ワークショップ実施報告
市民科学講座Bコース・ワークショップ
ゲノム医療・ゲノム編集技術は社会をどう変えるか
―4つの将来シナリオで考える課題と対策―
主催:NPO法人市民科学研究室
2018年2月7日(水)
光塾COMMON CONTACT並木町にて
表涼介、奈良崎翔太、藤川圭吾、松本淳志、山田知樹
(東京大学公共政策大学院修士課程「ゲノム医療TA」グループ)
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はじめに
活動報告を書かせて頂きます、東京大学大学院の講座である「テクノロジー・アセスメント」の「ゲノム医療TA」グループ・メンバーの松本淳志と申します。主に2017年の春から夏にかけて私達はその講座の課題の一環で「ゲノム医療」について調査しました。その調査で出てきたゲノム医療・解析の未来シナリオ部分を使って参加者全員でゲノム医療の将来を検討する参加型ワークショップを開く機会を市民研の上田昌文さんと吉澤剛先生から頂き、2月7日の夜に光塾で開催した次第でございます。今回は、その概要を報告させていただきます。
当日の進め方
当日のワークショップは前半部分をゲスト講師の三成寿作さん(京都大学 iPS細胞研究所特定准教授)と、江本駿さん(NPO法人ASrid)の両名から話題提供を頂き、後半は「ゲノム医療TA」の学生グループからゲノム医療がどのような方向で社会に普及するかをモデル化した4つのシナリオについて参加者の皆様と話し合って一緒に考えるという構成でした。
まず、前半部分では、ゲスト講師の三成さんからはゲノム編集・遺伝子治療についての最新の技術動向や規制・倫理についてレクチャーして頂き、江本さんからは希少・難治性疾患者の方々並びに患者支援者とゲノム医療者・研究者の相互理解促進によって患者の価値と学びを研究開発に活かすための取組みについて紹介して頂きました。
後半部分では、「ゲノム医療TA」の学生グループから、ゲノム医療・解析の将来について①技術規制の軽重・市場化の深度、②ヒト胚への遺伝子治療の禁止の有無をシナリオの分岐条件に設定した上で、4つ(=2×2)のシナリオをその分岐条件から具体的な社会像やゲノム医療の利用のされ方を具体的に提示し、参加者の方に4つのグループに分かれてもらって3~4人の少人数で議論してもらうワークショップを行いました。
ワークショップでは、参加者の方に付箋紙を用いながら議論して貰って集まったコメントについて、少し長いかもしれませんが、「ゲノム医療TA」グループとしてシナリオ説明を担当した各メンバーの感想も添えた上で、シナリオごとに集計したものを補足に掲載致します。
ワークショップを実施して
さて、後半の参加型ワークショップを行った感想ですが、専門家ではなくていい意味で普通の人々によってゲノム医療の将来について考える良い機会だったと思います。もちろん、ゲノム医療の技術動向によっては4つ提示した将来シナリオのどれかの実現可能性は低いかもしれませんし、参加者の方には遺伝子治療の法的問題や倫理について議論できる専門家にも来て欲しかったという意見も出て、適切な議論をすすめる上でもっと多様な専門家の存在が求められるのかもしれません。しかし、どういう専門家に議論して貰いたいかも含めてゲノム医療の将来を考えてみることを参加者全員で実践するということは、市民研の趣旨に沿ったものだったと思います。科学技術について専門家や識者に丸投げしないで、自分達でまず一緒に考えてその意見を専門家達に伝えて意思疎通をするというのがこれからの一つの市民科学の将来像ではないかと思いますし、今回のワークショップは参加者が主体的に活動できたのではないかと思います。
