2月20日(土) ICRP新刊行物と福島原発事故における放射線防護―作成にあたった委員を招いてのオンライン討論会

投稿者: | 2020年12月6日


ICRPの新刊行物の表紙

ICRP新刊行物と福島原発事故における放射線防護―作成にあたった委員を招いてのオンライン討論会

2020年12月11日にICRP(国際放射線防護委員会)の刊行物『大規模原子力事故における人と環境の放射線防護』(ICRP Publications109およびPublications111を改訂して作成されたPublications146)が公表されました。これはICRPがチェルノブイリ原発事故と福島原発事故の総括をふまえて、今後大規模事故においていかにして放射線からの防護を実現するか、その基本的な枠組みや概念をまとめたもので、各国の政策に影響を与える可能性があります。2019年に示されたその草案には、じつに300件に及ぶパブリックコメントが寄せられました。そこには、福島事故の被災者・被害者からのものも含めて、事故後8年の経験をふまえた厳しい批判が多数投げかけられています。そこで討論会に先立って、主催者側が多数多岐にわたるパブコメの意見をいくつかの論点に整理し、ご登壇いただくICRPの委員に事前に質問を送り、当日の議論では、新刊行物がパブコメにみられる批判や代替案の提示にどう応えているのかを検証できるようにします。オンラインでの長時間のやりとりになりますが、一人でも多くの方にご参加いただけることを願っています。

・日時:2月20日(土)13:00-16:00 (3部構成、途中に2度休憩を入れます)

・ご登壇いただくICRP委員:甲斐倫明さん+本間俊充さん

・参加費:なし

・申し込み:以下のボタンを押して申し込みフォームをご記入ください。定員になり次第、そして2月18日(木)正午にて締め切ります。
 2月16日に定員となりましたので、締め切りました。後日、動画を公開する予定ですので、そちらをご覧いただければ幸いです。

・定員:80名

・主催:市民科学研究室・低線量被曝研究会

・協力:原子力市民委員会、原子力資料情報室、国際環境NGOグリーンピース・ジャパン、国際環境NGO FoEジャパン、高木学校、「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワーク、放射線被ばくを学習する会

・この討論会の準備ならびに当日の実施は、立正佼成会「一食(いちじき)福島復興・被災者支援」事業による2020年度助成を受けてなされました。

<参考資料>

ICRP新刊行物の要約(日本語、PDF)
草案に対して出されたパブコメの全訳
Resolution of Public Consultation Comments (パブコメに対するICRPからの回答、英文)
③の日本語訳(市民科学研究室・作成)
新刊行物についてのICRP委員への質問(集会1週間前に参加者に送付→2月19日に誤記など一部修正)

2月20日(土) ICRP新刊行物と福島原発事故における放射線防護―作成にあたった委員を招いてのオンライン討論会」への7件のフィードバック

  1. 山口一郎

    【線量限度を巡る議論】
    ・加害者責任を全うすることをどう規定するか?
    ・環境汚染を伴うような事故が起こった際に被害者の原状回復の権利をどう考えるか?

    コメントへの対応の説明箇所では、この観点での議論が欠落しているように見受けられます。
    It is recognised that some authorities and stakeholders may desire to apply dose limits. This may be suitable, but not essential, in circumstances when the source is well characterised and controlled. However, even in such a situation, exceeding the dose limit is not necessarily an indication of failure in the management of the situations. Moreover, a strict application of the dose limit may lead to a critical turn-over of responders and an increased collective dose. Furthermore, circumstances on-site may require planning for exposures higher than the reference level. In that case, the Commission recommends special arrangements limited in time, which should be prepared with the greatest care after deliberation among concerned parties with the aim of optimising protection.
    https://www.icrp.org/publication.asp?id=ICRP%20Publication%20146

    (関連する課題)
    ・環境汚染を伴うような事故が起こった際に健康への影響の吟味に被害者がどう関わるか?

    米国EPAのEnvironmental Justice Collaborative Problem-Solving Mode
    https://www.epa.gov/environmentaljustice/epas-environmental-justice-collaborative-problem-solving-model
    https://www.epa.gov/environmentaljustice

    返信
  2. 井戸川克隆

    1.広島・長崎原爆被害の検証の不確かさについて
       広島・長崎の核分裂生成物の拡散は、「拡散」「対流」等の物理的考察が無いのはどうしてか?
    2.チェルノブイリフォーラム報告書とウクライナ・ベラルーシの被ばく被害の数値が大幅に血が言うのは  どうしてか?
    3.福島の核分裂生成物の正確な数値が隠されているのに、評価しているがおかしいのではないか?

