【翻訳】生殖の面倒な問題? 潜在的内分泌攪乱物質としてのアセトアミノフェンの研究

投稿者: | 2018年5月19日

【訳者コメント】(2018年5月5日)
体調がすぐれない時に医師の処方箋なしで、薬店で個人の判断で購入し、使用できる市販薬はありがたいものです。頭が痛い、だるい時には鎮痛、解熱作用の薬を薬店で探し求めるでしょう。アセトアミノフェンが含まれている医薬品は数多くありますが、この薬品はアメリカ合衆国医薬品局(FDA)が妊娠期間中に服用しても安全であるとみなしてきた鎮痛解熱薬です。しかし、最近になってアセトアミノフェンを妊娠中に服用した母親から生まれた子供に生殖異常などが研究者により報告されています。内分泌攪乱作用があるとされているフタル酸エステルの化学構造と類似していることも関係しているのではないかと、さらなる研究の必要性が高まっています。市販薬の乱用への警鐘は特に妊婦にとって重要な意味を持つでしょう。

Environ Health Perspect. 2018 March; 126(5): 032001-1 ~032001-6
Published online Published: 9 March 2018 doi: 10.1289/EHP2478
原文はこちらから

Reproductive Headache? Investigating Acetaminophen as a Potential Endocrine Disruptor
生殖の面倒な問題? 潜在的内分泌攪乱物質としてのアセトアミノフェンの研究

Lindsey Konkel
(Lindsey Konkelはニュージャーシー州を本拠地として科学、健康、環境についてレポートするジャーナリストです。)

翻訳者:五島廉輔、五島綾子、上田昌文

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アセトアミノフェンの安全性は今まで当然のこととして受け入れられてきましたので、妊婦の間で鎮痛薬として普及してきました。事実、アセトアミノフェンはパラセタモールとしても知られ、アメリカ食品医薬品局(FDA)が妊娠の期間中に服用しても安全であると推奨してきた唯一の鎮痛薬です。研究者たちは、アセトアミノフェンが妊婦にとって今でも最も安全な鎮痛薬であると考えていますが、その一方で、子宮のいくつかの重要なホルモン作用を阻害するかもしれないという証拠を見出してきました。

“ある医薬品が医師の処方箋を必要としない市販薬(OTC)である場合、その薬の妊娠中の使用については十分に研究されているのだとの思い込みがあります。”とサンディエゴにあるカリフォニア大学の生殖と周産期疫学者であるChristina Chambersは述べています。しかしそのこの思い込みは必ずしも妥当とはいえません。実際には、ほとんどのOTC製品で得られているのは限定された妊娠期間の安全データだけであり、安全勧告はしばしば正確な証拠というよりむしろ仮定に基づいていると、彼女は説明しています。

FDAはアセトアミノフェンに対してトリメスターといわれる3期の妊娠期間すべてにおける妊娠リスクに対して“B”ランクをつけています。これは動物を用いた研究では、先天性異常のリスクがなかったことを示していますが、妊婦における影響は研究されていないか、または確証されていないことを意味しています。1こうした研究上の欠落があるために、一部の研究者が述べているように、アセトアミノフェンが胎児期の安全性が不確かなまま用いられることになるのです。

同時に、1950年代と1960年代につわりの時期に服用して厳しい先天性異常を起こした悪名高い薬品を引用して、“アセトアミノフェンは確かにサリドマイドではない”とコペンハーゲン大学の准教授でデンマークの生物学者のDavid Kristensenは述べています。最近の研究が示すところでは、男性の生殖器官がアセトアミノフェンに曝露されることで一般的に知られている異常が生じるかどうかはかなり微妙であるとも言っています。

しかし、どの位の数の女性が妊娠中にその薬品を使用しているかを検討しなければならないと彼はつけ加えています。“世界中で数百万人の妊婦がアセトアミノフェンを使用しており、たとえ低い「潜在的な」リスクであっても懸念すべきことになる”と述べています。

二つの大きな米国の症例対照研究データの一つである2005年の分析では、おおよそ調査された妊婦の2/3が妊娠期間中のある時点でアセトアミノフェンを服用していたと報告されていました。 これらの女性のほぼ60%は急速な胎児の発育期間である第一期トリマスターに服用しています。もう一つの研究もまた妊娠期間中のアセトアミノフェンの通常の服用を報告しています。

女性は妊娠中に多くの理由、たとえば、頭痛、発熱、慢性関節痛、あるいは捻挫のような急性傷害で緩和鎮痛薬を使用する可能性があります。針治療、マッサージおよびリラクゼーション療法を含む補完治療や代替治療は一部の不快を和らげる補助的な役割を果たしますが、そのほかの状態では薬物使用を必要とするかもしれないと、ミネソタ州、ロチェスターの家庭医で、米国家庭学会の取締役会のメンバーであるLynne Lillieは述べています。

“病気または痛みが母親の基本的な健康に影響する時はいつも、その痛みを軽くする処置をする理由があります。”とLynn は言っています。例えば、高熱は妊娠合併症のリスクを増やす可能性があり、歯痛は適当な栄養摂取を妨げる可能性があり、背中の痛みは動きにくくするかもしれませんと、彼女は説明しています。

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