他にも、ワークショップを通じて発表者側として興味深く感じたことが何個もありました。一つに参加者の方から「規制」の実効性についての不安や不信をたびたび指摘されたことです。勿論、ゲノム解析や遺伝子治療等をどう管理していくかの世界的な議論は現在進行中であり、専門家に任せれば安全・安心な規制が形成される保証がどこにもない訳ですが、一般の参加者の方々も「規制」という言葉を鵜呑みしていないのだと気付かされました(市民研の参加者の方々だからこそかもしれませんが)。他方で、ゲノム解析や遺伝子治療が大きく規制緩和・自由化した社会は不安がある、あるいは遺伝子治療の責任を誰が取るのかといった意見も出て、それでもルールが必要と考える参加者が多かったように思えました。
これからのゲノム医療・ゲノム解析の規制の議論については、その規制の実効性に加えて社会にとっての安心の観点から具体的に検討する必要があると思いますが、規制の政策決定をする専門家達と市民の間の溝はどう埋められるものかと思いました。
もう一つに、遺伝子治療やエンハンスメント等に関連する倫理問題について、参加者の多くは白黒つけがたいという反応を示しておられたと思います。社会的な格差を増大する恐れがある一方で、遺伝子診断を持つ親の気持ち、あるいは子供の健全な成長を願う親の気持ちに自分達を置いた場合に、それらの技術を利用しないと社会的に決定するのは難しいのだと思います。前述した法律や倫理の専門家に来て欲しかったという意見は、遺伝子治療を容認する一方でその利用には政府が管理体制を敷くという社会シナリオに対してのものでして、議論しづらい問題だったと思います。ただ、遺伝子治療やエンハンスメントの研究の進展具合によってはルールの在り方が本格的に問われることとなり、その意思決定を市民の人々が下す上でどういうことが必要であるかの検討を専門家が考える必要があろうと思います。
終わりに
最後に、ファシリテーターとしての経験不足によって至らぬ所もあったかと思いますが、単なる発表者側からの一方通行な情報の伝達ではなく、双方向の意見の発信によって参加者の方々の深い学びや気付きに貢献できたのではと思っております。ゲスト講師の三成さんと江本さんにも加わって頂き、ワークショップのグループでの話合いも活気に満ちたものとなりました。ファシリテーターを務めさせて頂いた私達学生もどうやってワークショップを意義あるものにするかの貴重なトレーニングとなりました。この場を借りて、ゲスト講師のお二人と参加者の皆様、特に本企画にお声をかけて頂いた上田さんと吉澤先生には感謝の言葉を申し上げさせて頂きます。
補足
4つのシナリオとそれぞれのシナリオを議論した際に出た参加者のコメント
(1)保守型ゲノム医療管理社会シナリオ
〔シナリオの概要〕
この社会の日本ではゲノム医療への規制が強化され、ヒト胚への遺伝子治療が禁止されている。
研究面では、体細胞も含めたヒトゲノム編集やゲノム解析技術の研究については研究機関や⺠間企業も含めて研究者コミュニティと市⺠が審査を一緒に行って、社会規範に適合した研究開発だけを承認していくため、研究倫理審査委員会には積極的に市⺠参加が推奨され、実験や研究内容の情報公開や慎重な手続きが重視される(⺠主的意思決定プロセスの重視)。
医療面では、ヒト胚へ遺伝子治療は禁止であり、遺伝子検査による病気の予測的な診断は医者の専売特許であり、遺伝カウンセラーは医療行為近似のサービスは禁止であり、医者の指示を仰ぎながら市⺠の予防医療の一角を担っている。医療倫理を備えた医者が医療現場の秩序を保つことが期待されるが、競争がない分それらの医療はコスト高となる(ヒト杯への遺伝子治療禁止と医師による医療の重視)。
個人の生活面では、個人ゲノム情報の提供は、その人の善意によるので、企業の買収は認められない。公的な機関に寄付されたゲノム情報のビッグデータは公的研究機関等に限定され、匿名化データが⺠間に提供される場合でも利用目的について厳格に審査され、マーケティング等の行動分析に応用することはプライバシーの侵害やゲノムによる差別の恐れから認められない(プライバシー保護とビジネスの規制)。
〔参加者からのコメント〕
【議論の前提として】
・すべてのシナリオの前提として、生命の起源・意味などの倫理的課題について議論を深める必要がある。
・ 本シナリオは国際的な社会とは言えないのではないか(外国とのビジネスギャップが生まれる)
【医療について】
