【翻訳】環境保健リテラシーの創発 ―そのルーツから未来への可能性へ

【翻訳者からのメッセージ】
リスクコミュニケーション,健康リテラシー,環境保健科学など様々な分野の要素を結び付けたサブディシプリンとして環境保健リテラシー(Environmental Health Literacy)が米国では統合されつつあります。わが国では,リスクコミュニケーションといえば,独立して扱われる傾向がありますが,米国ではこれを環境保健リテラシーの一つの重要な要素として取り扱われていることがこの論評の特徴です。また,リスクコミュニケーションは対話ではなく,伝達すなわち双方向あるいは多方面からの伝達の意味合いが強い表現になっています。したがって環境保健リテラシーは様々な専門家が中心になって新しい知識から評価に至るまでのリテラシーを高めるために構築されるもので,参加する市民やステークホルダーもリテラシーを高める責任ある役割が求められます。

環境保健リテラシーの創発―そのルーツから未来への可能性へ
Symma Finn and Liam O’Fallon
翻訳:五島廉輔、五島綾子、上田昌文
原題:The Emergence of Environmental Health Literacy
—From Its Roots to Its Future Potential

『環境健康展望』Environ Health Perspective 125巻495-501ページ2017年のCommentary として公開されたもの

1)背景
リスクコミュニケーション、健康リテラシー、環境保健科学(EHS)、コミュニケーション研究、安全文化の分野のキーとなる原理や手続上の要素を結びつける新しいサブディシプリンとして環境保健リテラシー(EHL)が統合されて、一体化されつつあります。これらのディシプリンはEHLの発展に向けてユニークな専門性と展望を提示してきました。1992年以来、米国国立環境健康科学研究所(NIEHS)はEHLの発展に寄与してきましたが、さらに今、その科学的発展と論理的厳密さを高めようと努めています。

2)目的
この論文の主な目的はEHLについてコミュニケーションを促し、研究を発展させることです。

3)議論
この論文では、まず、私たちはEHLを定義したいと思います。その上で、EHLの概念的なフレームワークを提案し、社会的、歴史的文脈の中でEHLの特徴を述べます。 EHLが定義され、かつ実行に移されようとしている補足的な分野や領域も確認し、研究の計画表の概略を明らかにします。ウエブ検索や文献検索により得られた多くのレビューはその範囲と研究の説明といえますが、他方、EHLの概念が急速に進化していることを示しているともいえるでしょう。幾人かの著者は様々なフレームワークの概念の主な要点を述べてきましたが、ブルーム分類学2)に基づいたより繊細なモデルがEHLによく適合し、この領域の未来の研究は展開していくであろうと、私たちは考えています。

4)結論
私たちは次のことを提案します。EHLはコミュニティーが関与する健康格差3)についてのEHS研究の管理とアウトカム4)に役に立つ可能性があり、さらに研究知見の解釈が個人とコミュニティーのための特殊なリスクの理解を進め、そして曝露の減少や健康アウトカムの改善に導くことを保証できます。私たちはEHLの研究を推進するために4つの勧告を行います。

【続きは以下のPDFでお読み下さい】

『環境健康展望』
Environ Health Perspective Environ Health Perspect. 2017 Apr; 125(4): 495–501.
Published online 2015 Jun 30. doi: 10.1289/ehp.1409337
翻訳:五島廉輔、五島綾子、上田昌文

原題:The Emergence of Environmental Health Literacy
—From Its Roots to Its Future Potential

【著者】Symma Finn and Liam O’Fallon

Division of Extramural Research and Training, National Institute of Environmental Health Sciences, National Institutes of Health, Department of Health and Human Resources, Research Triangle Park, North Carolina, USA