WHO: ナノ健康リスクに予防的措置を勧告

投稿者: | 2014年1月21日

WHO: ナノ健康リスクに予防的措置を勧告
小林 剛  医学博士 小林 剛 環境医学情報機構 代表
        東京理科大学ナノ粒子健康科学研究センター元客員教授
        カリフォルニア大学環境毒性学部元客員教授
pdfファイルはこちらから→csijnewsletter_022_kobayashi_01.pdf
1. はじめに -WHO積極策に転換?-
WHOは長年にわたり、ナノテクノロジーのEHS(環境・健康・安全)問題に対しては、国際機関という立場から中立的態度で静観を堅持し、表面的には、終始「無言」(だんまり)を通してきた。筆者の知る限りでは、WHOによるナノリスク問題への最初の関与は、既報の通り、昨年6月、FAO (世界食糧農業機関)と共同して、ナノ食品リスクの現状評価のドラフトを発行して以来のことである。
そのWHOが、ナノ毒性研究の進展(特に、高速スクリーニングを含む)に触発されて「予防的措置」を勧告したのは、今後の積極的関与への明確な方向転換とも見られ(付属資料参照)、一歩前進として喜ばしい。ディーゼル発ガン性の前例にあやかりたい。
WHOに限らず、国際機関の弱点は「寄り合い世帯」の政治的決着のため、「右顧左眄」により意思決定が遅れ、ともすれば態度や表現が不明確になり勝ちなことである。しかし、その存在意義から、国際的合意形成に最適のポジションを占めていたにも関わらず、ナノリスクの難題を先送りしてきたとの批判は、科学者からは極めて強い。
2. 注目点
2-1 ナノ製品のライフサイクル、特に摩耗・劣化・経年変化・廃水のリスクを警告。
  (光触媒の劣化によるチタンナノ粒子類の環境汚染への対応が必要。)
2-2 ナノ規制準備の進捗。フランスの強制登録のほか、各国も着々と実施。
2-3 OECDテストガイドラインをナノ版に改訂、妥当性を検証中。
2-4 リスクアセスメントからリスクガバナンスへ。社会・倫理面を補足、実用化と簡略化により時間短縮。規制へのバリアを打破し、規制科学の強化を模索か。
2-5 ナノリスクのコミュニケーションの充実。(日本の最大の弱点)
2-6 ナノリスクの国境越えの問題。開発途上国への配慮。
2-7 ヒトの健康への有害影響の早期証拠を重視し、予防的措置を勧告。
特に、脆弱者小集団と次世代への 異常誘発(妊娠合併症)を警告。

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