・予防医療やヘルスデータが活用されるようになる。
・医師免許を持ち遺伝子診断・活用を行うゲノム医療専門医が増える。
・医師介助ビジネスが展開される
・一般人と専門家の差が拡大してしまう
・自分のゲノム情報を知ることで将来罹患しやすい疾患に対する情報を手に入れ、予防医療に生かすことができる
・ 治療とは異なるエンハンスメント目的での活動は排除されてしまうのか
【規制・社会的合意形成の問題について】
・ 標準化(ISO)の問題が国際展開の文脈で顕在化する
・ 研究と臨床に関する国民的な議論をどう行っていくのか検討がなされる
・ 規制強化がかえってその規制をかいくぐる闇ビジネスが広まる
・ 規制の緩い国との差が拡大する(国内の金持ちが海外へ。)
・ 規制が厳しい環境を嫌い、優秀な研究者が国外流出する
・ 裏社会の規制管理が重要な課題になる
・ 社会の合意形成は難しいのではないか(少数派のニーズや問題が数の圧力で無視されてしまうリスクはないか)
・ 本当に政策、制度側のマネジメント能力があるのか
【社会経済の様子】
・ゲノム情報を持つ者と持たない者の格差が広がる
・ 経済的治験志願者が増加する(貧困層との格差拡大)
・ 生命保険の在り方が変わる
・ ゲノム医療を目的とした医療ツーリズムが流行する
・産業面、技術面、研究面で、外国との差が生まれてしまうのではないか
〔シナリオ説明を担当した奈良崎からの感想〕
4つのシナリオの中でもっとも現状の社会に近いシナリオであったが、様々なリスクの指摘をいただくことが出来た。どのような社会になったとしても、リスクと向き合う必要があり、検討段階では議論がされてこなかった以下の点についても示唆が得られた。
・ 法制度を整備することで、かえって規制をかいくぐる闇ビジネスが広まらないか
・ ゲノム情報を活用したユニークなビジネスが立ち上げられるか
・ 医師の役割はどのように変化するか
・ 規制側(国)の役割はどのように変化するか
・ 研究者は厳しい規制の中でどのような行動を取るか
など。
(2)「市場型」 ゲノムビジネス社会シナリオ
〔シナリオの概要〕
市場型ゲノムビジネス社会ではゲノム医療がヒト胚への改変を除いて大幅に規制緩和され、市場主義的にゲノム医療を推進しつつ、ヒト胚への遺伝子改変は禁止される。
医療面では、遺伝子診断師とされる有資格者が個人のゲノム解析の結果から個人に病気のリスク、その人ごとにあったダイエットや運動習慣の提案、キャリア指導や進学の相談まで行っている。
ビジネス面では、個人のゲノムのビッグデータを解析してマーケティングや製品開発にまで生かそうとする企業もあり、特定のゲノムを持つ人たちに合った薬品や健康食品まで開発されている。一方で、遺伝子診断士の中には、儲けのために様々な商品やサービスを売りつけてくるなど、トラブルの発生が頻発し、また、企業が収集した個人のゲノム情報から得た生活習慣や養育環境の情報を悪用し、別の目的に利用するといった問題が発生している。規制緩和によるイノベーション促進は成功している反面、それに伴う弊害も随所にみられる状況である。
〔参加者からのコメント〕
【シナリオの全体的な感想】
・日本の未来な気がする
・ 「市場原理型」課金ゲノムリレー社会より公平な気がする。
・何もしなければ最もありえるBAU(?)のシナリオではないか。
・ ユーザー、社会側のリテラシーが高まればメリットある社会かも
・ゲノムという一つの要素の価値が上がりすぎている環境による影響は?
【シナリオ上の医療のありかたについて】
・「ヒト胚の改変禁止だが、規制緩和する」というのは良い方向ではないか
・ 受精卵には応用しないが、体細胞には最大限利用する社会
・ 医療の不信、遺伝子絶対主義
・遺伝子診断師、スピリチュアルカウンセラー
【ゲノム解析技術・解析ビジネスについて】
・ ゲノム解析ブーム、個人の特定までオープンになるのは嫌かも
・自分の遺伝子は知らない方が良い。研究者は世界の研究を知りすぎると研究ができなくなる。
・婚活ビジネス、就活に使われる。
・昔の彼女のゲノムで光源氏計画(?)
