段階にある。この状態は、将来では劇的に変化すると予測されている(図1参照)。
訳者注:Chaudhry Q は、英国政府環境・食品・地域省 (DEFRA) セントラル・サイエンス・ラボラトリー所属の科学者。
【続きは上記pdfファイルでお読みください】

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