【翻訳】ウクライナからのUNSCEAR報告書批判

投稿者: | 2014年2月27日

報告書紹介
ウクライナ放射線医学研究センターによるUNSCEAR報告書批判、2000年
「チェルノブイリ事故後の電離放射線に被曝した人々の健康影響-国連総会に提出された国連原子放射線の影響に関する科学委員会(UNSCEAR)報告のデータと結論の分析」
(2000年、ウクライナ医学アカデミー放射線医学研究センター)

pdfはこちらから→csijnewsletter_023_yoshida_01_20140227
吉田由布子(「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワーク)
 今回訳文として紹介するのは、タイトルの副題にもありますように、2000年に国連原子放射線の影響に関する科学委員会(UNSCEAR)が国連総会に提出した報告書の付属書J「チェルノブイリ事故の被曝レベルと影響」について、ウクライナ医学アカデミー放射線医学研究センターがその内容を分析し、問題点を述べたものです。「チェルノブイリ女性ネットワーク」が同センターを訪問した際(2002年)に、当時の所長であったウラジーミル・ベベシュコ教授(血液学)からいただきました(原文ロシア語)。
 UNSCEAR2000年報告に対するベラルーシからの批判については以前紹介したとおりですが(市民研通信2013年9月号)、このウクライナの報告書は、より具体的に批判的分析を実施し、さらにこの段階での研究の結果明らかになってきたことを示しています。たとえば、子どもの健康については次のように述べています:
UNSCEAR報告書(パラグラフ376-383)の子どもたちへの電離放射線の影響の評価は、自然流産と早産の頻度、死産率、周産期死亡率、先天性発達異常の頻度といった指標しか分析しておらず、他の影響についてはまったく吟味していないので、問題を精査するには本質的な限界がある
 というように、UNSCEARの研究視点や方法そのものに対する厳しい批判が述べられています。
なお、[青字]で挿入してある文書は、当報告書で言及しているUNSCEAR報告書の該当する箇所を示したものです。
UNSCEAR報告書に対するベラルーシおよびウクライナからの批判は、それまでにロシア語やウクライナ語など英語以外で発表されてきた国内外の医学論文や会議での発表など膨大なデータが無視されていること、また英語論文が引用された場合でもその解釈に歪曲がある、といったことが中心になっています。日本では、チェルノブイリ事故による健康影響の科学的評価の柱としてUNSCEAR報告書が評価され、引用されているところがありますが、実態はそうとも言えないということを表しています。福島の事故の健康影響についても、英語論文として発表されない限り、UNSCEARなどの国際機関が取り上げることはないことに、今後とも注意しなければならないでしょう。
【翻訳】のpdfはこちらから→csijnewsletter_023_yoshida_02_20140227

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