・遺伝子ストーカー
・生活ゴミからターゲット遺伝子を盗み出す
・ゲノムデータ改変ビジネス(なりすまし)
・他人の遺伝子検査ができてしまう
・未来予測的な使われ方
【社会の様子について】
・ 体細胞のゲノム医療で病気は治るとしても、その選択が多ければ多いほど格差広がる
・ 「楽しい」という価値観なくなる
・ 多様性の欠如
・ 努力なくなる、我慢なくなる、楽こそ人生
・ 感情、感覚の出番減る、判断基準の変化
・ハーレム(優秀なゲノムの人)みたいに囲まれる人がでるかも
・ 離婚率高いカップルの予想
・ 化粧、栄養でのゲノム診断
・ スマホにゲノムを入れ持ち運ぶ社会
・食料単一ゲノム問題、「精進ミート(細胞培養して食肉)」の弊害の恐れ
・ タネF1問題(精進ミート) 単一遺伝子を消化して再構成した体は?
・良い遺伝子を持っているということは誰がどうやって決めているの?
【経済について】
・ ゲノムビジネスの規模感はどんなもの?(グローバル企業⇔中小ベンチャー)BigDataの規模も変わってくる?
・遺伝子診断師と他の資格との組み合わせ
・(遺伝子診断ができる)有資格者って誰?その人たちに求められる技術、知識、倫理?質の保持
・ 企業がルールの緩い国に逃げる
【教育・子育てについて】
・ 後天的な取り組みが逆に重視される
・ 中等教育で遺伝子診断を学ぶ、基本的なリテラシーとしてキャリア開発の一環
・子供の顔予測プログラム
・ ゲノム情報を判断する有資格はどう担保するのか?
〔シナリオ説明を担当した表からの感想〕
自分が参考として設定したストーリーの影響で価値判断的意見が多くなってしまった
(3)「福祉型」ゲノム最低保証社会のヒアリング
〔シナリオの概要〕
胚細胞(生殖細胞)に対するゲノム編集を容認した社会であるが、あくまでも強力な規制が前提となっている。胚細胞に対する編集は世代を超えて遺伝するため遺伝病の根治が可能となるかもしれないが、数世代後になって編集の副作用が出てくる可能性も否定できない。又、ゲノム編集を応用して望んだ遺伝子を持った子供を“制作する”こと、デザイナーベイビーも技術上可能である。
この社会では、体細胞に対するゲノム医療に加え、厳しい管理の元で研究が行われ安全性が確認されたと“みなされている”編集を遺伝性疾患予防の為に用いている。その為、デザイナーベイビーは法律で固く禁じられている。
〔議論のポイント〕
・胚細胞に対するゲノム編集を容認した社会であるが、あくまでも強力な規制が前提となっている
・ 厳しい管理のもとで研究が行われ安全性が確認されたと「みなされている」ゲノム編集を遺伝性疾患予防のために用いている
・ 科学技術に絶対の安全は存在しないが、誰が安全性を保障するのか?
・ 親が子のゲノムを編集する権利はあるのか?
〔参加者からのコメント〕
【全体的な感想】
・イメージとしては理想的な社会。しかし行き過ぎた編集に規制をかけられなければ「課金型ゲノムリレー社会」になってしまうのでは?
・この社会ができるまでが大変そう
・ 科学と社会の価値観が最もぶつかるシナリオ
・ゲノム最低保証ってどんなゲノム?
・法律とか倫理の論客に出席してもらいたかった
【この社会になった成因について】
・遺伝性疾患を抱える親が「健全な」子供を望む
・ メディアによる煽情的な報道によって起こりうる
・ 中国などの規制の緩い国からなし崩しに起こるのではないか
・ 重篤な疾患を持つ本人の同意
・なにが規制強化と規制緩和のアクセル・ブレーキとなるのか
【シナリオ上のゲノム医療・遺伝子治療の管理体制について】
・「厳しい管理のもと」とかいうやつ大体信頼できない
・研究はするが、医療応用はしない(出来ない)社会ってどういうこと?
・何を管理して、何を規制するのか、誰が決めるのか
・「規制を作る」専門家を信頼できる前提条件とは?
・将来世代にわたって安全を保障することはできないかもしれないが、科学や医療はそ
うやってある種無責任な試行錯誤を経て発達してきたのでは?
・研究は規制緩和・スピードアップする
・なし崩し的な解禁との闘い
・公は弱い存在となるのか?
