「えねこや」代表・湯浅氏 インタビュー(中編)

投稿者: | 2019年6月11日

「えねこや」代表・湯浅氏 インタビュー(中編)

PDFはこちら

(前編より続き:文責・聞き手:市民研理事 橋本正明)

まして熱の話だと、このように知識のある方なら別ですけれども、輻射熱がどうのという話は中々分からないですよね。

湯浅:マンションの最上階に住んでいらして西日がすごく差し込むというのでなければ中々ですね。「あれは何でだろう?」と思ってしまうでしょうね。「夜に限って暑い」とか…。
 「外断熱」すべきなんでしょうけど、日本の場合外断熱はRCでも殆ど無いようなので、今後は変わって来るかも知れません。

室内で暖房焚いて湿度も上げてますから、熱が外に逃げる際に結露になります。それは要するに結露は熱エネルギーを外に逃がした証みたいなものですよね。

湯浅:まぁ、そうですよね。

結露対策とかはどうやるのでしょうか。

湯浅:まず暖房方式を見直さないと、いわゆるガスファンヒーターとかはやっぱり湿気がすごく出ます。

ガスの燃焼自体で水が発生しますからね。

湯浅:灯油以上にガスは酷いですね。20年前に設計した住宅で、灯油の時は大丈夫だったけど、ガスストーブに換えたとたんにポツポツ天井から水滴が落ちてきたりとか言う話はありました。本当はエアコンとかが乾燥していていいんですけど今度は人間にとっていいかどうかありますから。
 だからと言ってファンヒーターにすると今度は電気のことが出てくるし…。なので今は結果エアコンですね。電気じゃちょっと引っ掛かりがあるんですけど、直接風を感じるんではなくエアコンを床下に入れて、足元からゆっくり温めるという感じです。
 まぁ、一番いいのはペレットストーブかな。あとは温水パネルヒーターとかで、熱源を何とかできれば、循環型にしてとか。あ、でも今過渡期なので正直僕もどれを勧めるべきか、コストのことも関わってくるし、なかなか難しいですね。

 一度理想型としてのモデルを作ってみるべきでしょうか。それとも何かこう現実的、現実問題として、どうにでも出来そうな価格帯のものである程度のバリエーションやパターンを作ってそこの中から選択してもらうとか。色々切り口はあると思いますがいかがでしょうか。その際にどれを考えて省エネ住宅の方向性を見出せばいいのかなと自分の中でも見つからずに迷っているのですけれども…。

(写真:橋本正明)

湯浅:難しいですよね。選ぶ際には観点、どのような観点で選ぶのかで全然違ってきます。ウチの場合は完全に電気を使わないこと。まぁ、無電力、電気を使わないで済む暖房、薪ストーブかペレットストーブでしたね。灯油ストーブというのは空気環境の問題がありますし…。一般のお客さんには、電気式のペレットストーブでもいいよという人にはそれを勧めているし、それはちょっと面倒くさいという人には、エアコンを床下に入れたりとか、ダクト式にしなければムラが出てしまうような問題はありますがコストは安めです。ポイントによって選択肢が変わるので、何を優先順位で考えるのかが大事だと思います。

価値観の多様性というのは、こういう時少し難しくなりますね。

湯浅:そうですね。提案側としては一番コストが大きいので。ランニングコスト、イニシャルコストの問題や、空気環境とか暖房性能の問題、地球環境の問題もあるし(笑)
 まぁ、どこからかというのが中々難しい。エアコンの場合はなるべくエネルギーを使わないとか完全自立でありたいとか。厳密に言えばペレットは自立とは言えないんでしょうけれど。もし山の中なら、薪(まき)ストーブで本当に自給自足できるかも知れないですね。そんな観点なら、大体ある程度、水道以外は賄える。あと、太陽熱温水器もかなり性能がいいのが出ています。冬だと湯温と湯量は少し落ちますが…。

ここは給湯器が無くて、太陽熱温水器だけなんですよ、お湯使えるの。まぁ、事務所だからいいだろうと言うことで取りあえず給湯器は将来的に設置できるようにしていますけど、ガスは今引いていないので太陽熱温水器だけで毎日温度を測って40 ℃以上になった日をチェックしていったところ、大体75%以上が40℃以上になることが判りました。春~秋は39℃でも熱いくらいですから(笑)。

(写真:大槻茂)

そうなんですか(驚)

湯浅:そうなんです(笑) 冬、さすがに寒いときは40℃以下だとキツイから毎日は入れませんが、でも半分、2日に1回くらいは入れますから。そういう意味ではかなり性能的に使えるなというところですね。

いやぁ、こういう優れた機器があって何故普及しないのかなぁと思います。

湯浅:ガス会社さんに嫌がられているのかも知れませんね(笑)

多分、そういった事とか昔のイメージが…

湯浅:付いてしまってますよね。

私、昔に受験した資格試験で「何故、太陽熱温水器が普及しなかったのか」という問題に出会ったことがありました。その時は不正解とされたのですが、持論としては某A社の販売手法による問題が大きかったのではないかと思っています。あれがあるから勧める側の建築や設計に携わっている方々が勧めづらい、言わば「黒歴史」的なものがあるからユーザーさんに勧めづらいということが背景にあるのではないでしょうか。実際現在使用されている方々の多くが60、70歳台のご家庭でそこから年代が下がっていくと太陽熱温水器は使われなくなっているようです。

湯浅:興味も無いし、高い省エネ性能を知らないんですね。

【続きは上記PDFでお読みください】

この記事論文が気に入ったら100円のご寄付をお願いします

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA