市民研発 世界の環境ニュース  第1回 世界の大気汚染

投稿者: | 2014年1月21日

市民研発 世界の環境ニュース
第1回 世界の大気汚染

2014年1月3日
石塚 隆記 (市民研・理事)
pfdファイルはこちらから→csijnewsletter_022_ishizuka.pdf
最近は、仕事で、アジアをはじめとした世界の国々を訪問することが増えてきている。訪問した国の印象というのは、もちろん仕事の内容によって記憶に残っているけれど、その国の空気や匂いや衛生環境があわせて記憶に残っていることもある。例えば、北京オリンピック開催(2008年)前に訪問した秋口の北京の空気はひどかった。北京滞在二日目にして、目はかゆくなり、のどははれて、鼻水がとまらなくなった。最近になって北京のPM2.5がメディアで取り上げられ始めたけれど、ずいぶん前から北京の空気はひどく悪かったのではないの、などと思っている。
少し脱線をしてしまったが、今回から(可能な限り)連載で、世界の環境ニュースを取り上げてみようと思う。あまり学術的にならず、また、あまり行政・企業側に立たず、市民の目線から気になる世界の環境ニュースを紹介してみようと思う。対象とする国とテーマについては、特に決めていない。私個人のTwitterで欧州環境庁と欧州委員会環境総局の担当委員(Janez Potocnik氏)をフォローしているので、EUの話題が多くなるかもしれない。あるいは、過去に訪問した国を気の向くまま取り上げるかもしれない。情報源はインターネットの公開情報に限る。
初回の今回は、世界の大気汚染を簡単に眺めてみようと思う。対象国はEU加盟国と中国と日本、対象とする大気汚染物質はPM2.5とする。欧州環境庁によると、2011年の1年間、当時のEU加盟国全27か国のうち11か国で、PM2.5の測定値がEUの規制値(年平均値で25μg/m3)を超過していた。加盟国の中でブルガリアとポーランドのPM2.5の測定値が最も高い水準で、ともに年平均値が50μg/m3程度となる測定局があった。
ここで、中国に目を向けてみると、中国のPM2.5の測定値はEUと比べて一桁違う。北京において、2009年度に測定されたPM2.5の年平均値は123μg/m3であった。これは、上述ブルガリアとポーランドの2倍以上高い値である。
なお、2012年度で日本の東京の区部で測定されたPM2.5の年平均値は、15μ/m3である。2009年度における北京のPM2.5の年平均値は、2012年度の東京都区部のそれに比べて、約10倍高い値だったことになる。
EU、中国、日本、それぞれの測定地点、サンプリング方法、分析方法、精度管理にはばらつきがあるだろうから、数値の単純比較はできない。ただ、こういった情報は、少しだけかもしれないが、身を守るのに参考になるかもしれない。
例えば、もしブルガリアまたはポーランドに海外旅行をしようと思っている方は、可能であれば、現地に住んでいる方にマスクの要否などを確認してはどうだろうか。北京はさんざん最近騒がれているので、大気汚染対策を何もしないで訪問または滞在する方はほとんどいないだろう。東京のPM2.5の測定値だってあくまで区部全体での年間の平均値なので、幹線道路沿いにお住まいになり日常的に自動車排ガスにさらされる機会があるなどの方は、やはり自らの身を守る対策を、可能な限り、何かしたほうがよいかもしれない。■
<出典>
[1] Air quality in Europe — 2013 report, European Environmental Agency
[2] Characteristics of concentrations and chemical compositions for PM2.5 in the region of Beijing, Tianjin, and Hebei, China, Atmos. Chem. Phys. Discuss., 13, 863-901, 2013, P. S. Zhao1 et al.
[3] 大気汚染測定結果ダウンロード、東京都環境局

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