・ 「自分の子」と「人類」との判断はいつでもダブルスタンダードになりそう
・規制をかけまくるのはわかるけど編集の結果の責任はだれがとるのかが判らない
・ 次世代への影響をだれが責任を持って判断するのか?
・研究をどう技術に落とし込むかの議論が必要。合意がとれない場合はどうする?
・ 社会・倫理は常にアップデートされてゆく必要がある
【社会の様子について】
・妊娠中絶問題の再提起
・画一化する方向に進む可能性がある一方、超モザイク社会にもなりそう
・ ゲノム医療保険を保険会社が商品として扱う
・ゲノム保険が出てきそう。
・ ゲノム医療を受けることにより治る可能性のある病気(難病を含む)に対して保険適用になっている
・ゲノム医療の結果、本人に障害が出た場合に各種サービスが受けられるというような福祉が生まれそう
・規制の緩い国に医療ツーリズム的な抜け道ができる
・生まれた時から○○に特化した能力(耐放射線・耐低酸素・耐電磁波)
・福祉の名を借りた先鋭的な実験の許容
・海外の精子・卵子・受精卵バンクが流行る
・ 軍事転用は?デザイナーズソルジャー
〔シナリオ説明を担当した藤川からの感想〕
一見すると相反するシナリオであったため難航したが、どのように議論を進めるのかという観点は今正に求められていることだと感じた。
(4)「市場原理型」課金ゲノムリレー社会
〔シナリオの概要〕
ヒト胚への遺伝子改変が解禁され、政府が安全性を認証したヒト胚のゲノム編集の一覧から人々が企業に金を払って体外受精したヒト胚を修飾することが可能となる。ルールは市場が決めることになり、遺伝子へのゲノム編集の自由は個人に委ねられた社会である。
親が優良な遺伝子を組み込むことで子供をデザインすることが主流になったこの社会では、親が子へ、子が孫へと遺伝子が改良に改良を重ねて繋がってゆく。鼻の高い子供を望むならばそうデザインでき、その自由は親の意志と財力に任せられる。安易なヒト胚の編集は子孫の存続にすら影響を及ぼすリスクを含むが、ゲノム編集を行わずに生まれた我が子は、病気にかかりやすく、容姿もすぐれず、寿命も短いかもしれないというリスクも他方には存在する。
〔参加者からの感想〕
【シナリオへの道筋について】
・金魚のらんちゅうや、犬の品種改良のような種を改変させる流れは現在でも存在する。それがエスカレートしてゆき、なし崩し的にゲノム改変が当たり前の価値観が醸成される
・恐竜を復活させたい・ネアンデルタール人を見たいなどの人間のちょっとした願望から
・環境問題などが深刻化し、人類そのものの改変が環境問題への解決策として提示され、採択される
【全体的な感想】
・一番ぶっ飛んだシナリオだったので、逆に考えやすかった
・ 気持ち悪いシナリオ
・ SF感
【家族・親子の関係について】
・親子のパワーバランスの崩壊(親>>子)
・ デザイナーズベイビーの一種で親の「好み」を投影した奇妙な子供が生まれる
・ 精子卵子・受精卵バンク、代理出産の蔓延
・ 親の子に対する愛情の低下・個人主義化
・ 遺書、出生証明の位置づけが重くなる
・ 過去に遺伝子改変を行った先祖を提訴する的なトラブル
【個人のライフスタイルについて】
・違いに価値を置く社会との決別(価値が均一化していくのでは
・ 「個性」「個」に対する意識が薄れる(ステレオタイプ志向社会
・「ぜんぶ遺伝子のせいだ」的価値観が生まれる(努力に価値がなくなる
・ 遺伝子改変を行わない宗教の出現
・ 人機融合が進む
【社会の様子について】
・国を挙げた優生学の研究がスタート
・ 生まれた時点での格差が大きい社会
・ マイノリティには疾病の技術適用が遅れるor進まない
・ ゲノム編集に今年のトレンドができた結果、世代ごとの顔ができる
・ 遺伝子による差別
【医療について】
・偏ったゲノムによるパンデミックへの耐性の低下
・ゲノム改変効果の消失、持続性
・遺伝病の撲滅の可能性