報告 「映像リテラシーをパワーアップする」に参加して

投稿者: | 2007年9月4日

写図表あり
csij-journal008-009 kobayashi.pdf
報告
「映像リテラシーをパワーアップする」に参加して
小林友依(食の総合科学勉強会メンバー)
 私たちの活動のひとつ、こども料理科学教室を多くの人に興味を持っていただけるようなプロモーションビデオの作製とその作製に必要な編集技術の習得を目的に、富山大学で開催された科学コミュニケーター・サマーセミナーに8月20日から23日までの4日間、参加をしてきました。
セミナーは講師、チューターを含むおよそ40名の参加者がいました。参加者は全く映像編集を行ったことのない私からすばらしい編集技術を持った方々まで様々で、各々が参加目的、制作企画を持ち寄り、各々のペースで編集作業を行い、最終日に完成させた映像を発表し合いました。
●一日目
まず、言語の編集、映像編集の重要性を理解する講義が行われました。
 言語の編集も映像編集も、より人を引きつける時間の組み立て方を考える必要性があるとのことでした。たとえば、「あなたに会えたから嬉しかった」と言う場合と「嬉しかった…あなたに会えたから」と言う場合とでは前者は状況を説明していますが、後者は何が嬉しかったのか?と興味を引き、言葉で人をひきつけることができるのです。このように同じ単語を使用していても時間を組み立てかたによってより人を引きつけることができ、これは画を組み立てる映像編集にも関係するようです。
 その後、各自が持ち寄った制作企画についてと完成予想についての発表が行われました。
私たちの発表では、今まで行われた子供料理科学教室で撮影された映像や写真が数多くあり、それをうまく使い、多くの人に興味を持ってもらえるような作品にしたいと話をしました。その際に、映像を切りぬいてから構成するよりも構成を考えてから切りぬくことを勧めますと助言をいただきました。
全員の発表をもって第一日目が終了しました。
●二日目
朝は9:30頃からスタートしました。撮影に行くグループもあれば、映像編集ソフトを使用し編集作業を開始するなど、グループごとに別れ、それぞれのペースで作業が開始しました。
私たちのグループは富山大学の学生が1名加わり、3人でまず、どのような映像にしたいのかを話し合いました。話し合いの結果、料理科学教室で行った実験をクイズに仕立て、これを冒頭に持ってくる。その次に映像や写真を使って、今まで行ってきた料理科学教室の様子を見せ、最後に料理科学教室を行う私たちの目的と教室への参加を呼びかける。そして、これらを5分の映像に仕上げる。と言うことになりました。
次に行ったのが必要な写真の選定です。およそ1日使って膨大な画から面白くて、料理教室の風景が分かりやすいものを探し出すのは大変でした。
この日は画像編集ソフトの iMovieとFinalCutProの講義が行われました。どちらも起動からビデオの取り込み、タイムラインへの配置(膨大な撮影にかかった時間の中から実際に撮影した時間を切り取り、整理し、人に分かりやすく伝わるように編集し、再構成した時間にする作業)、場面の変化や内容の変化に使われるトランジション(場面転換の際、使う効果の総称)の挿入、タイトルの挿入、書き出しの仕方を習いました。
構成を決めた私たちにとって次の作業に必要な講義であり、丁寧に行っていただけたのでスムーズに編集がスタートできました。
2日目は画を選定し、画像編集がスタートし、冒頭の部分に手を加えているところで作業が終了時間となりました。
本日の中間発表の時点では他のグループも素材を揃え終わり、構成が決まり、画像編集がスタートしたばかりとのことでした。
●三日目
朝から編集作業に取り掛かりました。本日中にすべての映像編集が終わらせる予定で作業を行いました。また、映像に組み込む文章を考え、音声を録音しました。
映像を見せるためには音をしっかりと録音し、セリフもきちんと聞き取れるようにしなければなりません。セリフが聞きづらいと映像を見る気が起こらないことになりかねませんから、録音するときはとても緊張しました。私の滑舌の悪さが嫌になるくらい何度も取り直しし、どうにか仕上げました。終始緊張状態だった為、終わったときは心の底からホッとしました。
効果音を入れる作業も行いました。同じ映像でも効果音によってまったく印象が変わりますし、場面に合った選曲や効果音は見る人の感情をひきつけ、映像が活かされると思いました。
3日目の講義は魅力的なストーリーの作り方について行われました。
 構成を考えるのに付箋を使い、場所、時間、登場人物、出来事、主なセリフなどをつないだシーンごとに壁に貼り出していく方法があり、構成を理解し、頭の中を整理するために有効であり、編集の素材の順番を決める際に素材が一覧できるので良い方法とのことでした。
 また構成を考える際、ストーリー、キャラクター、セリフ、シーンありきで変わってきます。
たとえばキャラクターありきの場合、その人物が一番生き生きと描ける場所へ導くための出来事、他の人物を考え、どうつなげていくのかを考えていくと構成が考えやすくなるようです。
続いて、ストーリーの評価についてでした。ストーリーの中のメインコンフリクト(葛藤・問題意識)は何かつかめるか。どこかで聞いたような話ではないか。それでもこれをやる意義は。この話のオリジナリティーは。登場人物は魅力的か。設定はユニークかなど多くの評価をすることで、飽きないで最後まで見ていただけるものを作ることが出来るようなるとのことでした。
映像を編集すると言う行為は、ただ不要な部分を切り、つなげるだけのことではなく、テーマを明確にし、どう終わらせていくのかを考え、一つ一つの画を組み立てていく作業であると思いました。
プロモーションビデオの中の「水飴作り実験」のクリップ映像を披露
●四日目
最終日です。徹夜をしながらの作業を行っていたグループも数多くあり、映像に対する熱意は尊敬するほどすばらしかったです。
私たちは朝から足りない部分を補いつつ、最後の仕上げに取り掛かり、最終発表に何とか間に合うことが出来ましたが、4日間はあっという間に過ぎてしまいました。もっと時間があるように思っていたのですが、編集を行っていると1時間なんてあっという間に過ぎてしまい、編集を始めると欲が出てきて、「こんなふうにできないか?」、「あぁしたい、こうしたい」などとよく話し合いになりました。
今回、私たちが習得できた技術は、画像編集の基礎です。構成立て方、編集ソフトの使い方、評価を私たちは4日間でしっかりと得ることが出来たと思います。
最後に
映像で表現が出来たらどんなによいだろうかと言う私たちの願いを叶えるためにあるようなセミナーを開催し、指導をしてくださった富山大学の林先生を始め、多くの先生方やチューター達。また、私たちのわがままがたくさん詰まった完成イメージや子供料理科学教室に対する想いをしっかり受け止め、共に形に仕上げてくれた富山大学の学生さん。みなさんに感謝しています。
現段階では編集を必要とする箇所がいくつかありますが、近々、WEBに載せてみなさんにお見せしたいと思っています。■

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