    4.福島とチェルノブイリの核分裂生成物の比較は正しくない。理由は、福島は現在も放射性物質の放出が  止まっていないから。
    5.20㍉シーベルトの数値を発電所周辺自治体との合意を取らないままでいいのか。
    6.黒い雨の雨域だけで、被ばく被害を証明する確証はあるのか?

    返信
  3. 山口一郎

    第 1 部:ICRP 刊行物 146 と日本政府の放射線防護政策との関係性について ~福島事故でみられた、防護政策の実施の不首尾はいかに改善されるのか

    各国の放射線防護政策は、どのようなプロセスで決定される必要があるでしょうか?
    ICRP勧告やICRPが文書で示した推奨事項に従っていない例は国内外で観察されています。さて、このような政策決定がなされた際にICRPからは「勧告を尊重すべき」との趣旨の即時的な指導や助言がなされるべきとの主張は、どのような考え方が背景にあると考えられそうでしょうか?

    防護措置の不首尾のうち体外計測の対応の遅れは何が原因であったと考えられそうでしょうか?
    http://arinogotokuatumarite.blog19.fc2.com/blog-entry-207.html?sp&sp
    http://iryo-9jyo.net/images/20160709summary.pdf

    第 2 部:線量限度と参考レベルの適用について
    ~ICRP の防護原則を転換して実効性あるものにするために
    計画被曝状況において、ある線源を規制対象にするかどうかは規制免除の考え方が用いられています。規制免除は実効線量として年間1 mSvを超えなければ良いというものではありません。また、線量限度はそれを満足すればよいわけではなく、さらなる防護の最適化が求められています。
    一方、現存被ばく状況のうち、自然放射線による曝露は年間での実効線量として1 mSvを超えるレベルとなっていますが、居住環境レベルのものに対しては、日本のみが例外的に積極的には対応しない状況のままとなっています。
    ここでの「実効性」のあるなしでは、どのような判定基準が想定されていますでしょうか?

    第 3 部:避難者・被害者の権利について ~「誰一人取り残さない」問題解決に向けて
    環境汚染を伴う災害後の対応では、これまで様々な取り組みがなされてきています。
    例えば米国EPAでは現場での実践的な取り組みも踏まえてEnvironmental Justice Collaborative Problem-Solving Model が提唱されています。
    あるべき姿が実現していないとすると、それの阻害要因は何で、それをどのようにして乗り越える必要があると考えられるでしょうか?

    返信
  4. 山口一郎

    皆様、ご参加有難うございました。

    ・私の解説を求めていないとのご意見に対して

    ご迷惑をおかけして申し訳ございません。
    皆様の議論をより促進させることを意図しておりました。
    総合討論で取り上げる事項は林さんらが選択することとしておりました。
    ICRP委員に送付する資料には私のコメントは含めないので、
    ICRP委員が読む機会を埋もれさせる機会を回避できると思います。

    ご質問頂いた件は、粉塵吸い込みへのご懸念なのでしょうか?
    その場合のリスクはモニタリングからも推計できるのだろうと思います(測定なさっていた例(http://iwakicity.org/))。
    地域での課題解決に向けたプロセスで問題はございますでしょうか?
    http://hotspot-i-t.blogspot.com
    よろしければご納得頂けていない点についてご意見をいただければと思います。

    返信
  5. 山口一郎

    「規制免除」、「クリアランス」
    概念解説)規制免除やクリアランスのクライテリアは年10マイクロシーベルトから誘導(内部被曝も含みます)
    概念解説)中学校で使うクルックス管(来年度から改訂された学習指導要領が適用)はより低いレベルとすることが議論中
    http://bigbird.riast.osakafu-u.ac.jp/~akiyoshi/Works/CrookesTubeProject.htm

    「管理目標値」
    用語解説)原子力施設の管理の目標値(年間50マイクロシーベルト)は保安規定に記載。保安規定は認可対象で事業者は遵守義務がある。保安規定違反は罰則対象のことがあり、許可取り消しや、停止命令の対象にもなり得るようです。さて、これらの罰則は事故後に何らかの意味を持ちそうでしょうか?
    https://www.nsr.go.jp/activity/regulation/reactor/unten/unten0.html

    「被ばく覚悟で戻りたい人は戻れば良いという考えは、社会インフラを守る人々を強制的に被ばくの危険に晒すのではないか」
    →戻りたい方の人権をどう扱うか?
    →「社会インフラを守る人々」の意向をどう尊重するか?
    →→オフサイト労働者の被ばく線量調査例
    Fukunaga, Hisanori1,2; Ogawa, Tsubasa3; Asano, Tomohiro3; Ito, Atsuo3 Radiation Exposure Dose Distribution of Workers Engaged in Decontamination and Related Work Following the Fukushima Nuclear Disaster, Health Physics: March 2021 – Volume 120 – Issue 3 – p 251-257
    doi: 10.1097/HP.0000000000001309

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