市民研発 世界の環境ニュース
第3回 世界のアレルギー
石塚 隆記 (市民研・理事)
pdfファイルはこちらから→csijnewsletter_024_ishizuka_201404.pdf
私はスギ花粉症である。小学校高学年頃に発症して、その後毎年春先になると、くしゃみしたり、目がかゆくなったりと、花粉症の症状が現れている。大人になってから耳鼻科でパッチテスト(腕にアレルゲンを注射して反応するか見るテスト)をしてみたが、スギ花粉のアレルゲンにしっかり反応し、医者から「間違いなくスギ花粉症です」と診断されたから間違いないのだろう。
「なぜ、私がスギ花粉症にならなければならないの?」という思いは今でもある。それで、「どうすれば治るの?」という思いもある。このような疑問を起点に意識の半径を少しだけ広げてみて、世界のアレルギー事情がどうなっているのか見てみた。調べた資料は、世界アレルギー機構(World Allergy Organization, WAO)という組織が出版している「WAOのアレルギーに関する白書、2013年版」(注参照)。今回の原稿では、この白書に書いてあることの要旨(「1.確認されている現象」、「2.対策」)を以下にピックアップしたあとで、じゃっかんの考察を書こうと思う。
1. 確認されている現象
・いわゆる西洋の国々において、1960年代前半から1970年代にかけて、喘息患者数の急増が確認された。一方、現在、これら西洋の国々では喘息患者数は増加も減少もしないプラトー(時間軸に対する患者数の変化率がほぼゼロ)の状態であるのに対して、社会が西洋化しつつある新興国では喘息患者数の増加が確認されている。全世界での喘息患者数は推定3億人。
・全世界で、2.4億人から5.5億人が食物アレルギーで苦しんでいる。
・全世界で、アトピー性皮膚炎の患者数は増加の一途をたどっている。過去30年間で、都会に住む人のアレルギー性皮膚炎の罹患率は2から3倍に増加。アレルギー性皮膚炎の患者数は居住地により異なり、田舎では都会に比べて、圧倒的に患者数が低い。
・アレルギー性鼻炎の全世界の患者数は推定4億人。この数字は増加傾向にある。
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